感電 刺された。
夜、ねむるまえ、口先にちくんとささやかな痛みが走ったので蓮はぎょっとした。ねむたくてほとんど閉じていた目もぱっちりと開いてしまう。
くちびるに手をやる。痛かったのはほんの一瞬だけで、もう残ってはいなかった。眠くてまわらない頭でも正体がなんなのかはわかる。
「蓮くんやめてよ、痛いんだけど」
すぐそばから不機嫌な声がした。万浬の声だ。枕元のライトでほの明るく照る部屋の中、かれは頬を大げさにさすっている。
「……え、僕のせいなの?」
「だって蓮くん、さっきセーター脱いだときに静電気ばちばち言わせてたでしょ」
「う、うん」
「それに、蓮くんって静電気起こりやすいしさ」
「それは、まあ、そうなんだけど……」
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