Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Sei_Kurage

    @Sei_Kurage

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 45

    Sei_Kurage

    ☆quiet follow

    マカロン:あなたは特別な存在

    ##創作DKSS

    《Happy Valentine's-Day》Ver.怜サク 二月十三日、日曜日。バレンタイン直前、最後の休日だ。怜とサクはせっかく都合の合う日曜日だから出かけようと、街へ繰り出したものの、街に出ればカップルがその辺を手を繋いで歩いている光景ばかりが目立つ。

    「ここもいっぱいかぁ。やっぱり人多いね」

     ウインドウショッピングを一通り終え、少し休みたいねと話したものの、カフェやカラオケの様な気軽な場所は、待ち時間が数時間単位だった。

    「うん……お店はやっぱりどこもいっぱいだね。ううん、街に出たのは失敗だったかな」
    「全然、怜くんと行けるならどこでも楽しいよ」
    「いつもそう言ってくれるね」
    「本当のことだもん」

     ふふ、とサクは柔らかく笑うと、人混みで離れないように怜の腕に縋る。しかし、困ったような怜の表情はあまり晴れない。

    「うーん、そうだなぁ……。このまま歩いててもいいんだけど……ね、コンビニでもスーパーでもいいからなんか買っておうちでデートしようよ」

     あまりにも残念そうな顔をする怜を見かねて、サクが提案をする。お菓子を買って、飲み物を買って、好きな人と好きなように過ごすのは楽しいだろうと一言添えた。

    「今日くらいは、って思ってたのにカッコつかないなぁ。サクくんがそれでもいいなら、そうしようか」
    「いいよ、僕はキミがいれば幸せだもん」

     ニコニコと笑うサクに、怜は少し不思議そうな顔をする。笑っているのはいつもの事だが、今日は少し雰囲気が違う気がする。
     
    「サクくん、今日なんかふわふわしてない?」
    「そう? バレンタインの空気に浮かれてるのかも。怜くんと、こうやって初めて過ごすバレンタインだもん。はしゃいでもいいでしょ? なんてね」
    「そっかぁ……でも、それはおれもかも。いつもサクくんはかっこいいしかわいいし、おれも今日くらい彼氏らしいことしようって張り切っちゃったかも」
    「……っ! もうっ。は、はやく家に帰ろ!」

     サクは顔を真っ赤にして、怜の手を引いて駅へと向かった。どちらの家に行くとも宣言はしなかったが、自然と怜の家へと足を向けた。

    「れーくん……」

     ドアを閉めるなり、サクは怜に背後から抱きつき、首元に鼻先を埋めた。まずは靴を脱ごうとか手を洗おうとか、そういう事は一切頭になかった。

    「も、もう! 家に着いたばっかりだよ?」
    「だって僕のために色々考えてくれた怜くんのことが好きすぎて……はぁ……」
    「とりあえず手を洗って部屋に上がろ? ね?」
    「うん……おじゃまします」

     怜の言う通り、室内に上がると大人しく手を洗い、怜に従って部屋へと向かった。

    「はー、怜くんの部屋相変わらず綺麗に片付いてるなぁ……落ち着く……」
    「あはは、今度サクくんのお部屋片付けようね。おれも手伝うよ」
    「うえ、アレを手伝わせるのは申し訳ないな……あ、そうだ。はい、これ」

     唐突に金色のリボンで飾られた赤色の小さな紙袋をカバンから取り出し、怜へ手渡す。差し出された思いもよらないプレゼントを、怜は慌てて受け取った。

    「えっ、お菓子? いつの間に買ってたの?」
    「ごめん、僕が作ったやつだからお店のよりは美味しくないと思う」
    「へっ? サクくんの手作り……?」

     怜は気まずそうに視線を逸らしたサクと、手元の紙袋を交互に見る。店で買ったのかと思う程度に綺麗にラッピングされた袋からは、ほんのりと甘い香りが漂った。

    「そう、本当はチョコプリンを作ろうと思ったんだけど、持ち歩くだろうから傷んだりしたら嫌だなって思って、チョコマカロンにしてみたよ」
    「えっ、えっ……どうしよう……おれ、デートに浮かれて何も用意できてない……」
    「い、いいよ! 僕がしたかっただけだし……こういうの、ガラじゃないけどさ……怜くん、喜んでくれるかなって思ったら……ね」
    「嬉しい……ほんとに、大事に食べるね」
    「ふふ、早く食べてね。あ、食べさせてあげよっか。……口移しで」
    「ええっ……もう、からかわないでよ! ……っ!」

     驚いてサクの顔を見れば、思いのほか近くにあり、そのまま唇を重ねられる。怜が驚く間もなく、サクはぎゅうと怜の身体に抱きつき、頭を胸に預けた。

    「怜くん、大好き」
    「……おれだって」

     顔を見合せ、来年もこうやって二人で過ごせますようにと、怜とサクは祈るように互いに手を重ね笑いあった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator