複数のグループに分かれて、夜の森で魔精の駆除作業。ただそれだけの簡単な仕事のはずだった。
「俺は一人でいい」と単独行動を取ろうとしたパヴィアにヴェルティが付き添い、指定された地点へ向かった。
事前に与えられた情報によればこの森に強力な魔精はおらず、弱い魔精の群れがいくつか存在しているだけらしい。
油断していなかったと言えば嘘になる。だから、指定地点に向かう道中に異形の足跡── 人のものでも魔精のものでもない足跡があったことに、ヴェルティは気付かなかった。
指定地点に到着し、周囲を確認しても魔精の姿は見当たらない。警戒して身を潜めているのか、と思ったその時。
茂みをかき分けて姿を現したのは魔精ではなく、黒い仮面で顔を隠した異形の者たち… マヌス・ヴェンデッタの構成員だった。
1951