共にいられる時間 「わっ、ちょっ…ざ、ザフォラ…?!」
わたわたと慌てた様子の私にくっくとザフォラは機嫌が良さそうに笑う。ザフォラが笑ってくれるのは嬉しい…だけど……この状態はやっぱり、とザフォラの上から退こうとするがザフォラに抱きしめられているせいでそれは許してもらえそうになかった。
「なんで退こうとするんだ」
「だ、だって…」
「俺に休憩しろと言ったのはお前だろ?」
「い、言ったけどそれはリラックスしてほしいとか休んでほしいとか、仮眠を取って欲しいとかそういう意味で…」
「なら俺にとって休憩はこういう意味だ」
そう言ってザフォラは意地悪く笑って私の唇にキスをする。
「っ……」
「はは、顔真っ赤だぞお前」
「ざ、ザフォラのせいだもん……」
むっと頬を膨らませるとそれを楽しそうに笑ってザフォラの両手が私の頬に添えられる。
「お前、リスみたいだぞ。頬袋にパンパンにエサを入れたリス」
「もう、ひどいよ…ザフォラ」
「はは、悪い悪い。悪かったって、機嫌直せ」
そう言ってザフォラは私の額にキスをする。
「…悪いって思うなら好きって言って」
一瞬固まったザフォラだったが観念したように息を吐くとそっと私の顔を引き寄せ、耳に唇を寄せる。
「……仕方がないから、言ってやる。」
ドキドキと私の胸は跳ねる。こういう時じゃないとザフォラは言ってくれないから私にとっては宝物のように嬉しいことだったりする。
「…………好きだ、ティファリア。」
「!」
「好きじゃないとここまでお前を連れてきたりしないし、迎えにも行かないし、俺はそんなに自分を安売りしてるつもりはない。ましてやキスなんて…好きでもないのにするわけがないだろ」
全く、と息を吐いて寄せた唇を離すザフォラ。けれど恥ずかしがるザフォラとは反対に私の心の中には喜びが広がっていく。
「何、間抜けな顔してるんだ」
「だって、嬉しいから。ザフォラ、ありがとう」
「…別に」
「ふふ、私もザフォラのこと大好きだからね!」
「っ……知ってる」
そう言って顔を逸らしたザフォラはそのまま、私を抱きしめたまま私ごと横になった。
「ザフォラ…?」
「休憩しろと言ったのはお前だろ。気が抜けた…寝る、からお前は傍にいろ」
「!…うんっ」
「……喜びすぎだろ」
困ったように、けれどその頬に朱が差しているのが見えていた私はザフォラが傍にいることを肌で感じながら一緒に布団にもぐった。
「おやすみ、ザフォラ」
ザフォラはもうすっかり眠ってしまったようで寝息を返事と受け取った私はザフォラの額にキスして寄り添うように眠りに落ちていった――。
-Fin-