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    bunbun0range

    敦隆、龍握、タダホソの人。

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    バレンタインの敦隆。2022年ver
    恋人同士の2人。
    「敦豪が絞ったガナッシュ」チョコ
    チョコをくださった方、ありがとうございました。

    #敦隆
    dunlong

    チョコのある暮らし 予定のない休日。そんな日は読みたいと思っていたミステリー小説を一気に読むことにしている。『ついでに注いでもらった』マグカップを持ちながらソファに座ると、一口コーヒーを飲んでローテーブルに置いた。癖が全くついていない文庫本の一ページ目を開く。帯には、『ファン待望の最新刊』という文字。
     これまでのシリーズの記憶を思い出しながら、今回はどんな事件が起こるのだろうと予想しつつページを読み進めていく。沈黙の数時間。外の世界の情報を遮断し、物語の世界だけに没入する。
     またしても主人公が不運にも事件に巻き込まれた。殺人現場は完全犯罪にしか思えない密室。この後どんなトリックが主人公たちを待ち構えているのだろうか。
     目線を伏線の散りばめられた文章に落としたまま、コーヒーを飲もうと手を伸ばす。
     しかし、一向にカップを傾けても口の中は渇いたまま。
    「……?」
     おかしいなと思いマグカップの中を覗き込むと、カップの底に黒い円が出来上がっているだけだった。本を読むのに夢中になっていたせいで、コーヒーを飲み干していたことに気づかなかったようだ。
     ここで一旦コーヒーを淹れ直しに行くか、それとも……。
     このまま小説を読みたい気持ちと、読書の御供は欲しいという気持ちがぶつかり合う。数秒間悩んだ結果、俺は半分以上読み進めていたミステリー小説に栞を挟んだ。
     その瞬間、一気に現実に引き戻される。
     ソファから立ち上がると、甘ったるい香りがふわりと鼻先を掠めた。
    ——なんだ、この匂い。チョコか?
     マグカップを持ちながら、数時間不干渉だった奴の元へ向かう。
     キッチンカウンター越しに見える奴の真剣な顔。その視線の先には、予想通りドロドロに溶けたチョコレートがあった。杁がそれをスプーンで器用に絞り袋に入れていく。
    「お前はいつからパティシエになったんだ」
     カウンターに肘をつき、中腰の姿勢で奴を見上げれば、杁は一瞬目を合わせてきたが、すぐに目を逸らされる。
    「冨着が」
    「なるほどな」
     その名前だけで全てを理解した。どうやら大食いの奴にせがまれて作っているらしい。当然奴一人に配ることなんてことは考えられなくて、芋づる式で沖縄の連中がついてきたのだろう。一人分にしてはやけに多すぎるマカロンの数が、その事実を物語っていた。
    「ご苦労なことだ」
     自分なら進んでしようと思わない料理も、杁にとっては娯楽の一つ。
     それなりに楽しみながら作っているのだろう。じゃなければ、友人に頼まれただけでチョコを作ったりしない。
    「俺の分もあるんだろうな」
    「あぁ、アレ」
     顎で指し示す先には、炭の味しかしなそうな黒い塊。
    「……おい」
    「ハッ、冗談だ」
    「んぐっ」
     絞りたてのチョコが詰まったマカロンを、ググッと半開きの口に押し込まれる。わりと勢いがあった。チョコの甘さが咥内を占拠する。甘さ控えめとはかけ離れた味。
     甘い。とにかく甘い。そして、でかい。
     チョコの甘さが口いっぱいに広がり、それと同時にマカロンが口の中の水分を奪い取る。待て。だいたいこれって一口で食べるものじゃないだろ。
    「ん、ん゙むぐ」
    「あぁ? 何言ってっか、分かんねぇ」
    「ん゙ん〰〰〰ッ! ん゙!」
     空のマグカップを勢いよく突き出す。甘さしか感じていない舌が、苦味を欲していた。
    「はいはい」
     ヘラヘラと憎たらしい笑顔で、杁がケトルのスイッチを入れる。
     それはもう見慣れた光景だった。
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    bunbun0range

    DONEバレンタインの敦隆。2022年ver
    恋人同士の2人が迎える初めてのバレンタイン
    「手作りも用意してる敦豪がまず渡してみたチョコ」と「自分はデパ地下で買った隆景が渡されたチョコ」
    チョコをくださった方、ありがとうございます!
    とりあえずのチョコの話 バラエティパック。お菓子の詰め合わせ。
     そんなコンビニでよく見かけるチョコレートが、手の上に置かれた。当然、プレゼントを包む綺麗な包装もなければ、持ち運びに便利な袋もない。ここがコンビニなら、迷わず有料のレジ袋を購入するところである。赤く大きなパッケージは、手に持って歩くには目立ちすぎる。
    「……」
     チョコだ。チョコである。チョコ以外の何ものでもない。
     渡されたチョコをただ無言で見つめる。どこをどう見てもチョコなのだが、それは自分が思い浮かべる『チョコ』と少しどころか、だいぶかけ離れていた。
     いや、男同士の場合のバレンタインというものはこういうものなのかもしれない、と頭の中で整理する。百貨店で女性陣にジロジロと見られながら購入した高級ブランドのチョコはバックの中に入っているが、自分のようにアウェイの地に行く男性など滅多にいない。コンビニで購入できるチョコを贈り合うのが、確かに相手を思いやったことなのかもしれない。
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