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    palco_WT

    @tsunapal

    ぱるこさんだよー
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    palco_WT

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    かんゆば本の中の削った弓場王シーン

    #弓場王
    kingOfTheBowField

    「だったら一度、弓場さんと寝てみたいんですよね」
    「ア」
     何言ってやがる、と換装体ではない透明なレンズの奥で、目を剥いた。
    「ちょっと前に女の人と初体験を済ませたって話はしましたっけ」
    「……されてはいねェーな」
    「誰とまでは言うのはさすがにプライバシーの侵害だから言いませんけど、ボーダーの人で前から親しくはしてたんですけど、一カ月前くらいだったかな、ボーダーを辞めて三門市を出て行くから、最後の思い出に一度だけダメかなって」
    「……」
    「中学の時に第一次侵攻だったでしょう? それで復興だボーダー入隊だって色々とバタバタしてて、ぼく、ひとりの人とちゃんとお付き合いってしたことなかったんですよ。キスと、まあそのちょっと先くらいまでは経験してましたけど。でも仮にも女性にそこまで言わせて断るのも、悪いんじゃないかと思ったんです。弓場先輩は叱ります?」
    「同情で寝る是非とか以前に幾ら部下でも、犯罪になるワケでもあるめぇ下半身事情に、隊長とはいえ俺が口を出す謂われもねえからな」
     いがらっぽい顔ではあったがそう返す弓場に、良かった、と王子は顔をほころばせた。弓場先輩に叱られなくて、とも。
    「まあまあ気持ちは良かったんですよね、さすがに。繁殖の為に構成された体で交わるわけですから、それなりの快楽は在って当然なんでしょうけど」
     生物の授業の一環のような王子の口振りに、弓場は表情を選びあぐねた末の苦笑いで応じた。抒情的に感じろなどとは言わないが、弓場とて童貞ではなくなった日のことは、それなりの思い出のひとつではあるのだ。
    「もしかしたら、あちらがお上手だったって可能性もありましたけど。それで、どうせなら、男の人とならどうなのかな、って」
    「どうしてそうなる」
    「試せることだったら試してみたいじゃないですか。人生は一度きりなんですし。好くなかったら、外れくじを引いたなってそれきりにしちゃえばいいやって。おかしいですかね?」
    「……
     弓場さんならもしかしたら男性相手の経験もあるんじゃないかって
    「あいにくだが、ねェーよ」
    「残念」

    <中略>

    「仕方ねえ奴だな。人の弱みにつけこむのが得意なのは今に始まったことじゃねえのは知ってたが」
     少女めいた清楚な顔で獰猛な戦い方を厭わない、美しい獣。
     そしてきっといつかこの手元から旅立ち、牙を剥くことが約束された猛禽。
     ならば。
    「……ぁ」
     腰を抱かれ、かすかにわななかせた王子の花びらを飾ったような唇に噛みつくように、弓場のそれが重なる。
     押し込まれ、蹂躙する舌に、呼吸さえもままならず、王子は溺れる者のように弓場の背を抱いた。
     墜ちる間際を見極めたように、やがて弓場が唇を引き離す。
    「……ゆ、ば、さん……?」
    「こんなのが褒美ってえのなら、いいさ。可愛い部下がそれを望むっていうならくれてやる」
     けどな王子、と後ろ頭を鷲掴みにして、恫喝めいて、しかし瞳に諦観を少しだけ交えた苦笑を浮かべながら弓場は囁く。
    「いざとなってから、臆しても牡が止まらないってのは承知しとけ」
    「分かってますよ、ぼくだって。そこまで愚かじゃありませんもの」
     笑みを象っていた王子の唇が、降りる再びのキスの寸前に、泣くのを堪えるようにわななくように震えたのを、果たして弓場が悟っていたのだろうか。
     それは、王子には分からなかった。
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    palco_WT

    MAIKING折本にするつもりだったけど流し込んだらはみ出て笑うしかなかった……加減……分量の加減……狭い遠征艇での窮屈な環境と、門による跳躍が影響する三半規管だかトリオン臓器に由来する何かの器官に由来するもののせいなのかは分からないが、いわゆる空間識失調《バーディゴ》っていうのはこんなものなのかもしれない。
     シャバの空気を吸って半日以上経つのに、まだ本復しない体にハッパをかけながら、休暇明けには提出しないといけない仕事に手をつけては、もう無理と倒れ、いややらないといけないと起き上がり、しかし少し経ってはちょっと休むを繰り返していた冬島の携帯端末が着信に震えたのは、そろそろ空腹を胃袋が訴えかけた夕暮れ時だった。
    「おう、何だ、勇」
    「隊長、今からそっち行くけど、なんか買ってくもんあっか? どうせ、遠征から戻ってからぶっ倒れたままだろ」
     ありがてえ、とローテーブルを前に床にひっくり返って天井を見上げたまま、冬島は携帯端末に向かって矢継ぎ早に告げる。
    「弁当なんでも、あと甘い菓子パン何個か。ドーナツでもいい。それとチョコレート味の何か」
    「何かって何だよ。ケットーチ上がるぞ。カップ麺は?」
    「ハコでストックしてあるから大丈夫」
    「その分だと缶ビールもいらねえな。煙草《モク》は?」
    「そ 3454

    palco_WT

    PROGRESS冬コミ新刊の水王の、水上の過去の捏造設定こんな感じ。
    まあそれでも入会金十万円+月一万余出してくれるんだからありがてえよな……(ワが2013年設定だとたぶんんぐが小学生で奨励会にあがったとしてギリギリこの制度になってるはず。その前はまとめて払ってダメだったら返金されるシステム)
    実際、活躍してるプロ棋士のご両親、弁護士だったり両親ともに大学教授だったり老舗の板前だったりするもんね……
    「ん、これ、天然モンやで」
     黄昏を溶かしこんだような色合いの、ふさふさした髪の毛の先を引っ張りながら告げる。
     A5サイズのその雑誌の、カラーページには長机に並べられた将棋盤を前に、誇らしげに、或いは照れくさそうに賞状を掲げた小学生らしき年頃の少年少女が何人か映っていた。第〇〇回ブルースター杯小学生名人戦、とアオリの文字も晴れやかな特集の、最後の写真には丸めた賞状らしき紙とトロフィーを抱えた三白眼気味の、ひょろりと背の高い男の子と、優勝:みずかみさとしくん(大阪府代表/唐綿小学校・五年生)との注釈があった。
    「でも黒いやん、こん時」と生駒が指摘する。
     彼の言葉通り、もっさりとボリュームたっぷりの髪の毛は今のような赤毛ではなく、この国にあってはまずまずありがちな黒い色をしていた。
    1983