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    WritukoM

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    玲マリ文字書きです。

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    付き合ってない玲マリのフォークダンスについて。
    マリィからの嫉妬?が見え隠れして、二人でもだもだしてるお話です。はよ付き合え。

    ※マリィのお名前固定:あかりさんです。

    【玲マリ】君とダンスする話。のんびりした曲に乗せて、くるり、ステップ、ターンして次の人。
    手を取ってお辞儀してまたステップ、ターン。
    大人数で輪になって踊るフォークダンス。
    体育祭のために何度か行われる全体練習。
    今日もクラス外の知らない誰かと、かわるがわる動きの確認をするだけで終わってしまった。

    「あ、いた。玲太くん」
    「あかり……!」

    チャイムが鳴って、本日の授業は終了。あとは着替えて帰るだけだ。
    グラウンドで全員が一斉に解散して校舎の入り口が混みあってる中で、あかりが人の隙間を縫うようにして俺のところまで来てくれた。
    にこにこしながら、「探したよ」なんて言ってくれる。
    その姿を見た瞬間にパッと笑顔になってしまうけど、いや、俺はこの出会いをダンス中にしたかったんだと、にやつく顔を引き締める。

    「いた、はこっちのセリフだ。おまえはまた遠くまで流されてって……」
    「え、なに?」
    「フォークダンス、お互いのスタート地点が近いと、どんどん離れてく一方じゃないか」
    「あ、そう言われればそうだね!」

    あかりは両手の人差し指を立てて、向き合ってすれ違いながら周回していく様をシミュレーションしてから大きく頷いた。
    今まで深く考えてなかったらしい。

    「そっか。玲太くんになかなか会わないなーって思ってたんだよね……」
    「ふーん……。考えてはくれてたんだな」
    「うん。玲太くんとダンスできたら嬉しいよ」

    なのにまた、さらっと俺を喜ばせるようなことを言う。

    「時間、もう少し長かったらいいのかな? 一周できるくらい……?」
    「そうはいかないだろ。目が回りそうだし……?」

    長くなる分、おまえの手を取る男が増えるってことを考えて、それは嫌だと口元が歪んでしまう。
    確実に巡ってくる順番とか、そういうのも小細工でどうにでもできるだろうけど。
    自然に……でも運命的に、あかりと手を取り合える流れになりたい。
    たかがフォークダンスだけど、この学校生活でしか経験できないことで、俺にとっては重要なことだ。

    「玲太くん、今日は他の子と踊ったんだよね……」
    「ん?」
    「増えるのは、やだな」

    あかりがポツリと言いながら、俺の体操服の裾をツンと引っ張った。
    俯き加減で、唇を尖らせて、拗ねたような表情を見せる。
    目を合わせようとしたら、すっと横に逸らされる。
    なあ、その言葉、その表情。
    俺と同じようなこと考えてる?
    そんなふうに思える、あかりの態度。
    じわじわと顔が熱くなってくる。
    心が浮ついてくる。
    いや待て早まるな。
    ズレたこいつのことだ、特に深い意味はないはず……

    「玲太くんとだけ踊って、すぐ終わりだといいのにな」
    「え?!」
    「そしたら余計なこと考えずに済むのに」

    またそんな……嫉妬とも受け取れるような言い方をする。
    俺を喜ばせて、浮かれさせて、むずむずとこそばゆいような心地にさせる。

    「なあ、余計なことって、何……?」
    「……内緒」

    小さな声で答えるあかりに、「ふうん」と受け流す素振りをしつつ、緩みそうになる口元を手で隠した。
    あかりは何を考えるんだろう。
    俺と踊ることだけ?
    俺が他の女子の手を取るのは嫌だろうか?
    さっきから掴んでる俺の体操服の裾、どんどん伸びてる。
    その手は、本当は違うものに触れたかったんじゃないか?
    勘違いだと恥ずかしい。
    ぬか喜びするのは嫌だ。
    でももっと単純に、素直に、揺さぶられる感情のままに舞い上がってみたい。
    熱くなってくる頬が隠せないまま、あかりを見つめていると、

    「玲太くんは……フォークダンス楽しい? 楽しくない?」

    拗ねた唇から、そう問われた。
    どうだろう。
    ただ一人と手を取って踊りたいだけなのに、やきもきする。
    踊れたとしてもその時間はあっという間に過ぎるだろう。
    それは次から次へ人を代えて踊るこのフォークダンスというもの自体が悪い。
    けど、こんなあかりを見せてくれるのなら、悪くはない。
    それに――

    「おまえと一緒の学校行事が楽しくないわけないだろ?」

    結局、何だってあかりがいるから楽しめる。
    それはどんな時も、どんなことも、変わらない。

    「うん。やっぱ本番、おまえと踊れるのがいい。ていうか、絶対踊る。順番は回ってくる」
    「絶対……?」
    「どうにかなるし、俺たちはそういう運命だ」

    根拠はなくとも、そう言い切っておいた方が気分が段違いだ。
    俺は大真面目に、真剣に、あかりの目を見た。
    見つめ返してくる目は驚きつつも、唇は笑顔の形になる。

    「じゃあ、楽しみにしてればいっか」
    「そういうこと」

    あかりがいつもの調子で「ふふっ」と笑った。
    それと同時に、裾を掴む手からは力が抜けて、離れようとする。
    俺はその手を逃がしたくなくて、指先だけ掴んで引き止めてみた。
    今度は笑うのを隠さずに言ってみる。

    「……ただ手ぇ繋ぐだけなら、いつでもできるけど?」
    「え?! そ、そうだね……っ?!」

    俺の囁きに、あかりが目を見開いて、頬を赤くする。
    戸惑って、笑ってるような困ってるような表情で俺と手元を交互に見る。
    さて、この掴んだ手をどうしようか。
    このままダンスの練習でもしようか――、手を離すまでの少しの時間、そんなことを考えていた。


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