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    palco_WT

    @tsunapal

    ぱるこさんだよー
    Pixiv https://www.pixiv.net/users/3373730/novels
    お題箱 https://odaibako.net/u/palco87

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    palco_WT

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    弓場ちゃんと王子。愛はないが情はある。王子は水上と関係があるし、弓場と神田も何かあるかもしれません。まあありますね。
    べったーに置いたのを持ってきました。

    #弓場王
    kingOfTheBowField
    #水王
    waterKing
    #かんゆば
    driedBeancurd

    夢の途中ぼくはいつかあなたの元を離れると思います。だから、もし、いつか作るぼくの隊が、あなたの隊をランク戦で抜くことが出来たら、ぼくの願いをひとつだけ叶えて貰えますか。弓場先輩しか叶えられないお願いです。それは……。
     そんなやりとりをしたのは、王子が弓場隊に入隊した直後のこと。まだ、弓場が六頴館の制服に袖を通して、王子が中学の制服を身につけていた春のこと。


    「あなたは最愛の腹心である神田を手放した上に、神田と同じ隊員だったぼくと寝るんだ。とてつもない罪悪感で死にそうなくらいじゃないんですか。後悔してませんか、あんな約束するんじゃなかったって」
    「ふざけんなよ、王子」
     シティホテルの一室で、熱いシャワーに当たって色白の肌を上気の色に染めて見上げる王子を、ベッドにむっつりとした顔で座り込んだ弓場がねめつける。
    「俺は一度てめえで決めた約束は裏切らねェーよ。今さらイモ引いてられっか」
     だがな、王子、と弓場はその王子の腕を引いて、ベッドへと押し込かす。タオルで拭いてきたものの、濡れてしっとりとした王子の栗色の髪が柔らかな照明を受けて淡く光る。
    「そんな理由で抱かれて嬉しいか、ァ!?」
    「ええ、嬉しいです。それでもあなたと一度でもセックスできるなら。ぼくのプライドとか見栄とか、そんなものはどうでも」
    「王子、おまえ水上とデキてんじゃねェのかよ」
     知ってたんですか、とくすくすと小鳥のように王子の喉が笑みを囀る。
    「そこまで節穴だと思ってたか」
    「いいえ。でもそれはそれ、これはこれです。ぼくはみずかみんぐのことが好きです。でもぼくはずっとあなたを手に入れたかったんです」
     その言葉に弓場は眉をひそめる。その不愉快さごと掬い取るように、王子の唇が眉間に触れる。
    「……そんなの絶対に無理だと思ってたから」
    「気がしれねェ」
     中射程であるはずの銃手のくせに、近接距離で身を晒しながら激しく交戦する、矛盾を携えた拳銃使いの指。王子がまだ若葉の頃、焦がれ、憧れ、何度も救われたその指をまるで飴を含むようにうっとりと王子は唇に取り込む。爪のきわを、指の腹を、ねっとりと舐め回す熱にか、弓場の背が僅かに波打つのを、回した手に感じて、かつて部下だった男は緩く目を細めた。
    「だって望みは叶わなければ、ずっと願っていられるじゃないですか」
    「……」
    「手に入れられないものほど、輝かしく、愛おしいものはないと思うんですよ、ぼくは」
    「だったらお前にとっての水上の『価値』はなんだ?」
    「みずかみんぐだって、手になんて入ってませんよ。彼の心の一部は、奨励会を辞めたあの日からずっと盤上に置き去りのままで。穴だらけでぼろぼろで、でもそんな心臓を色々な理由で矢倉みたいに何とか囲って、こんな物騒なだけで思い入れも何もない街でやり過ごしてる。だから、ぼくは彼が好きなんです」
    「本当に気が知れねェよ」
    「はい、それでいいんです。ぼくは、それで。弓場さんにとって理解しがたい化け物で」
     王子は弓場の胸板に手をついて、少しだけ距離を取らせて、にっこりと愛らしく可憐に微笑する。きっとこの手にかかる重みはトリオンの身体では感じられなかったものだ。生身で感じるこころと、トリオン体で感じるこころは等しいのに不思議だ。
     自分たちは生身よりも長く、長く、偽物の身体で過ごしているのに、こころだけはどんどん育まれて、形作られていく。
    「それでも弓場さんにとってぼくは可愛い元隊員でしょう」
     クソ、と弓場は大きく毒づいて、それでも王子を引き寄せた。
     義理堅くて、逃げることを知らないあなたにつけいるのなんて、楽なことなんですよ。
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    MAIKINGよるのひみつ

    みんぐと王子。恋人のようでいて恋人と言い切れもできず、な関係に刺さってるトゲ。
    「ふう……」
     シーツに手をついてゆっくりと身を起こした彼の唇から、熱をたたえた、艶っぽい吐息がこぼれた。
     王子が交情に浮いた汗を拭う為に後ろ髪をかきあげると、ちらりと襟足のあたりに走る古傷が見える。そこに気づいたのは、肌を合わせるようになってから何回目だったろうか。いや、もしかしたらボーダーのシャワー室で見たとか、クラス合同の体育の授業の最中とかだったのかもしれない。
    「王子、その傷、なんでか聞いてええか」
     ついにたまりかねて、というほどではないけれど、その首筋の少年らしいしなやかさと上気した色に誘われるように問うてしまった水上に、あは、と彼は花びらのような唇に蜜のような甘い笑みを含んだ。
    「どうして聞いていけないと思ってたんだい?」
    「そりゃ事情《わけ》ありなんやろなと」
     触れることで、心にある傷をかきむしることになるのではないかと。
    「そこまで無神経と思われとったか」
    「思ってないよ」と王子は水上の赤毛をくしゃくしゃとかきまぜた。
    「ただ、ごめんね、君はぼくにそこまで関心を持ってないと思ってたから」
    「……セックスまでしとる相手に無関心て、俺、そこまでひとでなしだと思われと 1088

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    MOURNINGさよなら大好きなひと

    三門市を出ていく水上と残されるおーじちゃん♀
    プロットとして手を入れていたんですが、書き上げる棋力じゃないや気力がなさそうなので。
     うっすらと予感みたいなものはあった。
     イコさんが大学卒業と同時に実家へと戻り、当然ながら生駒隊が解散することになって―水上隊として再編するかという話もあったがそれは当人が断り、現在はオッキーと海くんは別の隊に所属して生駒隊で磨いたその腕を存分にふるっている―、遠からず彼もこの街から去ることになるのではないかという予感。
     当たらなくても良かったのに、と王子は、すまん、と膝を正して畳に額をこすりつけるようにして土下座をする赤茶けたブロッコリーをただ見やるしかできなかった。
     水上もボーダーを辞めて、三門市を出ていくのだと言う。まるでかつての隊長の背を追うように。
     トリオンの減衰なんていう、ごくごくあり触れたつまらない理由で。
    「使いものにならへん駒は駒台にかて不相応や」

    →ちょっと前に時間戻る。
     王子隊作戦室:作戦会議が終わって。
    「ぼくとみずかみんぐってどういう関係に見える?」
    「どういう関係も何も恋人同士だろ」
     麗しの隊長の問いに、何を今更とばかりに呆れたというよりは怪訝そうに蔵内は告げた。
     一週間の大半を彼の部屋で暮らし、キスやハグをしている姿もキャンパスで見かけてい 2210

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    DONE遠征選抜の説明会後のみずかみんぐとおーじちゃん♀(半同棲)「お風呂いただいたよ、ありがとう」と脱衣所から出てきた王子は、オーガニックコットンのパジャマに、色白の肌がより生えるオフホワイトのカーディガンを羽織り、頬やうなじを淡いバラ色に上気させて何とも愛らしい風情で、畳の上に座りこんで遠征試験に関しての要綱に目を通していた水上の背中に、もたれるようにして膝を抱えて腰を下ろした。
     柔らかい背中の感触と、ふんわりとまとった甘い香りにもすっかり馴れてしもうたな、と水上はぼんやりと思った。今は湯にぬくめられた温かさとシャンプーの匂いにも包まれているけれど。
    「ねえ、みずかみんぐ」
    「なんや、二番隊隊長」
    「そう、それさ」と王子は背中合わせのまま、水上の片腕に自らの片腕を絡ませた。
    「きみはてるてるやカシオに水上隊長って呼ばれるのかい?」
    「……さあ。別にどう呼ばれたいとか全然考えてへんかったわ。実際、生駒隊《うち》かて『生駒隊長』ちゃうて『イコさん』やし。自分とこはどうなん」
    「王子隊のこと? それとも臨時隊のほう?」
    「王子隊」
    「そう言えばぼくもそう呼ばれたことは身内からはないな。ハッパかけてくれる時の弓場さんとか、実況の時くらいだね」
    「せやっ 5021

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    DONE幸福の条件

    https://twitter.com/palco87/status/1336247005849350144 で蔵っちが一番だったのでつい書いた~
    たまには三人で食事をしないかと、蔵内が王子と水上に打診されたのは一週間ほど前のことだった。
     同隊である王子はともかく、生駒隊の水上とは防衛任務等の兼ね合いもあったが、たまたま週末にスケジュールが空いていたのでその日に王子が予約したというレストランで落ち合った。
     そもそも、王子と水上がわざわざ顔を揃えて尋ねたあたりで、これは何かあるなと察しはしたが、デザートまでたどりついたあたりで「ぼくたち籍を入れようと思うんだ」と言われて、少しばかりは驚くのではないかと思ったけれど、予想していたよりすとんと蔵内の中では腑に落ちた、というのが正直なところだった。というか、むしろ王子みたいな人間がそういう世間のシステムの迎合しようとしていることのほうが、少々意外な気持ちではあった。
    「……おめでとう。幸せになれよ、っていうのは陳腐かな。おまえたちなら誰に言われなくても自力でどうにかするだろうから」
    「そうだね! さすがはクラウチだ、ぼくらをよく分かってる」
     おおきに、と告げる水上の口調がぶっきらぼうなのは照れ隠しだ。対照的に王子は背中に大輪の薔薇とヒマワリとカスミソウを背負っているような爛漫とした笑 1098

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    MAIKINGこの世の涯【https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14056310】の続き書いてます。ラストシーンだけど、もっともっと煮詰めて書いたら変わるかも。「……嘘つきブロッコリー」
     しぼりだすような王子の声に、隣でコンソールに指を走らせている寺島は彼に悟られない程度に顔をしかめた。
    「最後まで嘘つきだったよ、きみは」
     眼球の裏のほうがかっと熱くなる。あふれ出しそうな涙を、しかし王子の理性は懸命に押しとどめる。
     泣いて、視界を濁らせなどするものか。
     この網膜に、記憶に、彼の晴れ姿を少しでも多く焼きつけて、伝えなければ。
     これから先、もしかしたら長く近界で暮らし、そこで子をなし、育てることになるかもしれないぼくらがしなくはいけないことのひとつだ。
     彼以外、誰をもう愛せるものかと思うけれど。記憶と命を、希望はつないでいかなければ。
     かつて、旧ボーダーが、迅さんや小南ちゃんたちに託したように。
    「……水上先輩のメテオラ、だ」
     喘ぐように元茶野隊の藤沢が呟く。
     次の瞬間、まるで命の輝きのように、眩い光が目を焼く。
     遠征艇という名の箱舟の出立を寿ぐ花火のように。
    「……戻ってくる」
     届きはしないのは分かっていた。それでも王子は叫ばずにはいられなかった。
    「絶対に無事にたどり着いて、戦力を整えて、ぼくたちは戻ってくるから!」
    938

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    MEMO水王ちゃん♀一泊二日フェリーの旅ドラの音は出航の合図ではなく、出航時間が近づいたので船客と乗組員以外は船から降りろという意味だと聞く。聞きなれないその音が響いた数分後、控えめで上品な案内の声が改めて港から経つことを知らせた。
     奮発しただけあって、自分の古びたアパートなどよりも遥かにたっぷりとした広さと居心地の良さで出迎えてくれたスイートルームの客室の設備を確認していた水上は、手首の時計をちらと確認した。予定時間より三分遅れだ。
    「出航だって、みずかみんぐ」
     アナウンスを耳にした王子はぱっと顔を輝かせ、良人たる水上の袖をじゃれる仔猫がひっかくようにくいくいと引いた。
    「どうせなら港を離れるところを外で観ようよ」
    「外がええなら、そこからプライベートバルコニーに出れるで? スイートの特典やで」
    「もう、きみってばそういうんじゃなくてさ! いいからほら、さっさとカードキー持って」
     水上が扉の内側に挿したカードキーを手に取るのを確かめてから王子は、問答無用とばかりにその腕に自らの腕を絡めると、引きずるように船室を出て行った。はしゃぐ王子にこれだけは、と水上は手荷物の中からマフラーを何とか掴んで、その首と頭をぐるぐると巻 1390

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    DONETricks 199話の弓場隊+王子蔵内の中華ご飯のその後の小話。弓場王の過去がある水王。
    https://twitter.com/palco87/status/1338726343077326848
    「みずかみんぐ、お土産持ってきたよ~、蘿蔔糕と春巻」
    「おう、すまんな。ちょうど腹減っとったところや」
     ご機嫌な様子でドアを開いた王子に、水上は米朝の二階借りの落語のDVDを止めて玄関へと顔を巡らす。
     軽やかな足取りで、王子は美味しい匂いのするドギーバッグを彼が座っている前へと置いた。おおきに、と戻ってきた恋人に水上は軽くキスをする。
     こんなやりとりもいつの間にか日常になってしまっているのだから、人は慣れる生き物だというのが水上の正直な感慨ではある。
    「で、どやった、神田の追い出し会」
    「美味しかったよ~」
    「どんな感想や。せめて、追い出し会じゃなくて打ち上げとか慰労会ってツッコミ返せーや」
     ボケた甲斐がないではないか。明敏な王子ならすぐに打ち返してくると期待しているのだし。
    「だって弓場隊を抜いたぼくが、中位落ちになっちゃったランク戦打ち上げに顔を出しましたっていうのもね。ちょっと無神経っていうか」
    「自分、そういうところは気ぃ使いやのう」
    「尊敬する先輩と古巣には配慮するさ、さしものぼくだって」
    「ほうほう」
     頬に触れる掌に、王子は撫でられた猫みたいな顔で水上を見やる。だ 1264

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    PROGRESS冬コミ新刊の水王の、水上の過去の捏造設定こんな感じ。
    まあそれでも入会金十万円+月一万余出してくれるんだからありがてえよな……(ワが2013年設定だとたぶんんぐが小学生で奨励会にあがったとしてギリギリこの制度になってるはず。その前はまとめて払ってダメだったら返金されるシステム)
    実際、活躍してるプロ棋士のご両親、弁護士だったり両親ともに大学教授だったり老舗の板前だったりするもんね……
    「ん、これ、天然モンやで」
     黄昏を溶かしこんだような色合いの、ふさふさした髪の毛の先を引っ張りながら告げる。
     A5サイズのその雑誌の、カラーページには長机に並べられた将棋盤を前に、誇らしげに、或いは照れくさそうに賞状を掲げた小学生らしき年頃の少年少女が何人か映っていた。第〇〇回ブルースター杯小学生名人戦、とアオリの文字も晴れやかな特集の、最後の写真には丸めた賞状らしき紙とトロフィーを抱えた三白眼気味の、ひょろりと背の高い男の子と、優勝:みずかみさとしくん(大阪府代表/唐綿小学校・五年生)との注釈があった。
    「でも黒いやん、こん時」と生駒が指摘する。
     彼の言葉通り、もっさりとボリュームたっぷりの髪の毛は今のような赤毛ではなく、この国にあってはまずまずありがちな黒い色をしていた。
    1983