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    つつ(しょしょ垢)

    @strokeMN0417
    げんしんしょしょ垢。凡人は左仙人は右。旅人はせこむ。せんせいの6000年の色気は描けない。鉛筆は清書だ。
    しょしょ以外の組み合わせはすべてお友達。悪友。からみ酒。
    ツイに上げまくったrkgkの倉庫。
    思春期が赤面するレベルの話は描くのでお気をつけて。

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    風国アイドルおたおめにかこつけた鍾魈小話with呑兵衛。

    #鍾魈
    Zhongxiao
    ##小話

    詞章旅人からお仕事が終わったらトーテンに来て欲しいって。
    あの不思議な空間は時々お休みに使わせてもらってるし、遠くに住んでる色んな旅人のお友達とも時々会えるから大好きな所だけど、呼ばれるのは珍しい。
    なんだろうと思って「飛んで」見たら…ぱぁんと弾けるクラッカーの音。飾りつけられた部屋にはモンドの友人、騎士団、そして…お姉ちゃん。

    私の誕生日を「アイドル」じゃなくて「友人」としてお祝いしたかったって旅人が言ってくれたんだ。

    パーティが終わって、余韻に浸りたくてトーテンの噴水で一人歌ってたら、すっごく綺麗な男の子がふわっと現れた。トーテンではよくあるけど、ホントにふわっと現れてビックリして悲鳴を上げちゃった。
    男の子は短く詫びてすぐ立ち去る素振りを見せたけど、「ここ」にいる以上の私も彼も旅人の友人、それに気づいて意を決したように…うーん、正しくはちょっともごもごしながら尋ねてきた。
    「今お前が歌っていたのはどんな意味がある歌だ?」
    誕生日のお祝いはたくさん昼間にも贈られたけど、こうして「友人」として、何より「妹」として祝ってもらったのが嬉しくて、すぐに帰るのがなんだか勿体なくて、楽しい気持ちを口ずさんでたんだけど、そういえばこの歌は古い歌で、言葉もちょっと古いモンドの言葉だからそのままだとよく分からないのかも。
    「えーっと、バルバトス様が作ったとされる歌で、意味は……」
    『月明かりの下、太陽が沈んで眠る蒲公英の種のように肩に寄り添って、共に見あげよう、手には林檎酒、瞳には月、静寂に眠りゆく君の夢を僕が守ろう』
    いつの間にか現れた吟遊詩人さんのライアーが響き渡る。
    「ウェンティさん、さっきまで酔い潰れてたのに、大丈夫?」
    「大丈夫大丈夫~すっごくいい風が吹いてきたから、僕も夜風にあたりにきたんだよ~」
    くるくる~と器用に回転しながら近づき、男の子の肩に腕を回す。
    「いい歌だった?ねえ、いい歌だったでしょ~?」
    うーん、絵に書いたようなからみ酒。男の子もちょっと困ってるみたい。
    「まさに妙音、さすがはバーバラ嬢」
    今日は急な来訪が多いな~と思わずにはいられない。
    この方は時々トーテンで見かけるかな。璃月の往生堂で作法を指南してるひと、鍾離さん。ガイア隊長と同じぐらいかちょっと高いくらい。物腰が柔らかくてすっごく紳士。お話を聞いてもらうこともあって、本来なら私が悩み事を聞く立場なのに、ついつい悩み事を打ち明けちゃうこともあって顔見知り。
    いつも分け隔てなく優しいのに、今明らかにウェンティさんを無視したけど、なんだろなーディルックさんが酔っ払ったウェンティさんをあしらってる時と同じ空気を感じる。
    「ありがとうございます、えーと」
    というか、鍾離さんはいつからいたのかな。私の歌聞いてたなら男の子と一緒だったのかな? でも男の子は鍾離さんが現れた時ちょっと驚いてたし。うーん。
    視界にはウェンティさんに絡まれたままの男の子、絶対酔いが抜けてなさそうなウェンティさん、の首根っこを掴んでる鍾離さん、を見つめておろおろしている男の子。
    なんとも、しまらないお誕生日の夜になっちゃったなー、あははは…。


    それから数日後の望舒旅館の月明かりの下、小さな歌声が月に吸い込まれる。
    「その歌が気に入ったのか?」
    少し不機嫌な声に歌声が止まる。
    「申し訳ございません、不快でしたら二度と」
    「構わん。お前の歌声を聞けるなど僥倖」
    露台に二つの影が浮かぶ。
    「あれの作った歌というのは多少気に入らない。だがあれを作った時の状況や意味を聞いたか?」
    「? いえ、あのモンドの少女には風神が作ったとしか」


    数百年前のその日は国境沿いで巡回牧師の少女が誕生日を祝われていた。
    たまたま見かけたそのささやかで平和な光景を岩王帝君は静かに見下ろしていた。
    「いい景色でしょ。あの子のそばにいてギター弾いてる子見える?護衛くんなんだけどね、あの牧師の女の子に恋してるんだよ」
    いつの間にか現れたバルバトスの姿を一瞥すると、視線を宴へと戻す。
    「幸せになるといいねぇ〜僕、神様らしいことはできないけど、自分の国の民は幸せになって欲しいっていっつも願ってるんだ~」
    ポロンとライアーの軽い音が夜風に流れる。
    「あとね、古い友人にも幸せになって欲しいんだ~」

    隣国といえど、表立った交流といえるものは数百年と途絶えているというのに、勘のいい風神は岩神があらゆる封印よりも堅く閉ざしている想いを見抜いていたのだから油断ならない。


    作り手の性格はこの際置いて、何故この少年がこの歌に囚われているのか。
    話を聞き終えた少年仙人はしばし沈黙し、理解が及んだのか立ち去ろうとする。
    しかしそれを逃すような鍾離ではない。
    「恥ずかしいのはお互い様だ。あの風神、見透かしたような真似を……」


    「バーバラー、一緒にアップルサイダー飲まない?」
    「ウェンティさん。あんまり鍾離さんをいじめちゃダメですよ? あとあの男の子をからかうのも程々に」
    お昼休みにいつものようにふらっと風のように現れた吟遊詩人さんに、言おうと思ってたことを言えてスッキリ。
    「どういうこと?」
    言葉と表情が一致してない。絶対分かってるくせに。
    「だって二人ともお互いに恋してるでしょ」
    にんまり。最近もこの顔見たなー。確か類は友を呼ぶって言うのよね。ダリア助祭がご機嫌な時と同じ笑顔と一緒。


    短いお昼休みを終えたバーバラを見送って、今日も綺麗なモンドの青空を見上げる。
    「ホント、あれで隠しきれてると思ってたんだよね。甘いよモラクス。数百年前も今も隠せてないよ」
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    sayuta38

    DONE鍾魈短文「恋とは、どのような」
    自信満々に告白しにいったら魈くんに振られる話です。
    恋とは、どのような 俺には、絶対的自信があった。
     封印した魔神は数しれず、どれだけの民を救ったかもわからない。魔神でありながら民の信用を得、契約を以て契約の通りに責務をこなす。傲慢だと言われても、俺の所業は書物に多く残されており、そのほとんどが事実だ。今思い返すと、若かりし頃の勇ましい記録も残っており、燃やしてしまいたいと思ったこともあるが、まぁいいだろう。
     それはさておき。俺は最近気づいてしまったのだ。魈のことを好いているのだと。
     神であった頃も気には掛けていたものの、それ以上の気持ちはなかったように思う。凡人としてゆったり生活していると、なぜだかよく足が望舒旅館へ向くようになったのだ。魈がいない時もあるが、見つけると自分の心が嬉しく思っているのを感じる。何か話がしたくて、要点もない話をして引き止めてしまうこともあった。魈は困惑の表情をしていたものの、決して嫌な顔はしていなかった。そればかりか、俺が声を掛けるといつも少し慌てだして、俺が訪れた真意をいつも探ろうと必死になっている。可愛らしいことこの上ない。魈は中々俺に近寄っては来ないが、俺から行くと少しだけ嬉しそうな顔をする。俺にはわかる。魈も俺のことを好いているのだと。思い返せば思い当たる節がいくつもあった。間違いないと思っていた。
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