元甘えベタな君へ唐揚げ、オムライス、ハンバーグ、バナナフリッター、バナナ蒸しパン。
どれも君の好きなものばかり。
君が私に作って欲しいと強請るもの。
他にも、
「ドラ公これやって」
「ドラ公あれどこ?」
「ドラ公この間のやつ食いたい、あの美味かったやつ」
「なぁ、ここにいろよ」
「無理、お前がいなきゃやだ」
「なぁ、もっかいだけ、だめ……?」
こうして君が私に甘えるようになったのはいつからだろうか。
最初はわがままの言い方も甘え方も知らなかった若造は、30年かけて沢山褒めてたっぷり甘やかした結果私にのみわがままや甘えたを発動させるとてもかわいい男に育った。
「……何考えてんだよ」
「ん?君も随分甘え上手になったものだと思ってね」
少し考え事をしていただけで不機嫌な顔をする彼の頬にそっと口付ける。
「そりゃ愛され上手な恋人に30年たっぷり仕込まれたらな」
「ふふ、わかってるじゃないか」
彼の言葉に気を良くした私は目の前の少しカサついた唇にもそっと口付ける。
するとすぐに後頭部に彼の大きな手が添えられ、軽くで済ませるつもりだった口付けがどんどん深いものになっていく。
「んっ、ろなるどくん、するの……?」
深く口付けられながらそっと押し倒され、呼吸の合間に尋ねる。
「ん、したい、だめ?」
私を見つめる瞳が、少しずつ欲に染まっていく。
私だけのきれいなあお。
「ふふ、だめじゃないよ」
そう言って抱き着くと、彼が嬉しそうに抱き返してくる。
「愛してる、ドラルク」
「私も愛してる、ロナルドくん」
ふたりでそっと囁き合い、私は彼に全てを委ねた。