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    Kakitu_prsk

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    Kakitu_prsk

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    相互フォロワーさんからのリクエストに応える企画第三弾
    夏子さんのリクエスト
    「互いに花を送り合うお話を...お願いします!!!」

    交際記念日に花を贈りあっている二人。五年目にして「ちょっと気合入れ過ぎ?重い?」と司の贈る花と見比べ不安になっていた類が、幼馴染に相談した末に、司のとある想いに気づくことになるお話。最終的に二人は結婚する(ネタバレ)

    "頭"を読むんだぞ久しぶりだね、寧々。大学を卒業して以来かな。そっちの劇団はどうだい?
    僕の方も……

    あぁ、ごめんごめん。
    そうだね。世間話は何時でも出来るし、早速本題に入ろうか。


    ――今日は相談に乗ってくれてありがとう。
    寧々も知ってると思うけど、司くんと付き合い始めてからそろそろ五年が経つんだ。
    それで、僕らが交際を始めた記念日には、毎年贈り物を渡しあうことになっていてね……。

    ……"バカップル"とは手厳しいなぁ。
    それに、プレゼントの内容自体はシンプルだよ。最初の年にショーで稼いだ給料を殆ど使ってペアリングを買おうとしたら「次そんなことをしたら絶交する」って司くんに凄く怒られて……それからは、毎年"花"を送り合うということになったんだ。

    フフ、そうだね。当時の僕は浮かれすぎてて、色々とズレているところがあったと思うよ。
    花という枠組みさえ決まっていれば、お金をかけすぎることもないし、何より種類が多いから色々と工夫することもできるからね。良い提案だと僕も思っていたよ。ただ……

    ……うん。単刀直入に言おうか。
    今日寧々に来てもらったのは、司くんへのプレゼントについて相談したかったからなんだ。

    確かに"花を贈る"ということは決まっているし、この四年間は僕も考えた上で色々な花を贈っていた。
    ただ、最近になって少し不安になってしまってね……
    僕が贈る花は、少し――司くんにとって重すぎるんじゃないかと。

    ああいや、別に数百本も纏めて贈っているって意味ではないよ!
    まぁ、バラの花を百一本贈ることも考えなかった訳ではないけれど……待ってくれ寧々、追加で何か頼んでいいからもう少し話を聞いてくれないかな…!

    ……ありがとう。
    それで話を戻すけど、重いというのは『花に込めた想い』についてなんだ。
    ほら、花言葉というものがあるだろう?どうせ花を贈るなら、大好きな司くんに僕の想いを存分に伝えようと思ってね。
    それで毎年、愛や恋にまつわる花を贈っていたんだ。去年はマーガレットを贈ってね……花言葉は――あぁ、ごめん。本題に戻すよ。

    そうやって四年間送り続けていた訳だけど……五年目の花を選ぼうとした時に気づいてしまったんだ。
    「司くんが僕に贈ってくれる花と比べて、僕の贈る花は重すぎるんじゃないか」って。

    ――そうだね。まずは司くんが、この四年間にプレゼントしてくれた花について話そうか。


    最初の年は「アマリリス」だった。
    純白の花弁がとても美しくて、今でも押し花にして取っておいてあるよ。まぁ、これは毎年もらっている花にも言えるんだけどね。

    それで、アマリリスの花言葉は「誇り」「おしゃべり」「輝くばかりの美しさ」――とまぁ、恋や愛とは無縁の花だったんだ。
    とはいえ、アマリリスは美しい花だったからね。ちょうどこの時期に咲く花でもあったから、司くんも花の綺麗さで選んだのだろうとその時は納得していたんだ。

    ただ、司くんは僕の予想を突く天才だったみたいでね……
    二年目の花はなんだったと思う?

    ……「イチゴ」だよ

    うん。同棲を始めてから、司くんがベランダでコツコツ育てていたイチゴの花。
    「食べごろだぞ!類!」って司くんがニコニコしながら白い小さな花を見せてきた時は、どう返すべきかとても迷ったよ。
    まぁ、その時の本命はきっと実の方だったんだろうね。イチゴは記念日のケーキに使って美味しくいただいたよ。

    この頃からかな。「僕が贈る花は少し気合を入れ過ぎているんじゃないか?」って少し引っかかり始めたのは。
    僕が贈った花を見ても「綺麗だな!」「枯れるのが惜しいくらいだ!」って賞賛するくらいで、花言葉までは調べてくれなかったし……それでも司くんには僕の想いを知って欲しいから、結局その時はやめなかったけどね。

    そして三年目は「シャクヤク」という花を彼からもらった。
    この年の僕は『司くんが選ぶ花に何か意味があるんじゃないか』ってやたら難しく考えていた気がするよ。二年目のイチゴみたいに、彼がただ花屋で適当に見繕った訳ではないということだけはわかっていたからね。
    ただ、花言葉が関連してないのは確かだよ。だって「恥じらい」「はにかみ」「謙遜」なんて、どう考えても僕らには似合わないじゃないか。

    一度、花を渡したタイミングで「どういう理由でこの花を選んだのかな?」って聞いてはみたんだ。
    ただ、その時の司くんからは「そんな複雑な意味は込めてないぞ」と言われてしまってね……まぁ、残念ではなかったと言えば嘘になるかな。僕から渡した「エキザカム」の花言葉を情緒もなしに教えてしまうくらいには寂しかった。

    ……幼馴染に向ける目をしてないよ、寧々。


    まぁ、話を戻そうか。

    僕が昨年に花言葉を懇切丁寧に話したからか、四年目の司くんは「今年は花言葉も考えてきたぞ!」って言ってきてくれたんだ。何やら一週間前から贈る花について悩んでいたようだったからね。気合の入りようは僕でもわかったよ。
    ただ、当時の司くんは何故か浮かない顔をしていてね……花を渡した時は色々あって聞けなかったし、その後にもう一度確かめた時もはぐらかされてしまったんだ。
    唯一覚えているのは、渡された時に「しりとりだと『デ』と『テ』は同じだよな?」ってよくわからない質問をされたことくらいかな……。あまりにも突然すぎて今でもハッキリ覚えているよ。

    ――え?四年目の花?
    あ、あぁ。言い忘れてたね。

    渡された花は「デンドロビウム」だよ。

    ……寧々。急にスマホを出してどうしたんだい?別にデンドロビウムの花言葉なんて……

    なっ!?笑わないでくれないかな…!
    司くんは「華やかな魅力」の意味で僕に贈ってくれたんだよ!断じて「わがままな美人」では無い筈だ!……多分。


    …………まぁ、ここまでが去年まで司くんからもらっていた花の数々だよ。
    寧々もわかると思うけど、去年を含めたとしても、司くんは花にそこまで深い意味は込めていないらしいんだ。

    ――正直、寂しくはあるかな。
    勿論、こうして何年も花を贈りあってくれるだけでもとても幸せだけど……僕は救えない程に欲深いんだ。
    「僕が毎年花に込めているのと同じくらい、司くんも想いを込めてくれたら良いのに」って僕は思っているよ。

    だからと言って、僕だけ押し付けて司くんに幻滅されるのも嫌かな。
    ……寧々の言う通りだ。僕はとても面倒臭い男だよ。

    だからこそ特別な五年目は、司くんの負担にならない花を選びたいと思っていてね。
    ただ、僕の主観だと少し自信がないから、できれば寧々にも意見を聞きたかった。それが今回寧々を呼んだ理由の一つ。

    そしてもう一つは――昨日、遠征中の司くんからメッセージが来てね。これがその内容だよ。


    『今年はオレから先に贈らせて欲しい。その上で類がどう応えてくれるか期待しているぞ。

     P.S.この四年間を頭からしっかり見ろ』


    ……司くん、どう見ても怒ってないかい?
    この五年間、公私ともに散々司くんを振り回してきた自覚はあるけど、僕はついに愛想を尽かれてしまったのかな……。
    司くんと別れるのは嫌だな……まだ入籍もしてないのに……謝って、態度を改めれば許してくれるのかな……。でも、今更司くんをステージで飛ばさないなんて考えられないよ……。






    「寧々、僕はどうすれば良いと思う?」
    「面倒臭い」

    ファミレスのテーブルに突っ伏し、よよよ…と声を上げる幼馴染を寧々は容赦なく切り捨てる。
    幼馴染の大切な恋人に関する相談を請け負った筈なのに、どういう訳か砂糖のように甘い思い出と、面倒臭すぎる幼馴染の嘆きを延々と聞かされる羽目になっていた。そんな寧々の心労と苛立ちは言うまでもない。

    遠い目でケーキを食しつつ、寧々は類から教えてもらった『司からのプレゼント』を脳裏に思い浮かべる。
    毎度贈る花に重い愛の花言葉を添える男はさておき、司が贈る花々には確かに共通項は見当たらない。花言葉もプラスの意味は多いが、アマリリスのように愛や恋に関する意味がないものも存在した。

    なら、司は何も考えずに類に花を贈っていたのだろうか?

    「……って言うか、類は『司が贈った花に意味はある』とは思ってるんでしょ」
    「勿論だよ。そうでなければ、司くんが毎年ワクワクしながら記念日を待っている訳が無いじゃないか」

    「記念日前の司くんのそわそわ具合はとても可愛いんだよね」とさらっと惚気る幼馴染に、寧々がうわぁ…とドン引いた表情をしたのも無理はない。

    「まぁ、司の方もイチゴを自分で育てるとか結構凝ったことしてるとは思うけど……。それより、メッセージの内容をちゃんと見た上で、類は司が怒ってると思ってるの?」
    「…?それはどういうことだい?」

    こういうところで鈍い幼馴染に若干辟易しつつ、寧々は卓上に置かれた類のスマホ画面を指さした。

    「文面を見れば『司のプレゼントを踏まえた上で、類がどう考えて応えてくれるか期待してる』って意味だってわかるじゃん。それに、類は司を特別怒らせるようなことはしてなかったんでしょ?」
    「それは……そうだね」
    「じゃあ、素直に司からの花を受け取った上で、類の気持ちを伝えれば良いんじゃないの。もう五年も"恋人"なんでしょ?」

    その言葉に『もうそろそろ一歩を踏み出すべきではないか』という意味を暗に込め、寧々は類の背を静かに押す。面倒くさいだのややこしいだの口では言いつつ、幼馴染とかつての仲間には幸せになって欲しいと願っているのが、元ワンダーランドの歌姫の想いだった。

    「勿論、僕もそのつもりだよ。ただ、司くんの追伸も含めて考えると、やっぱり彼の真意は知りたいと思うんだ」
    「真意って……」

    何やら重々しげな言い方ではあるが、類の気持ちもわからなくはない。
    司はどういった意図を込めて、メッセージに『この四年間を頭からしっかり見ろ』などと書いたのか。類がわからないと言うのなら、寧々だってわかりようがないと思うのだが……。

    「確か、司が贈った花は……」

    ファミレスに置かれたペーパーナプキンを手に取り、自身のボールペンを取り出す。そのまま寧々は、類から聞いた『司から贈られた花の名前』を書きだしていった。

    「いきなりどうしたんだい?」
    「……気のせいかもしれないけど、司のメッセージって『謎解き』みたいじゃない?」
    「謎解き?」
    「回りくどいところとか、核心に敢えて触れない書き方とか。だからこれまでの花を書き出してみたら、何かわかるんじゃないかって」

    そう言いながら、寧々は改めて書き出した花の名前を見つめる。

    アマリリス
    イチゴ
    シャクヤク
    デンドロビウム

    共通点と言えば、どれも記念日である五月頃に見られる花ということくらいだ。
    花の色、形、種類、そして花言葉も含めて、それ以外の共通点は見当たらない。ゲーマーである寧々は謎解きゲームをやることもあったが、花の名前だけでは流石に推理をすることまでは困難だ。
    一方の類はと言えば、先ほどから沈黙したままペーパーナプキンをじっと見つめていた。

    「ねえ類。もっと他に覚えてないの?司が何か言ってたとか……」

    ここまでくると、寧々もこの謎が気になってしまっていた。
    『司が何らかの意思をもって、四年間のプレゼントに何かを仕込んでいた』ということを推測してしまえば、興味が出てしまうのも無理はない。ましてや、小難しいことなど考えるイメージがない男ともなれば猶更だ。

    とはいえ、現状わかるのは花の名前と意味深なメッセージのみ。あとは追伸の内容だが……


    「――あ」


    その時だった。唐突に類が声を出したのは。
    すとんと腑に落ちたような、そんな音を彼は漏らす。それを聞いた寧々は、彼が何か思いついたのかと顔を上げ――

    「ふ、フフフ……」
    「え」

    何故か急に笑い出した幼馴染を前に、思わず呆然としてしまった。

    「ちょっと類、いきなり何笑って――」
    「フフ、はははっ!! そうか、そういうことだったんだね! 僕の心配は完全に杞憂だった……いや。それどころか、司くんの方が僕よりもずっと……フフッ」

    突然肩を震わせ、笑いながらそう呟く幼馴染を前に、寧々はドン引きの表情を向ける。
    そんな彼女の心など気にもせず、類はおもむろに立ち上がった。

    「すまない寧々。記念日までに急いで準備しないといけないことが出来てしまった。このお詫びは後日するから今は――」
    「わかった。わかったから。今日は類の奢りにしてくれたらそれで良いから、暫くわたしに面倒事を持ってこないで」
    「ありがとう。お詫びと言っては何だけど、あとで"答え合わせ"はしてあげるよ」
    「はいはい。末永くお幸せに」

    ものすごく大雑把な祝福の言葉を受け、類はますます笑みを深める。そのまま代金を卓上に置けば、彼は足早にその場を去ってしまった。


    「あぁ、そうそう。きっと次にもらえる花は『ル』から始まると思うんだ」


    去り際に言い残した言葉は、謎が解けていない寧々へのヒントか。はたまた、幸福を隠し切れない類の惚気か――



    ……一週間後、『入籍しました』と書かれたハガキを受け取った寧々は、輝く指輪をつけて幸せそうに笑う二人の写真を見ることになる。

    二人が手に持っている一輪の紫の花が「ルピナス」という名の花だとわかった時、寧々はようやく全てを理解した。そうして、彼女は二人のバカップルさに心底呆れ……それと同時に、大切な仲間の幸福を静かに喜べば、かつて所属していたショーユニットのグループチャットを起動させたのだ。


    【"頭"を読むんだぞ】

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    Replies from the creator

    Kakitu_prsk

    PROGRESS相互さんに捧げるF/F/1/4の世界観をベースとしたファンタジーパロ🎈🌟の序章
    兎耳長命種族冒険者🎈×夢見る冒険者志望の幼子🌟
    後に🍬🤖ちゃんも加わって🎪で四人PTを組んで冒険していく話に繋がる…筈。

    ※元ネタのF/F/1/4から一部用語や世界観を借りてますが、完全同一でないパラレルくらいに考えてください。元ネタがわからなくてもファンタジーパロとして読めるように意識しています。
    新生のプレリュード深い、深い、森の中――木々が太陽すら覆い隠す森の奥深くに、小さな足音が響き渡った。


    「待ってろ、お兄ちゃんが必ず持って帰ってくるからな……!」

    そんなことを呟き足早に駆けているのは、金色の髪をもつ幼い少年であった。質素な服に身を包み、不相応に大きい片手剣を抱くように持っている。

    人々から『黒の森』とも呼ばれているこの森は、少年の住む”森の都市”を覆うように存在している。森は都市から離れるほどに人の管理が薄くなっており、ましてや少年が今走っている場所は森の比較的奥深く……最深部ほどではないものの、危険な獣や魔物も確認されている地帯だった。
    時折、腕利きの冒険者や警備隊が見回りに訪れているものの、幼子一人が勝手に歩いて良い場所ではないのは明らかだ。だというのに、その少年は何かに急かされるように、森の中をひたすら走っていたのである。
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    Kakitu_prsk

    DOODLE人間🎈がうっかり狛犬🌟の封印を解いたことで、一緒に散らばった大量の悪霊を共に封印するために契約&奔走することになるパロの冒頭ができたよ!!
    書きたいネタをぶつぎりに入れたりもしたけど続く予定はないんだぜ。取り敢えず投げた感じなので文変でも許してちょ
    大神来たりて咆哮す(仮)――ねぇ、知ってる? 学校から少し離れた場所にある森に、寂れた神社があるんだって。
    ――そこに深夜三時に訪れて、壊れかけてる犬の像に触れると呪われるんだってさ
    ――呪われる?
    ――そう!なんでも触れた人は例外なく数年以内に死んじゃうんだって!
    ――うわ~!こわ~い!!


    ……僕がそんな噂話を耳にしたのは、昨日の昼休みのことだった。

    編入したてのクラスには噂好きの人間がいたのか、やたらと大きな声でそう語っていたのを覚えている。
    現実的にも有り得ない、数あるオカルト話の一つだ。そう信じていながら、今こうして夜の神社に立っている僕は、救えないほどの馬鹿なのだろう。

    絶望的なまでに平凡な日々に変化が欲しかった。
    学校が変わろうと”変人”のレッテルは変わらず、僕は何時だって爪弾き者だ。ここに来て一か月弱で、早くもひそひそと噂される身になってしまった僕は、この現実に飽き飽きしていたんだ。
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