ぬくもり「今夜は寒くなるそうですよ」
布団にくるまり眠ったはずだが目が覚めた。夜はいつものようにレオナのところで飲んで食べひとしきり盛り上がり、そろそろお開きにしようとみんなと挨拶をかわした頃、誰かがそんなことを言っていたなとぼんやりとした頭で思い出した。
いつもなら隣に感じる温もりと重みがないせいか、より一層寒さを感じる…ような気がする。ひとりだから布団にしっかりくるまることもできるのに、ベッドを広々と使えるのに、「暑苦しい、重い」なんて言わずに済むのに。
なんだか物寂しく感じるのはなぜだろう。
そう思う自分自身になんだか悔しくなった。わざと声に出して呟いてみる。
「早く帰ってこいよ、ばぁか」
あいつには聞かせてやらない。