だってそんなのずるいって。※先天性女体化(ジュニア)
「ねぇおチビちゃん。ちょっとこっちおいでよ。」
「ん?どうした、なんかあったか?」
「ほらほら、いいからいいから。ここ座って。」
そう手招きされて、静かに椅子に腰掛ける。
「ちょっとじっとしててね……」
と言われ、しばらくすると、フェイスはおれの髪をいじり始めた。
その真剣な眼差しと、息遣いにまるで時が止まったかのように釘付けになる。
ちょくちょく首元や肩に触れる指や吐息がくすぐったくて、にやけてしまいそうになるのを一生懸命堪え、目をぎゅっとつぶる。しばらくして目を開けると、とてつもなく綺麗な顔と目が合う。思わず顔を逸らそうとすると、両手で顔を優しく包まれる。
「よし、可愛くなった。」
と万人をも虜にする微笑みを向けられ、また、静かに硬直する。
「あはっ、おチビちゃん顔真っ赤。」
とからかわれ、
「うるせぇよ!!」
と言いながら頬を膨らますと
「悪かったって、ほら鏡。どう?上手でしょ。」
とコンパクトサイズの真っ黒な手鏡を手渡され、覗き込むとそこにはまるで自分ではないような、大人しそうな少女が写っていた。
サイドの細かい編み込みに、全体的に軽くウエーブをかけられていて、いつもはボサボサで無造作に結われた髪がこんなに可愛くなるなんてと、自分でもびっくりして、
「すげぇな、お前。」
と思わず感嘆の声が漏れる。
「それほどでも。」
と素っ気なく返されたなと思ったけど、少し耳が赤くなっているのが見えて、思わず笑みがこぼれる。
「つーかこんなの、どこで覚えてくるんだ?」
と率直な疑問をぶつけると、
「普通にヘアアレンジの動画とか見て、これおチビちゃんに似合いそうだなって思って。」
全く恥ずかしげもなく言ってくるから、顔から蒸気が吹き上がりそうになるのを必死で抑える。
「でも、、やっぱりこんな可愛い姿、みんなに見せたくないや。」
と小さく囁かれ、いつの間にか腕の中に収められていた。そして
「今日のおチビちゃんほんとに静かですっごく可愛い。何、照れてるの?」
この一言でキャパオーバーを迎えた。
あとの記憶は全く覚えてない。