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    Nullpoint_mdzs

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    一夜の過ち冰秋

    #svsss

    One Night Love~冰秋の場合~① ひどい頭痛で目を覚ました沈清秋は、ベッドから降りようとして青ざめた。
     降ろそうとした足を戻し、流れるような動作でベッドに収まって一旦目を閉じる。
     え?なんでなにも着てないの?寝る前の記憶がないですね!頭痛くてなんにも考えたくないんですけど!?てゆーか、知らないベッドなんですけど??あっ、夢ですか?もう一回目ぇ開けたら自分の部屋なんでしょ!知ってる!!
     ここまで一息に自問して、目を開けたが景色は変わらなかった。
     相変わらず続く頭痛に少し大人しくなって、白い天井に付いた小さな電球を眺める。
     昨夜は新任の歓迎会に参加していたはずだ。二次会まではばっちり記憶がある。三次会に誘われたのを断って、同じ方向に帰る洛冰河と駅に向かったことまでは覚えているが、そこからがどうにもあやふやで思い出せない。
     こてん と左を向くと、ベッドの脇に机と鏡が見えて、なんだかホテルみたいだなぁとすごくどうでもいい感想を考えてしまった。
     服、着ようかな。
     もう一度ベッドから降りようとしたとき、背後からベッドの軋む音が聞こえて、沈清秋が慌てて振り返ると、掛け布団がもぞもぞと動いてふわふわの黒髪が覗いた。
     ひぃっ!
     思わず声が出そうになったのを両手で抑えこむ。
     深呼吸をして、バクバクと音を立てる心臓が少しだけ落ち着いたところで、布団に手を掛けてゆっくりと捲ると、黒髪のそれはもぞもぞと動いてさらに丸くなった。
     なんだこれ。人……なのはわかるけど、こんな真ん丸になって眠れるもんなのか?つーか、髪、ふわふわ

     沈清秋は無意識で、その黒髪に触れていた。
     癖がない自身の髪と違い、指で梳かすとくるりと巻き付いてくるのが面白い。
     もう一度撫でるように手を置くと、その人が大きく動いてぼんやりとこちらを見上げた。
     「!、!?!」
     ヒュッと喉が鳴るだけで、声は出なかった。
     いや、覚醒しかけで柔らかく笑い掛けてきたその顔に驚きすぎた。
     び、冰河!?洛冰河!??なんで???いや、まってなんでお前も何も着てないの??ちょっ、おま、体育専門でもないくせに良い感じの筋肉~wwじゃない!!
     脳内では元気に独りツッコミを入れた沈清秋だが、驚いた拍子にベッドから転げ落ちそうになったところを洛冰河が腰を抱えて引き寄せる。
     「しずん、あぶないところでした」
     「あ、ありがとう。もう大丈夫」
     まだ眠気の残る声でほわりと微笑んだ洛冰河に顔を背けつつ、回された腕をほどこうとするがびくともしない。
     「ところで洛冰河、」
     沈清秋は咳払いをひとつして、いまだ腰辺りに視線を送る洛冰河に続けて問いかける。
     「いつものように名前で呼んではくれないか?OJT担当とはいえ、師と呼ばれるのは面映ゆい。それと、なぜ私たちは小さなベッドに……裸で、寝ていたのだ?」
     途中から、少し頬を染めて聞いていた洛冰河は、少しの間のあと沈清秋を真っ直ぐに見つめて口を開いた。
     「お忘れなのですか?昨夜、あんなに熱く…契りを……交わしたのに……」
     みる間に涙を浮かべて話す洛冰河にぎょっとしつつも、沈清秋は契りと言う言葉に青ざめる。
     「ち、契り……」
     「そして……私を師と仰げと道を示してくださいました。なのに……」
     師と仰げだなんて、俺、良く言ったな!?洛冰河は近年の新人のなかで飛び抜けて成績良く人望も厚く顔も良くて、他の先生からも生徒からも慕われてる存在だぞ!?しかも契りって……契りって……状況から薄々わかってたけどさぁ……そういうことしちゃったんですかね?しちゃったってことですよね……泣きたいのはこっちですけど~~??
     洛冰河がぐすぐすと半泣きになりながら話す間も、沈清秋はなんとか昨日の顛末を思い出そうと必死だったが、頭痛のせいで上手く頭が回らない。
     「あ~!わかったから泣かないでくれ」
     「思い出してくださいましたか!?」
     ずい、と近寄られて沈清秋は思わず顔を背けた。
     「思い出しては、ない……が一旦、服を着ようか」
     「そう、ですか……」
     あからさまにしょんぼりした洛冰河はまるで子犬のようで、沈清秋は忘れてしまったことに罪悪感を抱いた。
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    DONE曦澄ワンドロお題「秘密」
    Twitter投稿していたものから誤字と句点修正版。
    内容は同じです。
     冷泉へ向かう道の途中に注意しないと見逃してしまうような細い道があることに、ある日江澄は気が付いた。
     魏無羨が金子軒を殴って雲夢に戻りひと月ほどたった頃だったろうか。
     魏無羨が帰ってからというもの、江澄は一人で行動することが多くなった。
     時折は聶懐桑と一緒に行動することもあるが、半分かそれ以上は一人だった。
     藍氏の内弟子以外は立ち入りを禁止されているところも多くあるが、蓮花塢と違って、この雲深不知処は一人で静かに過ごせる場所に事欠かない。誰も来ない、自分だけの場所。かつ、仮に藍氏の内弟子に見つかったとしても咎められないような場所。そうして見つけたのが、この細い道を進んだ先にある場所だった。おそらく冷泉に合流するだろう湧き水が小川とも呼べないような小さな水の道筋を作り、その水を飲もうと兎や鳥がやってくる。チロチロと流れる水音は雲夢の荷花池を思い出させた。腰を掛けるのにちょうど良い岩があり、そこに座って少しの間ぼんやりとするのが気に入っていた。ともすれば、父のこと、母のこと、魏無羨のこと、五大世家の次期宗主、公子としては凡庸である己のことを考えてしまい、唇を噛み締めたくなることが多 3083