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    Sei_Kurage

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    マカロン:あなたは特別な存在

    ##創作DKSS

    《Happy Valentine's-Day》Ver.怜サク 二月十三日、日曜日。バレンタイン直前、最後の休日だ。怜とサクはせっかく都合の合う日曜日だから出かけようと、街へ繰り出したものの、街に出ればカップルがその辺を手を繋いで歩いている光景ばかりが目立つ。

    「ここもいっぱいかぁ。やっぱり人多いね」

     ウインドウショッピングを一通り終え、少し休みたいねと話したものの、カフェやカラオケの様な気軽な場所は、待ち時間が数時間単位だった。

    「うん……お店はやっぱりどこもいっぱいだね。ううん、街に出たのは失敗だったかな」
    「全然、怜くんと行けるならどこでも楽しいよ」
    「いつもそう言ってくれるね」
    「本当のことだもん」

     ふふ、とサクは柔らかく笑うと、人混みで離れないように怜の腕に縋る。しかし、困ったような怜の表情はあまり晴れない。

    「うーん、そうだなぁ……。このまま歩いててもいいんだけど……ね、コンビニでもスーパーでもいいからなんか買っておうちでデートしようよ」

     あまりにも残念そうな顔をする怜を見かねて、サクが提案をする。お菓子を買って、飲み物を買って、好きな人と好きなように過ごすのは楽しいだろうと一言添えた。

    「今日くらいは、って思ってたのにカッコつかないなぁ。サクくんがそれでもいいなら、そうしようか」
    「いいよ、僕はキミがいれば幸せだもん」

     ニコニコと笑うサクに、怜は少し不思議そうな顔をする。笑っているのはいつもの事だが、今日は少し雰囲気が違う気がする。
     
    「サクくん、今日なんかふわふわしてない?」
    「そう? バレンタインの空気に浮かれてるのかも。怜くんと、こうやって初めて過ごすバレンタインだもん。はしゃいでもいいでしょ? なんてね」
    「そっかぁ……でも、それはおれもかも。いつもサクくんはかっこいいしかわいいし、おれも今日くらい彼氏らしいことしようって張り切っちゃったかも」
    「……っ! もうっ。は、はやく家に帰ろ!」

     サクは顔を真っ赤にして、怜の手を引いて駅へと向かった。どちらの家に行くとも宣言はしなかったが、自然と怜の家へと足を向けた。

    「れーくん……」

     ドアを閉めるなり、サクは怜に背後から抱きつき、首元に鼻先を埋めた。まずは靴を脱ごうとか手を洗おうとか、そういう事は一切頭になかった。

    「も、もう! 家に着いたばっかりだよ?」
    「だって僕のために色々考えてくれた怜くんのことが好きすぎて……はぁ……」
    「とりあえず手を洗って部屋に上がろ? ね?」
    「うん……おじゃまします」

     怜の言う通り、室内に上がると大人しく手を洗い、怜に従って部屋へと向かった。

    「はー、怜くんの部屋相変わらず綺麗に片付いてるなぁ……落ち着く……」
    「あはは、今度サクくんのお部屋片付けようね。おれも手伝うよ」
    「うえ、アレを手伝わせるのは申し訳ないな……あ、そうだ。はい、これ」

     唐突に金色のリボンで飾られた赤色の小さな紙袋をカバンから取り出し、怜へ手渡す。差し出された思いもよらないプレゼントを、怜は慌てて受け取った。

    「えっ、お菓子? いつの間に買ってたの?」
    「ごめん、僕が作ったやつだからお店のよりは美味しくないと思う」
    「へっ? サクくんの手作り……?」

     怜は気まずそうに視線を逸らしたサクと、手元の紙袋を交互に見る。店で買ったのかと思う程度に綺麗にラッピングされた袋からは、ほんのりと甘い香りが漂った。

    「そう、本当はチョコプリンを作ろうと思ったんだけど、持ち歩くだろうから傷んだりしたら嫌だなって思って、チョコマカロンにしてみたよ」
    「えっ、えっ……どうしよう……おれ、デートに浮かれて何も用意できてない……」
    「い、いいよ! 僕がしたかっただけだし……こういうの、ガラじゃないけどさ……怜くん、喜んでくれるかなって思ったら……ね」
    「嬉しい……ほんとに、大事に食べるね」
    「ふふ、早く食べてね。あ、食べさせてあげよっか。……口移しで」
    「ええっ……もう、からかわないでよ! ……っ!」

     驚いてサクの顔を見れば、思いのほか近くにあり、そのまま唇を重ねられる。怜が驚く間もなく、サクはぎゅうと怜の身体に抱きつき、頭を胸に預けた。

    「怜くん、大好き」
    「……おれだって」

     顔を見合せ、来年もこうやって二人で過ごせますようにと、怜とサクは祈るように互いに手を重ね笑いあった。
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    koyubikitta

    DOODLE一緒にいても何とも思わないけど一緒にいなかったらなんとなく不安になる夜帳と比鷺
    #お題ガチャ #男ふたりの色んなシーン https://odaibako.net/gacha/1739?share=tw

    早野の夜鷺さんへ贈るタイトルお題は、『書を捨てよ、此処を発とう』 です。
    #shindanmaker #同人タイトルお題ったー
    https://shindanmaker.com/566033
     浪磯の部屋を引き払って別の部屋を借りる予定だと聞いたのは、その部屋を明け渡すほんの数日前の事だった。というかつまり、今日初めて知った。
     萬燈夜帳が契約している部屋はいくつか存在しており、浪磯にあるマンションの一室もそうだった。バルコニーから海が見えるその部屋に、比鷺は何度か足を運んだ。山ほど本やCDがあるんだろうと思ったが、それほど物はなかった。当然だ。彼の自宅は別にあるのだから。広くてシンプルなのに殺風景ではない、趣味の良い部屋だと思った。
     良い風じゃん、日当たりも良さそう、トマトでも育てれば? なんていい加減なことを言いながら不思議な気分になったのをよく覚えている。出会ったばかりの頃はずっと萬燈に怯えていた。今は……今はどうだろう? 怯えたって仕方がない相手だとは思う。怖い部分もあるし、可愛い部分もある。人間らしいな、と思うときも人間らしくないな、と思うときもある。まあだから、つまり、慣れたんだろう。慣れた比鷺はふかふかのソファに寝そべってテレビで洋画を見たりもした。自分が介入できない映像を二時間も見続けるのは大変だな、と思って、次はあまり使ってないゲーム機を持ち込んだ。萬燈と対戦して、勝ったり負けたりする。……まあ、トータルでは俺が勝ったけどね。
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