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    rani_noab

    @rani_noab
    夢と腐混ざってます

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    rani_noab

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    成りアザ5 導入終わった……!頑張りました!!えらい!!!

    花神誕祭が繰り返されていることに気づくのはもう何回目か分からない。
    ナヒーダに導かれながら少しずつ真実へ足を進める蛍とパイモンは、想像が追いつかない状況に苦しんでいた。
    なにより、1日の終わりに目にした自分たちの友人だったはずの彼への疑問と不安が尽きない。
    相談している途中で、我慢できなくなったのか、パイモンがおずおずと口を開いた。
    「なぁ、ナヒーダ。ナヒーダは……、エルネって学者を知ってるか?」
    するとこれまで思慮深く、落ち着いた様子だった少女は、初めて目を見張った表情でパイモンを見上げる。
    「まず確認するのだけど、私の知っているエルネと、あなたたちの知っているエルネが同一人物かしら」
    そう問われて、パイモンと蛍は顔を見合わせる。
    「えーっと、エルネは、大賢者みたいなんだ。アザールって呼ばれてたけど、オイラたちには自分のことをエルネって自己紹介してた」
    「そう……。アザールもエルネも、彼の名前よ。彼は、エルネスト・ヴァン・アザールという名前なの。ただ、彼は教令院でアザール以外の名を名乗ったことはないわ」
    「そうだったのか!?じゃあ嘘をついていた訳じゃないんだな」
    騙されたわけではなかったのか、と思いかけたらしいパイモンは、それからぶんぶんと首を横に振ると腕を組む。
    「でもあいつ!大賢者ってことを黙ってたぞ!それに、ニィロウにも酷いことを言って!」
    怒っているパイモンに、ナヒーダは思案するように少しだけ間を開ける。
    「ええ。確かに彼は嘘をつかないわ。そして本当のことも言わない」
    そのナヒーダをパイモンと蛍は顔を見合わせた。
    「ナヒーダはエルネのことをよく知ってるのか?」
    「良く……は知らないわ。でも、彼は私と1番多く会話をしてくれた人よ」
    その台詞にパイモンはどう反応したものか、迷ったようにナヒーダをみる。
    「たくさん話したことがあるなら、良く知ってることにならないか?」
    「あら?一般的な感覚だとそうなの?でも確かに、彼の個人情報は私が1番知っていることになるのかしら」
    考えるようにしたナヒーダに、パイモンはやれやれというように肩をすくめた。
    「ナヒーダの感覚はともかく、ナヒーダはエルネがどうしてこんなことをしているのかも知らないのか?」
    「それについて話すことも出来るけれど、今回の事件の動機については、今は考えるべきではないわ。この輪廻を止めることが最優先よ」
    「うー、それもそうだけど、でも、オイラ、エルネが酷いやつだと思ってなかったから余計にショックだったんだぞ……」
    パイモンの感情に同じくと頷いた蛍は、それからナヒーダに向き直る。
    「確かに、この状況から抜け出すのが先。エルネには直接聞きに行く」
    蛍がそういうと、パイモンはぱっと目を見張ってからおう!と頷いた。
    「そうだな。エルネは話してくれないわけじゃないし、直接聞きに行けばきっと答えてくれるよな」
    蛍が頷いたのを見て、パイモンは、うーん、と今度は考えるような声をあげる。
    「でもまだ手がかりは少ないし、もう一度考えてみようぜ。今分かってることは……」
    指を立てて情報の整理を始めるパイモンの言葉を聞きながら、蛍はそっとナヒーダの方を見る。
    ナヒーダはパイモンの方を見上げながら、いつもの見守る様子ではなく、何か考えているような表情をしていた。
    そして今日が終わる。
    また今日が始まる瞬間に、その声は聞こえた。
    『……を過ぎた。これを境に可能性は0に近くなる。……引き継ぐデータをまとめておかなくては』

    目覚めは悪かった。目覚め、というよりもナヒーダの前で記憶を適応させているだけだが、徐々に頭が重たくなっていくような気がしている。
    少しの忘却から立ち直る時間があり、蛍とパイモンは顔を見合わせると、自分たちの前に立っているナヒーダに視線を向けた。
    『昨日』の情報のおさらい。新たな発想。それはディシアへの協力へつながり、アーカーシャ装置への不信から、賢者たちへの疑惑へと変わる。
    「……エルネは一体何をしようとしてるんだ……」
    困惑と疑問、少しの悲しさを含んだパイモンの呟きに、蛍は何度か舞台の上で見たエルネの冷たい視線を思い返す。
    エルネに話しかけたこともあったが、冷たくあしらわれただけで終わったのだ。パイモンにはそのショックを引きずっているのだろう。
    真実に遠く届かないような気がしていた輪廻の日々は、それでも少しずつ到達しようとしていた。
    ナヒーダとの問答を済ませ、その正体をクラクサナリデビだと答えた蛍たちは、そしてようやくこの夢を終わらせるために歩き始める。
    夢の主であるニィロウに真実を告げた時、エルネの姿は彼女が望んだようにこの場から掻き消えた。
    金色の光の粒子と共に夢が覚めていく。
    その光の中、ニィロウの舞いを見つめながら、蛍はエルネの憂いを帯びた表情を思い出していた。

    賢者たちの絶望や苦悩の声を聞きながら、エルネは深くため息をついた。
    途端に訪れる静寂。プロジェクトは失敗した。スメールの未来をかけた実験は泡沫へと帰した。
    「みんな、ご苦労だった。今日は解散するとしよう。長い実験で疲れただろう。今日一日、休息を取って欲しい」
    「ですが、大賢者様……、これだけの資金と労力を費やして、結果失敗では……」
    項垂れる学者たちに、エルネは僅かにだけ微笑んでみせた。
    「失敗する可能性は初めからあった。我々は誰も踏み入れたことのない叡智へと足を踏み進めている。大切なのは、この道を諦めないことだ。私は私の先生、あなた方にそう教わった」
    エルネの言葉に、疲労を隠せないながらも学者たちは、黙ると悲痛な決意を抱えた表情で頷いた。
    「そうだ。我々がやり遂げなければ」
    「アザール様、あなたのおっしゃる通りだ」
    挫折からの一体感は、ある意味での鼓舞となる。力を取り戻した学者たちは、エルネがいった通り、休息を取るために部屋を出ていった。
    エルネだけが部屋に残される。エルネは手元の実験結果を見下ろす。
    「ふ……」
    溢れでた声は、悲しみではない。
    「ふふ、は、はは、ははっ!あそこから持ち直すとは……!」
    肩を震わせてひとしきり笑うと、エルネは椅子に座り込んだ。精神的な疲労が大きすぎるが、それを興奮が麻痺させているのも自覚していた。
    何度か深呼吸をする。喜びすぎてはダメだ。冷静さを欠いてはならない。スメールで誰よりも冷静で鋭く在らなければ。
    「……セタレに少し自由な時間をあげないとな……」
    呟きながらエルネはアーカーシャをつける。
    この端末は今日は神の心とは繋がっていない。エルネが構築したシステムに繋がっている。
    眠る必要がある。疲れを取るために。夢を見るために。明日に歩き続けるために。
    輪廻を破るために奔走しただろう旅人たちのことを思い浮かべながらエルネは背もたれによりかかり目を閉じた。
    次に会う時は、敵同士だろう。
    「楽しみだな……」
    エルネは眠りに落ちた。
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