【イヌ武編】ヒーローになんかさせない番外編 どうしたものか、と武道は頭を悩ませていた。未来から戻ってきて、紆余曲折ありながらも大寿と乾、九井と和解をして共に幸せな未来を掴むと決めてからしばらく経った。
黒龍の十一代目ボスとしての生活に慣れ、三人はもとより黒龍の平隊員たちとの絆も深まってきた頃。困ったように眉を下げた自分の大切な友人からの相談事こそが、武道の悩みの種だった。
「最近イヌピーくんの態度が冷たい気がする……かぁ」
うーんと唸り、自室のベッドに大の字になる。
事の経緯はこうだ。学校へ行く道すがら、イツメンである溝中メンバーと話をしていた時に五人の中でのリーダー格である千堂が「あのさ」と口を開いたのが始まり。ある頃から突然……そう、ちょうど武道が昏睡状態に陥った後ぐらいから、乾の千堂にへの態度が冷たくなったように感じると。
12869