【曦澄】蓮の湯浪漫蓮の開花に誘われ蓮花塢を訪れた藍曦臣は、その見事な花の盛りに目を細めた。湖面に広がる美しい景色は何度見ても飽きない。
「どうだ? 今年も美しいだろう?」
「ええ。何度見ても感嘆致します。素晴らしい眺めですね」
青々とした葉の中で鮮やかに花開く蓮の美しさに圧倒される。まるでどこまでも広がっているかのような雄大さに時を忘れて見入ってしまう。
湖面の中を一艘の舟が葉をかき分けてゆっくりと進んでいくのが見えた。小さな漣が舟の軌跡を淡く残していく。その様さえ一服の画のようだった。
うっとりと蓮に見入る藍曦臣に江澄も満足げに頷く。
そうして二人で四阿で眺めること暫し。ねえ、晩吟と藍曦臣が口を開いた。
「ちょっと試してみたいことがあるのですが、良いかな?」
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