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    firesday522

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    firesday522

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    MM号でやるだけの話を書こうと思って途中で挫折したやつ。
    エロ練習兼ねてそのうち続き書くかもです。

    #モモユキ

    ユキはAVネタとかあんまり知らない「えっ? その車って……」
     ネクリバの新コーナーの詳細を聞かされた瞬間、モモの口からは反射的に声が漏れていた。すぐにハッと気づき、慌てて語尾を濁す。その瞳はちらりと、隣に立つユキの反応を窺っていた。
     ディレクターの説明によると、まず街中でのロケと称して連れ出したゲストに仕掛け人が絡み、二人はその様子を見ながら面白おかしくコメントを入れるのだという。それだけを聞いたらありがちとも思えるその企画だが、百が反応したのは二人の待機する場所だ。スタジオでVTRを見るのではなく、マジックミラー仕様で内側から外が見えるトレーラーの中からゲストの様子を見るのだという。
    「それってさあ、まんまアレじゃない?」
     思わず百がそう口にすると、ディレクターはにやりと意味深な笑みを浮かべて答える。
    「おっ、モモちゃん知ってるんだ? 結構マニアなんだねえ」
    「いやいや、有名だから! 健康な成人男子だったら、みんな知ってるでしょ」
     同意を求めるように周囲を見回す。顔見知りの男性スタッフ達がみんな笑っているところを見ると、どうやらからかわれたらしい。
     打ち合わせを終えて楽屋に戻ると、千が顔を寄せて来た。
    「ねえモモ、アレ、って何の事?」
    「わっ! ちょっと、ユキ近すぎ」
     二人きりなのにまるで内緒話をするかのように耳元で囁かれて、心拍数が跳ねあがる。一瞬千にまでからかわれているのかと思ったが、その表情から察するに真面目に聞いているようだ。
    「ユキ、マジックミラー号って知らない?」
    「知らない。初めて聞いた」
     形の良い頭が、ふるふると左右に振られる。
     百は一瞬面食らったが、すぐにあることに思い至る。
    (ユキさん女が切れたことなかっただろうし、AVなんて見る必要もなかったんだろうな。実戦では百戦錬磨でも、そっち方面の話題には案外疎いのかもしれない)
     そう勝手に解釈すると、答えを待っている千に説明し始めた。
    「マジックミラー号っていうのは名前のまんまで、外からは見るとただの鏡なんだけど中からは外が丸見えの車のこと。一時期そういう車に女の子連れ込む内容の、素人ナンパもののAVが流行ってたんだよね」
    「……ふうん」
    「えっえっ、何?」
     親切丁寧に説明したというのに、不満げな声と心のうちを見透かすような視線が返って来て、まるで隠し事がバレた時のようにドキッと心臓が跳ねる。
    「モモってAVとか見るんだ」
     えっ、反応するのそこ? と内心で突っ込んでしまうのは仕方のないことだと思う。 
    「そりゃ観るよ! 今時はスマホ動画派の方が多いのかもしれないけど、男なら誰でも観たことくらいはあるでしょ」
    「僕はない」
     ああ、やっぱりと妙に納得してしまう。ユキなら入れ食い状態だろうし、そんなもの観る必要などないだろう。インディーズ時代も、とっかえひっかえで彼女が切れた時期がないらしいとファンの間で噂になっていたものだ。
     だけど千のように観る必要ない男の方がむしろ少数派、だろう。たとえ今はスマホ派だったとしても、普通男なら一度くらいはAVのお世話になったことがある筈だ。
    「ユキみたいに、そういうの必要ない男の方が珍しいんだよ」
    「そういうものなのか?」
     ああ、もう、顔が近い! しかもちょっと憂いを秘めた表情だし。話してるのがAVの話題だっていうのに、無駄にイケメンなんだから! と百は心の裡でぼやく。
     相方になって五年あまり、一時期は同居までしていたというのに、未だにしょっちゅうドキドキさせられるのだからタチが悪い。機会を見つけてはこっそりとセックスするような仲になった今でも、未だに慣れる事はできないのだ。
    「ユキはそういうの、観たくなったりしないの?」
    「しないかな。でも……」
    「ん?」
    「モモとしたいな、って思う時はあるよ」
     ぎょっとして百が視線を向けると、千は色っぽい眼差しを返して来た。
    「ちょっとー! もうすぐ仕事っていう時に、そういうのやめて!」
    「ふふ。したくなっちゃう?」
    「うう……したくなっちゃいました」
     至近距離で色っぽい視線を向けられて、思わず本音が出てしまう。その答えがお気に召したのか、千は満足げな表情を浮かべた。そして再び吐息が掛かる程近くまで顔を寄せて囁く。
    「じゃあ今夜、仕事が終わったらしようか」
     珍しい千からのお誘いを、断る理由なんてある訳がない。百は赤らんだ顔を思い切り縦に振って了承の意を示した。
     今夜は楽しい夜になりそうだ。

     ……何て思って浮かれていた、一時間後。
    「大変申し訳ありません!」
     二人は深々と頭を下げるスタッフを前に、内心困惑していた。
     機材のトラブルがあり、復旧までに時間が掛かるというのだ。少なく見積もっても、二時間以上は撮影が遅れることになるという。
     テレビで姿を見ない日はない程の売れっ子であるリヴァーレに取っては、その時間は大きな損失だ。
    「幸い今日はこれが最後の仕事だったので、遅れても支障はありません。上がりが遅くなってしまうので、ユキくんとモモくんには申し訳ないですが……」
     言葉通りの申し訳なさそうな表情を浮かべた岡崎に、そんな風に言われてしまっては仕方がない。それに機材トラブルならどうしようもないことだし、誰の責任でもないのだ。
    「おかりんもディレクターもそんな顔しないで! 二時間休憩が貰えると思えば、逆に楽なくらいだし」
     百が努めて明るい声でそう言うと、ピリピリとしていた現場の空気が少しだけ和らいだ。
    「そうそう。僕は二時間たっぷり寝かせて貰うし」
    「ちょっとダーリンってば! まだ仕事あるんだから、オレが起こしたらちゃんと起きてよね」
    「大丈夫だよ、母さん。いつもみたいに、愛情込めて起こして」
     本番中さながらのやり取りに、周囲のスタッフから笑い声が上がる。現場の重苦しい雰囲気も払拭された。
    「せっかくだから、楽屋じゃなくて車の中で過ごしてもいいかな?」
     千がスタッフにそう切り出すと、また何か企んでいるのだろうと察した百の口端が上がる。確かに滅多に乗れるものでもないし、この機会に二人きりでじっくりたっぷり堪能させて貰うのも悪くない。
    「ええ、構いませんが」
    「じゃあ遠慮なく昼寝させて貰うね。寝るまでモモに子守唄でも歌って貰おうかな。起こされたくないから、近づかないようにって、スタッフの皆にも伝えておいて」
    「はい、きちんと伝えておきますので、どうぞごゆっくり」
     トップアイドルの貴重な時間を無駄に使わせているという負い目もあるのだろう。千の念押しの言葉に、スタッフは拍子抜けするほどあっさりと頷いた。
    「何か連絡がある時は、マネージャー経由でよろしくね」
    「分かりました」
     こうして驚くほどあっさりと、百と千は二人きりの時間を手に入れることに成功した。二人の関係を知っている岡崎からは、まだ仕事が残ってるんだからあまり羽目を外しすぎないように、と釘を刺されたが、こんなおあつらえ向きなシチュエーションは滅多にあるもんじゃない。

    「へえ、本当に外が丸見えなんだね」
     千は興味津々といった様子で車内を見回している。一方の百はというと、千と密室で二人きりという状況にそわそわしていた。
     今日はAVではなく至って健全なアイドルの冠番組の収録なので、当然ベッドなど置かれていない。だがトレーラーの真ん中には、なかなかに座り心地の良さそうな二人掛けのでんとソファが鎮座している。
    「モモ、どうしたの? 何か落ち着かないみたいだけど」
    「えっ、別に! そんな事ないよ。それよりユキ、仮眠取るんじゃないの? 時間なくなっちゃうよ」
     千の問い掛けに、百はソファの座面をぽんと叩きながら、平静を装って返事をした。
    「二人で寝るには、このソファはちょっと狭いかな」
     そう言いながらもさっさと横になった千は、ちょうどモモが叩いた辺りに頭を乗せる。
    「別に俺は寝なくても……んむっ」
     言い終わる前に勢いよく引き寄せられ、千の薄い胸にぎゅっと顔を押し当てる形になっておかしな声が出た。
    「大丈夫。くっつけば二人で寝られそうだよ」
    「ムリムリ! 窮屈すぎてゆっくり寝られないだろうし、オレは眠くないからソファはユキに譲るって」
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