俺だけの姫 「また今日もすごいことになってるな、お前は」
そう言ってくっくっとザフォラは笑いそれにティファリアは頬を膨らませた。
「…自分がされてないからって」
「ははは」
「もう!」
「まあ、そう怒るな。精霊たちも悪気があったわけじゃないし…これは祝福だからな」
「それは分かってる、けど…」
そう、ティファリアはザフォラと結婚式を挙げてからというもの特に一人で外に出た時は気付けば花で髪をアレンジされていた。いつもいつも違う形でのお姫様のような髪型に最初の頃は喜んでいたものの、こう毎日続くと辟易するといったものだ。
「!?」
と、突然花を間に挟みながら一本に編み込まれたティファリアの髪を手に取るとザフォラはその髪に口付けた。
「ざ、ザフォラ!?」
思わず顔を赤くさせるティファリアにザフォラはまた笑う。
「よく似合ってるじゃないか」
「…え」
「何驚いてるんだ、俺だってたまには褒める」
「う、うん…そう、そうだよね…」
そう言いながらも嬉しさでちらちらとティファリアはザフォラを見つめザフォラはそんなティファリアが可笑しくて、愛らしくてまた笑う。
「もう、笑わなくてもいいでしょ!」
「悪い悪い、で?何か言いたいことでもあるんじゃないのか?」
「う…あ、あの…あの、ね?」
「ああ」
「…お、お姫様みたいに、見える?」
「ーーー」
「ご、ごめん!やっぱりなし!自惚れ過ぎーー…」
「おい待て、勝手に結論づけるな」
「えっ」
逃げようとするティファリアの腕を掴み、同じように顔を赤くさせたザフォラはティファリアを見つめる。
「そうじゃないはずがないだろ」
「…それって、」
「どこだからどう見てもお前は俺の姫だよ」
「!」
「…これで満足か?」
「〜〜っ、うん!」
「あ、おい!」
突然、突進するような勢いで抱きついてきたティファリアにバランスを崩しザフォラはティファリアごと後ろに倒れる。そんな様子をザフォラの部下たちはもちろんのこと、クルトラの精霊たちが笑い声と共に微笑ましく見守っていたーー。
-Fin-
午前7:38