"僕"の中で僕は見ている。いつからだろうか...
みんなが僕のことを恐れるようになったのは...
「うぇぇぇん!リドルくんがぁ〜!!!」
(僕は、悪くない。ただ、そいつが持っているものが欲しかったんだ。)
僕の手には、そいつから奪った唯一そいつの両親との繋がりがあるものがある。
僕は、その場から立ち去った。
自室に入って、手に持っているものをベッドの上に置く。
(僕も、本当はこんなこといつもするわけじゃない...)
ただ、知りたいんだ。
両親からの愛を...
僕の親は何を持って、ここに僕を捨てたのかを...
ただ知りたいんだ...
リドルは、静かに涙を流しなが、体の力が抜けるかのように深い眠りについた。
はずだった...
ふと、眠りから目を覚ましたリドルは辺りが真っ暗な空間にいた。
「ここはどこ?シスターは?」
突然のことに、リドルは訳が分からなくなっていた。
ふと、急に目の前が明るくなった。
そこには、僕の部屋で寝ている僕の映像が流れていた。
「は!?なんで僕があそこにいるんだ?」
しばらく、その映像を見ていると僕がここにいるはずなのに"僕"の体は動き出した。
「はぁ!?」
『はぁ!?』
映像の"僕"と僕は同時に叫んだ。
「なんで、僕の体が勝手に動くんだ!」
『私は...確か、死んで...』
明らかに、この映像から僕の体には違う僕じゃない誰かが入っていることがわかった。
「ふざけるな!僕の体返せよ!」
『あぁ、なんてことだ...』
「持ち主は僕だ!誰だか知らないけど返して...」
返してよといい切る前に、リドルの頭の中には様々な記憶が駆け巡る。
(これは...なんだ?)
大きなお城で争いが起っている映像。
綺麗なドレスを着ている女性と並んでいる映像。
杖のようなものを掲げて人と戦っている映像。
局長と呼ばれ部下の人からしたわれている映像。
子供たちと仲良く戯れている映像。
裏切り者と、さっきの女性やほかの人達から言われ続けている映像。
そして、一面に緑の光が映し出されている映像。
この他にも様々な映像が流れた。
そして、あることに気がついた。
この映像の持ち主は...
『あぁ、先に死んでしまって...済まない。ジェームズ、アルバス、リリー...』
目の前に映っている僕の体に入っている人のものだと。
(こいつは、死んで僕の体に入ったのか?)
リドルは、死というももは恐ろしいものとしか知らない。誰にでも訪れる死という概念。
だが、こいつの記憶を見る度に死を恐れているのではなく。なにか自分の大切なものを失うのが死よりも恐ろしいと思える感情が僕の中に入ってくる。
『愚かな父を許してくれ...そして、幸せに暮らしてくれ...』
その言葉を聞いて、僕に足りない愛とは何かを知れる気がした。
こいつの、記憶を見れば僕の親がなぜ僕を捨てたのかもわかるのかと...そう思ってしまった。
しかし、その答えは、すぐに見つかった。
僕の体の中に入ったやつ。名をハリーというらしいがどうもこいつは未来から来たらしい。
ハリーは、僕の体を鏡で見て叫んでいた。
『はぁ!?僕、トム・リドルになってるんですけど!?』
正直、僕の名前を知っていることに驚いた。
そして、その理由は僕の知りたい情報とともにすぐに見つかった。
「な、なっ、な!!」
僕の母親は、魔法使いと呼ばれる不思議な力を持った人だったらしい。
そして、魔法使いの世界にも血を守らなきゃ行けない習慣があるらしく、純血と呼ばれるものは(ほとんど貴族っぽいけど...)純血同士で結婚しなくては行けないらしい。
けど、僕の母親はそれを無視してマグルと呼ばれる魔法を使えない人と結婚をした。けど、そこに愛というものはなくて僕の父親は、僕を身ごもった母を捨てた。
そのせいか、母は僕を産んで直ぐに死んでしまった。僕をこの孤児院に入れたのは病院の看護師らしい。
ハリーの記憶を見て僕は絶望した。しかし、それもつかの間次の記憶を見た瞬間僕は恥ずかしさでいっぱいになった。
僕は、11になってホグワーツという魔法学校に入る。それまではいい。
けどそのあとだ!
なんだよ闇の帝王(笑)ヴォルデモート卿って!
死喰い人ってなんだよ!
僕がそれを取り巻くリーダーとか、ないない!
それに!なんだあの蛇顔!?
僕将来あんな顔になっちゃうの!?
蛇は好きだけど!あんな顔になりたくない!
あんな、たか笑上げて俺様とか...恥ずかしすぎる...
しかも、いい大人がだよ!?
あ、なんだか泣きたくなってきた...
実際に、涙目になっているリドルはハリーの記憶を見て思ったのはひとつ。
「絶対に闇の帝王(笑)なんてなりたくない。」
だった。
それからというもの、僕は相変わらず僕の体に入ったハリーの映像をずっと見ていた。
ハリーは、未来から来たこともあるのか様々な知識を知っていた。
僕がいるこの空間は、ハリーの様々な知識が本として並んでいた。
どれもが興味深くて、僕はハリーの映像を見ながら本を読んでいた。
ハリーは、不思議な人物だった。
ある日、こんなことを言っていたからだ。
『この体の、本当の持ち主であるトム・リドルはどこにいるのだろうか。』
『もし、彼がどこかにいるのならば寂しい思いをしてないだろうか...まさか、リンボの世界に...』
『いや、それは無い。きっとどこかにいるのだろう。』
と、時たま僕を思って体を返してあげたいと言う言葉を聞く。
その言葉を聞いてなんとも言えない感情が僕には芽生えた。
おそらく、僕のためを思って考えてくれていることに嬉しさを感じたのかもしれない。
「なんで、僕のことなんかを考えるのだろうか?」
未来では、僕は君の両親を殺すのに...
そうだ、このハリーは未来の僕によって両親を殺されている。
その後の生活は、今の僕と同じような劣悪な環境の中で育っていた。
その結果を産んだのは他でもない僕だ。なのに何故ハリーは僕のことを恨まないんだろうか。
リドルは、ハリーのことが分からなかった。
けど、次の彼の言葉で僕は救われた気がしたんだ。
『リドルは、寂しかっただけなんだね。僕と同じで...両親からの愛を知りたかっただけなんだね。』
その言葉を聞いて、僕はやっと、やっと自分と共感してくれる人物に巡り会えた気がした。
ハリー以外にもいたかもしれない...けどハリーだからこそ、気がついてくれたことにとても嬉しくて嬉しくて、その日僕はずっと涙を流していた。
「あぁ、やっと。わかってくれる人が来たんだ。」
リドルは、滅多に神など信じなかったがこの時だけはハリーと巡り合わせてくれたことを神に感謝したのだ。
「やぁ、君がリドルかい?」
「なんでハリーがこの空間にいるの?!」
次の日、目を覚ましたらメガネをかけた男がいて僕はびっくりした。