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    fuuka_xxxx

    三度の飯より妄想が好き

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    fuuka_xxxx

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    ドラみつ、たくさん食べて、たくさん話して、たくさんケンカもして、その分仲直りもして楽しく暮らしてくれ〜〜🐉🍯🍽

    #ドラみつしあわせレシピアフター

    #ドラみつ
    drugAddict

    「……終わった……」
    「ですね……」
    「「「やったーーー!!!!!」」」

     トルソーに着せてあるのは美しいドレス。柔らかな胸元の淡い水色から裾にかけて青色のグラデーションは、三ツ谷達が一から布を染め上げたものだ。同じ色に染めたレースがドレスを可憐に飾り、そこには一枚ずつ布を切り縫い重ねた色とりどりの花びらと、ビーズやスパンコールで丁寧に作られた刺繍が施されている。
     この世に一枚しかない、御色直し用にオーダーを受けたカラードレス。三ツ谷がデザインし、パタンナーである安田を始めとするアトリエスタッフ達と四ヶ月掛けて作り上げた、立ち上げて数年のこのブランドの集大成である。


     立ち上げたばかりの三ツ谷のブランドはまだコレクションに参加するツテもなく、デザインした服のネット販売を地道に行っていた。シンプルでありながらラインが美しいワンピースやスーツは少し値が張るが手に取り着てみれば満足がいくもので、順調にリピーターを増やしてきた。
     リピーターの中でもひときわ贔屓にしてくれたのが、白川という年相応の美しさを持つ御婦人だ。数回ワンピースやジャケットを購入した後、メールで自由にオーダーは出来ないかと相談が届いたのは一年前のこと。それからはシーズンごとにジャケットやワンピース、パンツをオーダーしてくれている。いわゆる大切なお得意様というやつだ。
     そんな彼女から直々に頼みがあると連絡が届いたのが半年前、アトリエに現れた彼女の隣りにはよく似た若い女性が一緒だった。

    「娘が結婚するの。もし良ければ三ツ谷さんに御色直しのドレスを作っていただきたくて……。お願い出来ないかしら」
    「母が着ている服のラインが素敵で、いつも気になっていたんです。よろしくお願いします」

     お得意様に頭を下げられては断れないどころか、むしろ思い切り遊べるドレス作りとくれば腕が鳴るというもの。二つ返事で依頼を受けた三ツ谷はデザインについて話し合ったり、布を選び、染色について改めて勉強したりとこの四ヶ月は大変ながらも実に有意義な時間を過ごした。
     凝り出すときりがなく、刺繍が終わらなくて皆で徹夜が続いたことも、出来上がったドレスを見てしまえば疲れなど吹き飛ぶというもの。

    「本当に素敵なドレスですね」
    「湯水のように金が使えると思い切り出来るんだな……」
    「夢がないこと言わないでください、三ツ谷さん。アイロンも宛てましたし、畳み皺が出来るの嫌ですね。明後日に白川さんとお嬢さんがお見えになるまでこのままにしておきましょうか」
    「うん、カバー掛けておこう」
     作業台に畳んであったカバーを掛けて、ふと腕時計を見れば針は17時前を指している。就業にはまだ少し早いが、今日くらい早く帰ってもバチは当たらないだろう。
    「……帰るか」
    「細かい作業の連続で皆疲れてますもんね。今日くらい早く帰りましょうよ……」
     賛成! と作業台に突っ伏していたスタッフも声を揃えたことで、片付けをして少し早めの締めの作業をする。まだ陽が登っているうちに帰れるなんてと目を細め、それじゃあまた明日と言い合い別れたのが17時半過ぎ。


     安田達を見送った後、三ツ谷は駐輪場に停めていたバイクに跨り走り出した。冷蔵庫には何かあっただろうか。ここ最近まともに食事を作っていない。肉や魚はないだろう。冷やご飯が冷凍庫にあった気がするが、今夜はガッツリとしたものが食べたい気分だ。
     アトリエからバイクで十数分の場所にあるアパートは外観こそ寂れているが、室内はリフォーム済みできれいなものだ。近々その外観も改修工事が始まるらしい。
     一仕事終えたおかげか階段を上る足取りも軽い。奥の角部屋のドアノブに鍵を差し込み部屋に入る。台所の換気をして冷蔵庫を開けてみれば、キャベツとトマトと人参、あとは調味料と飲み物が数本鎮座しているのみと寂しいものだった。この一週間買い物に行った記憶がないから仕方ないが、これではサラダくらいしか作れない。
     開けたばかりの窓をたま閉めて、戸棚に畳んでおいたエコバッグを着ているジャケットのポケットに突っ込みまた靴を履いて外に出る。買い物した大量の荷物を持ってバイクでは走れないから、カゴ付きの自転車に跨り近所のスーパーへ漕いでいく。この時間なら値引きされてる肉や魚があるはずだ。
     戦歴の主婦(主夫?)の如き足取りで三ツ谷はスーパーへ駆けて行った。


     あれもこれもと買い物カゴに放り込んだおかげで、エコバッグはパンパンと縫い目がはち切れそうだ。安くなっていた刺身の柵でなめろうでも作って酒の肴に、一仕事終えた後といえばやっぱり肉だろう。輸入の赤身肉が投げ売りされていたが、大きく厚みのあるように見える中身が、一度パックのみにラップを掛けてその上に肉を置いて再度ラップを掛けて販売していることを三ツ谷は知っている。だからこそ、今夜は思い切って2パック買ったそれをどう調理するか腕が鳴るというものだ。

    『ドラケン、晩飯食いに来る?もう帰ってるよ』

     慣れない手つきでメッセージを送り、手を洗って肉をまな板に取り出した。焼き上がりの反り返りを防ぐために筋切りをして、脂は切り離してフライパンに置いておく。この脂で肉を焼くのだ。胡椒を振ってバッドに置いて肉を休ませる。塩を振ると水分と共に旨味が出ていくから、焼く直前に振ると良いと三ツ矢に教えてくれたのは母だった。
     まな板を洗って冷蔵庫から取り出したキャベツを千切り用のスライサーを使って、サラダスピナーのザルに直接放り込んでおく。人参もスライスした後、包丁で切って千切りにする。まとめて水洗いしてサラダスピナーの取手をクルクルと回せば、面白い程に水が切れる。数回水切りをしたザルへ櫛形に切ったトマトをぶち込んで、また冷蔵庫へ入れておいた。
     冷凍庫に眠っていたキノコミックスは麺つゆを少し垂らした鍋に入れて、豆腐と一緒に茹で最後に味噌を溶けば味噌汁の出来上がりだ。

    『こっちもそろそろ終わりそう。ビールとつまみ買ってく』

     ピコン、と携帯電話からメッセージが届いたことを知らせる音が聞こえる。冷蔵庫には酎ハイしかないことを思い出して、得したと三ツ谷は値引きされていた刺身の柵を細かく切ってから薬味や少量の味噌と共に包丁で叩いていく。即席で作った割に美味く出来たなめろうに、これは酒も米もすすむなと自画自賛して蓋付きの皿に盛り付けて、こちらもまた冷蔵庫へ。
     ステーキも良いけど、米と合わせて食べても美味いだろう。メインはガーリックライスにステーキをトッピングしたものにしよう。ガッツリしたものが食べたいし、作るのは三ツ谷だから好きに作っても誰も文句はないはずだ。何より明日は来客の予定はない。多少ニンニク臭くても許されるだろう。
     ニンニクを薄くスライスしてフライパンに放り込んで、コンロに火を付ける。弱火にして脂を溶かすように、ニンニクを焦がさないようにここは慎重に。カリカリになったところで一旦ニンニクは鍋から取り出して、ステーキ肉をフライパンに滑らせる。塩を振って両面焼き目を付けた、アルミホイルを敷いたバッドの上に載せて包み込んで余熱で肉に火を通す。米は冷凍米庫にあった冷やご飯で良いだろう。次の作業はドラケンが部屋に来てからだ。


    「まだ7時前か……。風呂でも入れとくかな」
     最後の追い込みだったここ一週間は風呂といえばもっぱらシャワーで、眼精疲労とひどい体の凝りを抱えてさっと汗と埃を流す程度で済ませていた。湯船に浸かる気力が湧かなかったのだ。そんなドレスも明後日には本人に試着してもらい、細かい詰めの作業が済めば手元を離れてしまう。次にドレスを作る機会はいつだろう。コレクションに参加出来る程大きなブランドになれば、プレタポルテとは別にオートクチュールラインも手掛けることになる。ドレスらしいドレスも良いが、パンツスーツをドレッシーにデザインするのも楽しいだろう。アクセサリーは控えめにして、華奢なヒールに品よく配置されたラインストーンやレースで飾り立てるのも良いかもしれない。
     一仕事終えた解放感や達成感から、気が付けば三ツ谷はスケッチブックに思うままペンを走らせた。



    「三ツ谷、邪魔するぞ」
     勝手知ったる何とやら、ドラケンはインターホンを鳴らすことなく玄関を開けて部屋に入る。こちらの来訪のために家主が鍵を開けてくれていたのは良いが、もし自分以外が不用意に開けた時どうするのだと心配になってしまう。まぁ、美しい顔立ちから想像出来ないくらい、腕っ節の強さは折り紙付きだから心配はいらないけれど。
     パーテーションで目隠しされた先にある台所を見れば仕上げを待っている料理がコンロの上に並んでいる。まだ洗っていないフライパンの近くからは、焦がしたニンニクから食欲をそそる香りがする。
     台所の次に浴室を覗けば、浴槽から湯が溢れそうになっていて慌てて蛇口を捻った。台所、浴室にいないとなればリビングだろう。そう思ってドラケンが引き戸を開ければ、この部屋の主人はスケッチブックにペンを走らせていた。集中したその姿は鬼気迫るもので、このまま見ていたい気持ちもあるが腹が減ってはなんとやらだ。テーブルに並ぶだろうご馳走を我慢してやる気などさらさらない。

    「おいっ、三ツ谷!邪魔してんぞ」
     肩を揺さぶりこちらへ呼び戻せば、糸が切れたような表情で見上げてきた。案の定、スケッチブックには女性物のスーツのデザイン画が描き込まれていた。
    「おっ、ドラケンじゃん。ワリィ、気付かなかったワ」
    「おう、ビール冷蔵庫に入れといた」
    「ありがと! じゃあ、こっちも仕上げするから、ドラケンは小皿にキャベツ盛り付けといて」
     ドラケンも立ち上がり台所へ向かう三ツ谷のあとに続いて、二人並んで流しで手を洗う。冷凍庫から取り出した冷やご飯をレンジに入れて、コンロに置いたままのフライパンに火を付ける。食器棚から適当に取った皿に野菜を盛れば、三ツ谷からちょっとこっち手伝ってと声が掛かる。
    「俺、肉切るからドラケン、米炒めてくんない?」
    「了解、指示出し頼む」

     煙が出てきたフライパンにタイミング良く解凍が終わったご飯と焦がしたニンニク投入する。手早く切るように炒めてと三ツ谷が手本を見せると、はいとドラケンに木ベラを渡してアルミホイルに包んでいた肉をまな板に置いて一口大にカットしていく。
    「混ぜたぞ、あとは?」
    「軽く塩胡椒振って。そのあと肉入れるから、鍋肌に沿って醤油掛けてよく混ぜて」
     取り出した醤油を勢いよくフライパンに掛ければ、ジュッと香ばしく焦げる香りが台所に広がる。
    「うまいじゃん。じゃあ肉入れるよ。軽く混ぜたら火止めていいから」
     味噌汁を温めて直していた三ツ谷は火を止めて、食器棚から皿と箸を取ってテーブルに並べる。鍋敷きの代わりにポストに入っていたフリーペーパーを置いて、そこにフライパンを置けば夕食の準備が出来上がりだ。

     ささやかな食事にビール、他愛のない会話が食卓に色を添える。

    「やべぇ、腹減ったから肉一人占めすっかも」
    「ふざけんなよ、ほらビール飲もうぜ。それじゃぁ……」
    「「いただきます」」
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    Replies from the creator

    fuuka_xxxx

    MOURNINGፗッቻマッサージするさねぎゆ♀が見たい〜!
    から書き出したのに、途中で自身のやる気が失速したので一旦未遂で供養することにしました。

    ぎゆゆはマッサージされると「お″お″〜″」みたいな声が漏れるタイプな気がします…。かわいいね
    えちちマッサージするさねぎゆ(未遂) 世の学生たちが夏休みを享受するなか、教師たちは当たり前だか仕事に追われる。普段は手が回らない書類仕事、担当教科毎にある研修会や講習会、成績が振るわなかった生徒に対して行う補習、忘れてはいけない二学期の準備。
     部活動の顧問を任されていればその指導もある。夏休みといえば運動部はインターハイ、文化部だって何かしらの全国大会が目白押しだ。テレビをつけたらクラメイトが画面の中で活躍していた……、なんて事が結構な確率である。開催地が近場ならいいが、日本は四十七都道府県ある。よほど運が良くない限り、全国大会とは日帰りが出来ない遠征なのだ。
     今年のキメツ学園高等部からは不死川の実弟である玄弥が所属する射撃部と、冨岡が顧問を務める剣道部がインターハイ地区予選で優勝している。その上、剣道部はインターハイより名誉あるなんたら旗という大会にエントリーしている。以前冨岡が話していたが、不死川は大会名を忘れてしまった、大変申し訳ない。
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