悪くない日 「遅いぞ、お前」
「いたっ、」
軽くチョップされティファリアは声を上げる。
「お前が言ったんだろ、庶民の遊びを教えるって」
「あはは…そうでした」
違う学校に通うザフォラとティファリアはある日出会い仲を縮めた二人。今日はティファリアの誘いにより、ザフォラの言った通り庶民の遊びを学ぶためと所謂放課後デートをしているのだった。
「ゲームセンターって…想像していたよりもやっぱり騒がしいな」
「あはは…まあそういうものだからね。でも、絶対絶対ザフォラも気にいると思うの!」
そうか?と首を傾げるザフォラの手を引っ張り連れて行く。そして一台のUFOキャッチャーにティファリアの視線が止まる。
「ねえ、ザフォラ。あの子、ラディに似ていると思わない?」
「あのぶさいくな奴が?」
「ぶさいくじゃないもん!」
そう言いつつティファリアは小銭を入れて操作していくがうまく捕まらず、手に入れることは叶わなかった。
「下手くそ」
「ザフォラってばひどい!UFOキャッチャーって難しいんだよ!?」
「…俺にやれってか?」
「はあ…わかったよ」
しかしティファリアの予想に反してあっさりとザフォラがとってしまうのでティファリアは複雑な想いを抱いてしまう。
「ほら、このぶさいくなやつが欲しかったんだろ」
「いいの?」
「お前が欲しがったんだろ。俺はいらない」
「ふふ、そっかぁ。ありがとう、ザフォラ」
「…現金なやつ、」
ふっと笑いつつもその後はゲームをしたりプリクラを撮ったりして計画通り遊び尽くしたのだった。
「はい、これザフォラの分。好きなところに貼ったりしてね」
「お前はいいのか…」
「?なんで?」
「なんでって、それは…」
はぁ、とザフォラはため息を吐くともういいと言葉を濁す。
「どこに貼っても文句言うなよ」
「言わないってば!…ねぇ、ザフォラ。今日は楽しめた?」
「まあ……悪くはなかったかな。だからたまにはお前に付き合ってやってもいいーーが、次は俺に付き合えよ」
「うん!デート楽しみにしてるね」
「ああ…デート、だな」
ふっとザフォラは笑うとどこかに飛んでいってしまいそうなティファリアの手を掴んで握りティファリアの家の前まで送るように歩く。実のところ次のデートを楽しみしていることがバレているであろうことに気付きつつ隠れるように笑みを浮かべるザフォラだった。
-Fin-