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    pagupagu14

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    夢のその先の誓い/疾唯(スタオケ)
    久しぶりのスタオケ。疾唯は恋愛一色というよりはこういった友愛強めのライバルであり、みたいな少し恋の色がつきはじめてる感じが好き

    #金色のコルダスターライトオーケストラ
    #スタオケ文芸部
    staokeLiteraryClub
    #疾唯
    vyvay

    夢のその先の誓い 用を足して、さて個室を出て練習へと向かおうとしたところで思わず息を呑んだ。
    「普通科のくせに生意気だよね~、竜崎くんもさあんな子に構わなくてもいいのに」
    所謂自分への陰口を言っているのだと思えて一生懸命息をひそめた。普通科だからという理由で非難されることは慣れていた。けれど、けれど、自分が理由で竜崎くんのことを悪く言われるのが我慢ならなかった。彼女たちが出ていったことを確認するとやっとの思いで個室を出る。
    「はあ……練習行こう、」
    足取りが重くなるのは確かだった。
    ***
     「すいません、頭冷やしてきます」
    今日の音は散々だった。誰も何も言わなかったが昨日の今日であんなに変わっていたら何かあったと思うはずだ、と重たい息を吐き捨てながら蛇口を上に向けて水を頭から被る。
    声が、こびりついて消えない――。
    「わかってる、わかってるってば」
    そんなこと、誰よりも自分が分かっている。才能がないのかもしれない、けれどでもあの手を取った時からこの夢を抱いた時から、諦めるという文字は私の辞書は存在せず、ただ真っ直ぐ前を見ることしか考えていられなかった。だから、だろうか――…自分のせいで誰かが避難されるなんて考えもしていなかった。
    「~~、ああ、もうっ…うるさいうるさいうるさい!」
    一人でに叫ぶ。
    「分かってるってば、分かってるってば!」
    誰より自分のことは私が一番。
    「普通科だとか関係ないっ、音楽が好きで何が悪いって言うの!」
    ただ、純粋に好きなだけ。
    「そんなレッテルで私のこと評価しないでよ!」
    「ばか!ばか!ばか!」
    バチン、と叫んだあと気合を入れる意味で自分で自分の両頬を叩く。
    「よし、もう大丈夫!」
    すっきりした、そんな時だった視界が暗くなりそれはジャケットをかぶせられたからだと気づくのにそう時間はかからなかった。
    「えっと……竜崎くん?」
    「何だ気づいていたのか」
    「…どうしたの」
    「別に」
    「……あーあ、もう、竜崎くんのせいだよ」
    自分を奮い立てて大丈夫だと気にする必要はないとそう自分の気持ちから目を逸らしていたのに、こうやって優しくされてしまえば涙がほろほろと零れだしてくる。そんな私を見て竜崎くんは何も言わず、ただ私が泣き止むまで傍にいてくれてその優しさがまた私の涙を誘った。
    ***
     「落ち着いたか」
    「うん…ごめん」
    「別に謝られるようなことはしていない。で?何があった」
    「…それ、聞く?」
    「知りたい、俺は」
    「……竜崎くんには言いたくないんだけどなあ」
    「…俺になにか関係あるのか?」
    「まあ、少し?」
    そういってトイレであったことを話すと想像通り竜崎くんはまるで自分のことのように憤慨してくれてそれが嬉しくなってしまった。
    「怒ってくれてありがと」
    「別に…礼を言われるようなことじゃない。それに――お前がどうであれ俺はお前の音楽を尊敬している。同じ夢を見ている仲間だからな、だからそいつらが言っていることは的外れだ」
    「うん、そう…そうなんだけどね。まさか自分のせいで誰かが悪く言われるなんて思わなくてさ…かなり、動揺しちゃって。あと、悔しかった」
    「悔しい?」
    「私のせいで、竜崎くんだけじゃなくて他の皆も何か言われたらって思うと動けなくなりそうなくらい怖かったけど…でも、それじゃコンミスとは言えないよね」
    「朝日奈?」
    「強くなる!強くなって世界のその先も普通科だからって見てやる!そしてぎゃふんと言わせて皆といても文句言われないくらいすごくなってみせる!」
    立ち上がり、拳を作って言うとぽかんと口を開けていた竜崎くんが急に笑い出す」
    「ちょ!?」
    「あはははっ……さすが、流石だな…朝日奈…いや、コンミス」
    「私は本気なんだけど!?」
    「分かってる。分かってるからこそ…俺はお前のそういうとこが好きだ」
    「好き?」
    「………ち、ちがっ、そう言う意味じゃ……っ!」
    「あはははっ、分かってる、分かってるってば」
    「…ならいい」
    一変して拗ねたような態度をする竜崎くんに笑みを返しながら私は拳を竜崎くんの方へと向けた。
    「絶対追いついて、竜崎くんのことも追い抜いて見せるから」
    「させるか。だが、夢のその先でもお前と音を楽しめるのを、俺は――待っている」
    こつ、と合わせた拳は誓いの証。
    「ほら、朝日奈。練習に戻ろう。もう、大丈夫だろう?」
    「うん、もちろん!」
    普通科なんてものに縛られず強くなろうと誓った日だった。
     木蓮館に戻った時、私が竜崎くんのジャケットを着たままでそれを茶化されてしまうのだけれどその時の竜崎くんの照れた顔はすごく良くって、なんだかほわほわとした気持ちに私はなったのだった。
    -Fin-
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