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    Dk6G6

    @Dk6G6

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    DOODLEカブルーがミスルンにマッサージするだけの話
    未来永劫、貴方だけ目と目が合った瞬間、カブルーは自分が幻覚を見ているのではないかと真っ先に思った。だから瞬きを何度かしてみたけれども視界の景色は全く変わらない。一度視線を逸らし、もう一度焦点を合わせてから見ても無駄だった。数メートル先ではいつも通り泰然とした様子のミスルンが立っている。これが城や街中ならカブルーはいつも通りにこやかに声をかけただろう。
     しかし、今の彼の立っている場所が場所だ。視界を少し上に向けると、彼が出てきた店の看板が堂々と掲げられている。マッサージ屋と謳われているそこは、いわゆる夜のお店だった。歓楽街の中心地に健全なマッサージ屋などそうあるものではない。それにマッサージ屋とは書かれていても、その店の外観に張られているポスターや雰囲気を見れば、通常のそれでないことは一目瞭然だろう。そんな店からミスルンが出てきた。幻覚を疑ってもしょうがない。だって、彼に性欲などないはずだ。通常の男の知り合いがこんな店から出てきたのならカブルーは相手の性格によって軽く揶揄ったり、逆に見なかったふりをする。知り合いに性を発散しているところを見られたら、誰であれ多少気まずさは生じるだろう。でも相手はミスルンだ。羞恥心もないし、性欲もない。
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    DOODLE独占欲が芽生えるミスルンの話
    貴方の人生最後まで自分で言うのも何だが、人間関係は上手くこなして来た方だと思う。うっかり背後から刺されたりしない程度に人々の好感度を稼ぎ、老若男女、種族問わず程よいお付き合いをしてきた。その中にはカブルーを独占したいと密かに思うものもいただろうが、カブルーの立ち回りの上手さがその欲求を行動に移させることはなかった。つまり、カブルーは今まで特定の誰かに束縛されることなく、自由を満喫していた訳である。

    「お前にも仕事があるだろうが、出来る限り女と二人きりにはなるな」
    「帰りが遅くなりそうなら必ず使い魔で連絡しろ」
    「誰かと飲みに行くなら事前に報告するように」

     その自由はほんの数か月前まで、という注釈はつくが。カブルーは現在種族も違えば年の差もあるエルフとお付き合いしている。正直に言うとカブルーが若さと勢いに任せてミスルンに告白を頷かせたような形で交際を始めた。欲求の失ったミスルンが他者に恋愛感情を再び抱けるのかと懸念はあったが、そこはカブルーは自身の寿命をかけた長期戦に挑むつもりだった。何十年かかろうともこの人に好きだと言わせてみせると、カブルーはミスルンと恋人になった時に決心した。そう、決心したのだ。
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