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    winterland1234

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    winterland1234

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    江澄誕生日記念の小説(書きかけ)

    雨を司る鬼の呪いを受けた江澄とその呪いを分かち合う曦臣兄さんの話です。

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #曦澄
    #江澄
    lakeshore
    #藍曦臣
    lanXichen

    江澄誕生日おめでとう小説(途中まで) 江晩吟こと江澄は雨の降り続ける蓮花塢の寝室で寝込んでいた。雲夢では雨がもう何十日と言っていいほど降り続けている。町の人々はこの季節になるとよく降る雨と思って最初は受け入れていた。だがそれが十何日と続いてくると流石の彼らも異変に気づき、川も増水して溢れた分が川の近くにある村々を水浸しにしていったのだ。
    「これは流石におかしい」
     そう考えたある村の人々が雲夢の仙家である江家に赴き、これは美雨鬼の仕業ではないか、調べてほしいと陳情した。
     当主である江晩吟は最初こそは「違う」と言って彼らを帰らせたが、その数日後にその村の中で死者が出たのだと報告を受けた。その報告を聞いて部下の仙士たちを連れてその村にある堂へ向かった。もちろん美雨鬼を討伐するためだ。
     だが美雨鬼という鬼は普通の仙士では到底相手になるような悪鬼ではなく、彼らを斬り殺すと邪気の含んだ呪いをかけた。
     美雨鬼は江家の仙士たちだけでは相手にならないと、江晩吟はかつての義兄の嫁ぎ先である姑蘇藍家の人々を呼んだ。もちろんかつての義兄、魏無羨も呼ばれたのだ。
     珍しく人を自身の寝室に入れ、寝台の上で血を吐きながら江晩吟は魏無羨をはじめ、藍家の人々に資料を出して話をしていた。
     江晩吟こと江澄が咳をするたび彼は血を吐き、その血で白い布団が赤く染まっていく。現に魏無羨が江澄を心配して呪いを軽くする呪符を使って彼の病態を何とかしようとしていた。魏無羨は呪符や呪いといった道にかけては天才だ。そんな彼をもってしても美雨鬼の呪いを軽くすることには難儀した。
     何度も呪符を書いては江澄にそれを使っていたが、ほぼ何もできずじまいであった。そんな江澄は呪符をかけるたびに自身も疲れた様子になっていく魏無羨を気遣って言った。
    「俺に構うな」
     すると魏無羨はやつれた顔で笑ってこう言い返すのだ。
    「弟を心配しない兄はいないぜ」
    「お前はもう江家の者では……、ゴホッ、オッ、ッ……」
    「もうこれ以上話すな。布団がさらに赤くなりやがる。お前も血だらけの布団で寝たくはないだろ?」
    「……」
    「で、美雨鬼の話だけど、これは俺たちに任せろ。実は思追たちとあの村には出かけて美雨鬼の堂にも行った。そこには干からびた男の死体があってな、村人に聞いたんだがみんな口をつぐむんだよ。だから共情して男に何があったかを見てきた」
    「……」
     江澄は呆れたといった様子で魏無羨を見つめる。だが一方の魏無羨からすれば、その瞳はもはや何も映していないように思えてならなかったのだ。
    「男の名前は李晴天。晴楽という妹もいたみたいだが雲夢で遊女をしていたようだな。二人の父は杣売りをしていたんだがある日雲夢から病をもらってきたみたいでさ、それが移るものだから村八分に合っていたようだぜ。そんな家計を支えるために李晴天は村八分に遭いながらも杣売りを引き継いで稼いでいたようだな。晴楽も自ら雲夢の遊女として身売りしたそうだ。だがある日、父と同じように晴楽も病にかかって村に戻ってきた。彼女もまた村八分に遭って、ある日晴れしか続かない日々と暗い家の部屋で眠る自分の落差に嫌気が差したみたいで兄にこう言ったそうだ」
    「……なんて?」
    「ああ! もうお前は何も話すな! で、李晴天は堂に行って願った。『雨を降らしてほしい』と。するとまあ、雨降らしは美雨天の得意分野だ。奴は目覚めて李晴天にこう聞いた。『何をもって代償とする?』と。李晴天は妹の願いを叶えて死にたかったようでな、『俺の体を捧げる』と答えた。そしてそこで体がフワッと浮かんだような気がして、それで共情はおしまいだ。で、ここから俺の憶測になるが……、もしかしてお前が呪いを受けたのは、美雨鬼を封じたのが何代か前の江家宗主だったからじゃねえか?」
    「そんな話は聞いた事ない」
    「俺も江家の仙士たちと一緒に資料を漁ったよぉ。そしたら四代前の宗主が雨乞いの犠牲になって死んだ鬼を封じたって出てきたよ。しかも同じ村だ!」
    「勝手に江家の資料を漁りやがって! ……ゴポッ、ゲエエエ……」
     起きあがろうとした途端、江澄が血を嘔吐し始めた。ただでさえ赤く染まった布団がさらに赤く染まっていき、もはや白い部分が見当たらないほどだ。
    「……江澄、大丈夫か?」
     血を吐き切ると江澄は倒れてそのまま意識を失って寝台に倒れた。魏無羨は金凌にあらかじめ伝えていた。彼の外叔父の余命は呪いを解かない限り、五日ももたないと。
     それを聞いた時の金凌の涙が魏無羨には思い浮かんだ。この呪いを自分に移して少しでも寿命を伸ばさなくては。そう考えて魏無羨が呪符で自身に呪いを移そうと呪文を唱えた途端、扉がガラッと開いて彼を呼ぶ声がした。
    「魏公子。もうこれ以上無理をしないでくれ。忘機が悲しむ」
    「藍宗主、これは江家の問題です。どうか邪魔しないでください」
    「私が江宗主の受けた呪いを共に受けましょう。私には自分が呪いで苦しむよりも、弟の苦しむ様を見る方が拷問に等しいのです」
     そう言って藍曦臣が魏無羨に近づいてきて、彼の手に持っていた呪符をそのまま奪い取ると呪符に書かれた呪文を唱える。すると途端、呪符の効果か藍曦臣の口元から血が垂れてきた。そして彼はバランスを崩して床に倒れた。
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    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

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    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

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    Twitter投稿していたものから誤字と句点修正版。
    内容は同じです。
     冷泉へ向かう道の途中に注意しないと見逃してしまうような細い道があることに、ある日江澄は気が付いた。
     魏無羨が金子軒を殴って雲夢に戻りひと月ほどたった頃だったろうか。
     魏無羨が帰ってからというもの、江澄は一人で行動することが多くなった。
     時折は聶懐桑と一緒に行動することもあるが、半分かそれ以上は一人だった。
     藍氏の内弟子以外は立ち入りを禁止されているところも多くあるが、蓮花塢と違って、この雲深不知処は一人で静かに過ごせる場所に事欠かない。誰も来ない、自分だけの場所。かつ、仮に藍氏の内弟子に見つかったとしても咎められないような場所。そうして見つけたのが、この細い道を進んだ先にある場所だった。おそらく冷泉に合流するだろう湧き水が小川とも呼べないような小さな水の道筋を作り、その水を飲もうと兎や鳥がやってくる。チロチロと流れる水音は雲夢の荷花池を思い出させた。腰を掛けるのにちょうど良い岩があり、そこに座って少しの間ぼんやりとするのが気に入っていた。ともすれば、父のこと、母のこと、魏無羨のこと、五大世家の次期宗主、公子としては凡庸である己のことを考えてしまい、唇を噛み締めたくなることが多 3083