マシュマロ爆弾その2「虎杖、お前来週から警視庁に異動な」
「うっす! ……ん?」
「だから、警視庁に異動な。三日後には引っ越し業者が家に来るみたいだから荷物まとめとけよ」
「え、えええぇぇ!」
「うるせぇぞ、虎杖!」
「す、すいません!」
「まぁ、びっくりしちまうのはしょうがねぇよな。まさか、お前が宮城から警視庁に異動なんてなぁ。ウチもお前を手放しくねぇけど、お偉いさんから命令されちゃあなぁ仕方ねぇ」
「オレ、イドウ? ライシュウ、ケイシチョウ? オレ、マダシンマイ」
「何でもご指名みてぇだぞ」
「はぁ……指名……」
「ほら、お前運動神経良いから先週全国警察大会に出てただろ。それでバディを組みたいとか言い出した奴がいたらしくてなぁ……即決定ってわけだ」
「んな、めちゃくちゃなこと通るんっすね……」
「お前を指名した奴は警視庁じゃあ有名らしいぞ。そいつが担当した事件は全部解決。おまけに事件によっちゃあ芋づる式で複数解決することもあるらしい」
「へぇ、そんな凄い人が俺を指名……ますます謎なんだけど……」
「詳しいことは知らねぇが機嫌を損ねたくねぇんだと。不機嫌より御機嫌をとるってことだ」
「俺、そんな人のところ行って大丈夫かなぁ……」
「虎杖、そいつには気をつけろ。署長が言うにはマルコメらしいからな」
「マルコメ……味噌っすか? あだっ!」
「この馬鹿! 業界用語で精神異常者のことだ! お前がこれから行くのは殺人現場の最前線捜査一課だぞ! それくらい勉強しとけ!」
「すいません! んで、何でマルコメなんすか?」
「事件の解決手段が異常なんだよ。プロファイリングとは全く違う……まぁ、事件によってはプロファイリングで解決しちまう時もあるみてぇだがな。兎に角よ、そいつは被害者や加害者の意識にトリップして解決するんだと」
「トリップ……?」
「実感わかねぇだろ。俺もだよ。寧ろヤッちまってんじゃねぇかと思ってる」
「俺もヤッちまってると思いマス。ちなみに名前聞いても?」
「おっと、忘れてたな。そいつの名前は───」
五条悟。警視庁内屈指の特別捜査官にして、全国を震撼させた事件『百鬼夜行』の首謀者、夏油傑とかつてバディを組んでいた男──。