酔っ払いにはイタズラを...!ドンドンドンと扉を叩く音がして飛び起きる。もしかして……と思い、急いで玄関まで向かう。そして扉を開けた瞬間
「たっだいまぁ〜♪」
と言いながら、その声の主は思いっきりオレに向かって倒れてくる。
「ちょっとキース、また飲み過ぎたのか!?」
「だってしょうがないだろ?最近いそがしくて、あまり飲めなかったんだからさ……すぅ……」
「えっと、とりあえずここで寝ないでってば!…もう仕方ないなぁ……」
と言いながら、肩を貸してそのままソファーまで運ぶ。
「とりあえず、お水持ってくるから、それまで起きてろよ。」
とその場を離れて、ダイニングキッチンの戸棚からコップを取りだし、そっと水をついで持ってきた時には、もうキースは完全に眠っていた。
「おーいキース!起きてってば!」
と声をかけても一切反応せず、ただただ気持ちよさそうに眠っている。そこであることを思いつく。
そうだ、あの時の仕返しがまだ出来てない。
「よーし、絶対にキースに一泡吹かせてやるぞ…ふっふっふ、オレを侮るなよ!!」
*☼*―――――*☼*―――――
翌朝
「……っちょ、その顔でこっち見んなっ……あはははっ!!」
という大きな笑い声で目を覚ました。
リビングに向かうと、寝ぼけ眼で状況が理解出来てないキースと、腹を抱えて蹲るフェイスと、笑い続けるジュニアが居た。そんな中
「おはようみんな!今日もいい日だなっ!」
と空気を読まず、いつも通りに突っ込んでいく。その様子を見たフェイスが、
「なにこれ…ふふっ……キースの顔のヤツ、ディノがやったの?」
と聞いてきたので
「昨日キースが酔っ払って夜遅くに帰ってきて、そのまま寝ちゃっからさ」
と答える。
「ディノっ……お前最高だなっ……あははっ……」
とそう言いながら、笑いを一生懸命堪えるジュニアに背中をポンポンと叩かれる。
そう昨日の夜……
*☼*―――――*☼*―――――
「ふんふんふーん……まさか、前買った全然イスペイント用のペンがこんな事に使えるなんてな♪」
と鼻歌交じりにキースの顔に色んな模様を描いていく。
ラクガキをし始めても全然起きないから、完成しちゃったじゃないか……と思いながら
すっかり変わってしまったキースの寝顔を見て、オレは思わず吹き出した。
「っく……あははっ…変な顔!」
としばらく笑ってると、眉毛がぴくりと動いた気がして、ぱっと口を抑えて笑いを堪える。
あれ、起きちゃったかな?
と思って顔を近づけたけど、なんの反応もなく静かな寝息が聞こえ、ほっとする。
そしてそのままそっと何も書いてないおでこに拙いリップ音を鳴らして口付けて
「おやすみ、キース。」
と耳元で囁いてから、自分の寝室に向かったのだった。