その手紙はなんともうすら寒い一行から始まった。
あなたに恋をしている、と。
長い金髪の美しさに見惚れ、透徹とした瞳の中に世俗に交じっても汚れぬ純真性、完全性を見たという。あなたがこの業界からいなくなるのが、なによりの損失である。いまからでも卒業という選択を考え直してはくれないかという懇願。しかしそれは自身のわがままであり、舞台を降りたあなたの活躍を今後も祈っている。
まとめてしまえばこんなものだが、どうにも距離が近いくて、正直に言えばちょっと気持ち悪い。
拾った手紙をなんとも言い難い気持ちで眺めた。
これはいったい、どっちの話をしているんだろう
「何をしている」
「あ、監督」
「廊下に手紙が落ちてまして……封筒になにも書いてなかったので、なんの手紙か確かめようと中を見たんですが……」
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