Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ネギとキメラ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    ネギとキメラ

    ☆quiet follow

    #kmt夢ワンドロワンライ
    【言い間違い】
    🔥×🚺
    現.パ.ロ/社.会人/付き.合ってる/キメラ作
    「I need to cuddle with you!」

    体.重と抱.擁の話。

    I need to cuddle with you!「今日は、もう、おしまいです」
     いつからかは定かではないが、彼女の様子がおかしい。共に暮らし始めて1年が経ち、婚約に向けて順風満帆に時間を進めていたつもりだった。もちろん、家事を一緒にするときも、食事をするときも、風呂に入るときも、眠るときも――彼女はなんら変わりない。しかし、お互いの体温をわけあうように抱き合う時間が、すっかりと減ってしまっていた。その証左として、今も彼女は腕の中でちいさくもがいて、逃げ出そうとしている。


     付き合い始めて一番に驚いたことは、彼女が予想以上にスキンシップ――何よりも抱擁が好きなことだった。甘え下手な彼女だが、ときには飛びつくように、ときには腕を広げて迎え入れるように、薄い体を俺の胸板に擦り寄せては、細い腕を俺の背に回す。話を聞いていくと、体温を分け合う瞬間がいっとう好きらしい。
    「夜眠る前に、ぎゅってしませんか?」
     同棲を始めるにあたり二人でルールを決める中で、恥じらいながら彼女が出した提案に二つ返事で了承した。俺としても、抱擁をすることで彼女のにおいを胸いっぱいに味わい、体温や柔さ、何よりも彼女というかわいい存在をたいそう楽しむことができる。彼女をぎゅう、と強く抱きしめると、ささくれだったこころが滑らかでまるい形になるような気さえする。すなわち、俺も彼女を抱きしめることがいっとう好きだ。今だって腕の中の彼女を離すまいと内心躍起になっている。
    「どうして? そもそも、きみは腕を俺の背中に回していないぞ?」
    「だから、もう、おしまいなんですっ……」
    「まだだ。俺はまだ、離したくない」
     さらに腕に力を込めてみると、彼女が体を左右に捩った。このまま無理を強いても解決はしないと察して、ほんの少しだけ距離をとり彼女の顔を覗き込む。背中に回していた両手はやさしく滑らせたのち柔く肩を掴んだ。居心地の悪さを感じたらしい彼女が瞳を伏せると、ベッドランプの光に照らされた睫毛が頬に影を落とす。
    「なにか、きみが嫌なことをしてしまったのだろうか?」
     彼女に嫌われてしまうようなことを、無意識にしてしまったのだろうか。それで彼女が傷ついてしまっているのなら、心から謝罪して、信頼を取り戻すためになんだってしたい。流れる沈黙に心臓の動きが慌ただしさを増していく気がする。彼女の薄い胸がわずかにふくらんでしぼんだ。
    「その……杏寿郎さんは、グラマラスな人が好きなんでしょう?」
     押し上げられた瞼から再び現れた瞳はうるみ、今にも決壊してしまいそうだ。予想外の出来事に肩を掴んでいた手に力が入ってしまい、驚いた彼女がかたく瞳を閉じたせいで、寝間着の生地の色が点々と変わっていく。まったくもって、話が見えない。しまいに彼女は顔をくしゃりと歪めて、はらはらととめどなく涙を流し始めてしまった。
    「グラマラスで肉付きがいい人に比べたら、わたし、抱き心地よくないです。だから、離してください。杏寿郎さんを満足させることは、わたしにはできません」
    「――なんの話だ?」
     彼女が二度ほど大きく瞬きをする。濡れた睫毛が光を反射し、彼女の焦げ茶色の瞳をより際立たせて、吸い込まれてしまいそうだ。できるだけ柔らかな手つきで、肩を掴んでいた右手を後頭部へ運び、ひとつ、ふたつと小さな頭を撫でてやる。
    「前に、杏寿郎さん言ったじゃないですか。私に『もっと太った方がいい』って」
     記憶を手繰り寄せていけば、たしかに数週間前に彼女に言った覚えがある。そもそも彼女は初めて出会ったときから、内臓がどこに詰まっているのかと思うほどに薄い体をしていた。もちろんそれに見合った食事量しか摂ることができず、俺と一緒に過ごすことになってからやっと定食の一人前を完食できるようになったぐらいだ。それでもまだまだ力を入れてしまえば骨は折れてしまいそうだし、これからのこと、彼女の体調を考えればあと少し、いや、かなり体重を増やしてほしいとは、常々思っていた。しかし、今目の前の彼女を見るに、その意図は伝わっていない。
    「わたし、グラマラスじゃないから、杏寿郎さんを満足させてあげられません。だから――」
    「そんなことは、断じてない!」
     不満なんてあるものか。見た目など抜きにして彼女という存在がいとしいというのに。ただ、もう少し、体調のためにふくよかになってほしい。本当にそれだけなのだ。
    「今のきみも魅力的だが、ふくよかになったきみはもっと魅力的だという話なんだが?」
    「えっ?」
    「え?」
     彼女の涙はすっかり止まって、代わりに頬から耳にかけてわずかに赤く染まっていく。どうやら彼女の中の誤解は解けたらしい。微笑んで見せれば、ますます肌が赤く染まる。
    「すまない、俺の言い方が足りなかった。俺のために、もう少し体重を増やしてほしい」
    「ずる、ずるいです。そんな、おねがいのしかた」
    「それに、これからもっと魅力的になるきみを、離してやることはできないなあ」
     ぷう、と彼女の両頬が膨らんだ。しかし、彼女なりの抗議もむなしく、少ししてしぼんでいく。その様子がなんだかおかしくて、もう一度頭を撫でると次は唇を尖らせた。
    「頬を膨らませて大きく見せたのに、効かない……」
     どこか不貞腐れる表情を見せた彼女の体を力いっぱい引き寄せる。突然のことに「わあ」と驚く彼女をよそに、胸いっぱい彼女のにおいを吸い込んで、触れ合う箇所すべてから彼女の体温を感じて、これまで不足していたものが満たされていく気がした。
    「そんなかわいい顔をしないでくれ」
     自制が利かなくなる――耳元で囁いてみると、彼女の体は燃えるように熱くなる。さすがにこれ以上はまずい。あとはもうベッドに横たわって眠るだけだ。ゆっくりと体を離そうとしたところで、今日初めて、彼女の腕が背中に回されて小さな手が寝間着をやわく掴む。
    「……週末、ケーキ食べに行きたいです」
    「うん。行こう」
    「焼肉も食べたいです」
    「いいな。魚派のきみが魚料理に寝返らないうちに店を予約しよう」
    「もう少し、ぎゅってしててもいいですか」
    「っ、もちろん!」
     彼女が胸に頬を擦り寄せた。少しだけ腕に力を込めてみる。背中に感じる指先の感触に満たされながら、旋毛にひとつ口付けを落とした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💴💒☺💖💞🐟▶🐄🍰😋😊💕🍰🍰🍰🍖🍖🍖💘💕💖❤💖💖☺💖💖😊🍰🍖😋💖👏😍🇱🇴🇻🇪💒💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ネギとキメラ

    DONE #kmt夢ワンドロワンライ
    【初恋】【リボン】
    🔥×🚺
    👹学/🔥先.生と社.会人🚺/キメラ作/90分
    「初恋の人はいい香りがした」

    女生徒→🔥✕🚺です。
    生.徒の初.恋泥.棒な🔥先.生に夢を見ています。
    遅ればせながら参加となりますが、主催者様、いつもありがとうございます。
    初恋の人はいい香りがした 学園の最寄り駅から電車で四十分ほどのところにある国立公園が、新入生が交流を深めるべく設けられた校外学習の場だった。
     まだ四月の下旬だというのに、照りつける日差しはどこか夏の鋭さをはらんでいて、最高気温は三十度を超えるらしい。
     私立キメツ学園の制服のリボンを初めて結んだ日は、冷たい風が吹いて肩を竦めるほどだったというのに――公園で一番大きな広場で整列させられている間も、先生の説明なんかまったく耳に入ってきやしない。じりじりと焼け付くような日差しと、首の後ろを伝う汗の不快感から逃げ惑うように顔を伏せた。
     視界が揺れている気がするのは慣れない暑さのせいだろうか。すぐに自由時間に入ってよかった、と胸をなでおろしながら近場の大木の木陰に入り、膝を抱えて座り込む。くっつけた膝と膝の間に額を預けて、息を吸ってみる。だからと言って肺が大きく膨らむことも、ぼんやりとした思考が鮮明になるわけでもない。胸がつかえるような気分の悪さも相まって、体をさらに小さくして抱え込んだ。
    3023

    ネギとキメラ

    DONE #kmt夢ワンドロワンライ
    【エアコン】【この指止まれ】
    🍃×🚺
    現パ.ロ/社.会人/付.き合って.ない/キメラ作

    「隣に住んでる🍃さん」をテーマに、お隣さん同士という前提でふんわり読んでいただけると幸いです。
    エアコンが壊れた夏の日 酷暑のさらに上の暑さを表す言葉は何になるのだろう――部屋に吹き込む風を一言で表すならばまさに熱風。夜になっても気温は下がることなく、少しでも涼を求めて風呂場で頭の上から水を浴びたものの、瞬く間に肌は汗ばみ、髪も毛先から乾きはじめていた。
     小さく舌打ちをしながら、吐き出し窓のさらに上を睨みつける。いつもなら上下二枚並ぶフラップが開き、冷たい風を送り込んでいるというのに――今はうんともすんとも言わないエアコンに、本日何度目かわからない溜息が漏れた。

     都内の片隅にある築三十五年の古アパート。建物内の階段を中心とし左右に二つずつ設置された部屋は、どの部屋も角部屋になるように、という大家の配慮らしい。
     壁も薄く、設備も古くはあるがしっかりと手入れが行き届いている。しかも駅から徒歩十分かからない。都心にも出やすい立地で破格の家賃。住人の質もよく、面倒な近所付き合いなどは一切ない。
    3195

    related works

    ネギとキメラ

    DONE #kmt夢ワンドロワンライ
    【エアコン】【この指止まれ】
    🍃×🚺
    現パ.ロ/社.会人/付.き合って.ない/キメラ作

    「隣に住んでる🍃さん」をテーマに、お隣さん同士という前提でふんわり読んでいただけると幸いです。
    エアコンが壊れた夏の日 酷暑のさらに上の暑さを表す言葉は何になるのだろう――部屋に吹き込む風を一言で表すならばまさに熱風。夜になっても気温は下がることなく、少しでも涼を求めて風呂場で頭の上から水を浴びたものの、瞬く間に肌は汗ばみ、髪も毛先から乾きはじめていた。
     小さく舌打ちをしながら、吐き出し窓のさらに上を睨みつける。いつもなら上下二枚並ぶフラップが開き、冷たい風を送り込んでいるというのに――今はうんともすんとも言わないエアコンに、本日何度目かわからない溜息が漏れた。

     都内の片隅にある築三十五年の古アパート。建物内の階段を中心とし左右に二つずつ設置された部屋は、どの部屋も角部屋になるように、という大家の配慮らしい。
     壁も薄く、設備も古くはあるがしっかりと手入れが行き届いている。しかも駅から徒歩十分かからない。都心にも出やすい立地で破格の家賃。住人の質もよく、面倒な近所付き合いなどは一切ない。
    3195

    ネギとキメラ

    DONE #kmt夢ワンドロワンライ
    【初恋】【リボン】
    🔥×🚺
    👹学/🔥先.生と社.会人🚺/キメラ作/90分
    「初恋の人はいい香りがした」

    女生徒→🔥✕🚺です。
    生.徒の初.恋泥.棒な🔥先.生に夢を見ています。
    遅ればせながら参加となりますが、主催者様、いつもありがとうございます。
    初恋の人はいい香りがした 学園の最寄り駅から電車で四十分ほどのところにある国立公園が、新入生が交流を深めるべく設けられた校外学習の場だった。
     まだ四月の下旬だというのに、照りつける日差しはどこか夏の鋭さをはらんでいて、最高気温は三十度を超えるらしい。
     私立キメツ学園の制服のリボンを初めて結んだ日は、冷たい風が吹いて肩を竦めるほどだったというのに――公園で一番大きな広場で整列させられている間も、先生の説明なんかまったく耳に入ってきやしない。じりじりと焼け付くような日差しと、首の後ろを伝う汗の不快感から逃げ惑うように顔を伏せた。
     視界が揺れている気がするのは慣れない暑さのせいだろうか。すぐに自由時間に入ってよかった、と胸をなでおろしながら近場の大木の木陰に入り、膝を抱えて座り込む。くっつけた膝と膝の間に額を預けて、息を吸ってみる。だからと言って肺が大きく膨らむことも、ぼんやりとした思考が鮮明になるわけでもない。胸がつかえるような気分の悪さも相まって、体をさらに小さくして抱え込んだ。
    3023

    recommended works

    masu_oekaki8810

    DONE2023年6月、私は自分のスマホの機種変をした。これはその記録、というより自分のための覚書のつもりだった。
    しかし「二次創作にしたら書いてて楽しいのでら?」
    と思ったので霊幻新隆に機種変させることに。
    結果的に私の機種変の正確な記録ではなくなったけど(コツコツとコピペで移したのはメモアプリではなく、いつも二次創作小説を書いてるPencakeというアプリ。有料版しかデータ移行できん!)良しとしよう。
    霊幻新隆のスマホ道 モブに持たせていたガラケーをスマートフォンに買い替えたのは、モブが事故にあって色々大変なことになった後だ。
     律からは「どうせならiPhoneを」と勧められていたようだが、モブは俺の副回線契約だったので必然的にAndroidスマホになった。(あの頃、codomoはiPhoneは扱ってなかった。というかあんな高いオモチャ、中学生に預けられるか!)
     幸い中古市場もすでに充実していたので、モブには当時の最新のから一年前の機種をほぼ新品で渡すことができた。カメラ機能もガラケーのよりだいぶ良いし音楽や動画も再生できる。中学生には十分だろ。お店の人に聞いてインターネットはフィルタリングかけておいた。あいつもお年頃だからな、当然エッチな言葉で検索もかけるはずだ。俺なんかは国語辞典や広辞苑を開いてエッチぽい単語を延々と調べたものだ。中学は人生で一番辞書を読んでいた時期だ。(お陰でそんな読書しないわりには語彙もそこそこ増えた。)モブが俺の渡したスマホから不健全な情報を得てるとなったら親御さんらに合わせる顔がない。どうしても知りたいことがあるなら正しい性知識の本を用意して読ませてやるからな、ネットでデマや変なこと吹き込まれるんじゃねーぞ、と遠回しに注意してスマホを渡してやったのが10年前、ついこないだのことみたいだ。
    5593