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    Mogmogsmaka

    ハマったものを軽率に書いていきたいです。現在は真Vのフィン主メイン。

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    Mogmogsmaka

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    聖夜を初めて二人で過ごすフィン主。
    ※時系列不明、捏造有

    #フィン主
    finMaster

    二人の聖夜11月に入ると街はネオンや装飾で煌めき始める。店頭で流れるのは決まってクリスマスソングだし、テレビだってクリスマス特集を何度も何度も映し出す。
    本来の意味とは掛け離れたこの日は一種のお祭りみたいなものだ。パーティを開いてケーキを食べ、プレゼントを交換したりして。
    「まさか日本支部でやるとは思わなかったけど」
    最初に皆で12月24日のイブにクリスマスパーティをやろう、と言い出したのは太宰だった。そこにタオも乗っかってミヤズも楽しそうだったからユズルも不器用ながら協力してくれて、サホリも装飾を手伝ってくれて、そうしているのを楽しそうに眺めていた長官がそれならばとベテル日本支部総出でパーティをすることになった。
    流石長官が少し手を加えただけで豪勢なパーティになった。大きなケーキ、普段食べることのないご馳走、それぞれの仲魔達も喚び楽しみの内にすっかり日は落ちてパーティはお開きとなった。
    「皆が楽しそうで良かったな」
    小さな雪がちらりと舞う夜の街を歩く。俺の冷たい手を握ってくれながらフィンがそう言った。
    「うん。こんなに楽しいクリスマスは久し振りだったよ」
    学院の寮に入ってからは一人で過ごすことが多かった。寮母さんや厨房の人達がクリスマスに因んだ料理を出してくれたり、ちょっとした飾り付けやプレゼントは貰ったがそれだけ。部屋に戻ればいつもと変わらない日。
    けれど今は友人達も仲間達も居て、隣には恋人であるフィンが居る。
    「…」
    クリスマス、といえば。楽しいパーティも勿論だけど恋人達の日ともされている。
    「…ねえ、フィン」
    「ん?」
    皆で過ごした時間も本当に楽しかったけど、折角フィンが居てくれるのだから恋人らしく過ごしてみたい。
    「この後さ、二人だけでパーティの続きしない?」
    訊けば、彼は綺麗な顔に俺にしか見せない笑みを浮かべて答えてくれた。
    「勿論だとも」
    彼なら断らないことは分かっていたけれど、快諾してくれたことに気分は上向く。手を引いて早足で歩く。向かう先はケーキ屋さんだ。予約していなくとも、商戦真っ只中の店頭には様々なケーキが並んでいるだろう。
    寮から近い、帰りによく女子生徒が寄るお洒落なケーキ屋さんに行けば店員さんはサンタの服を着ていて、ショーケースには様々なクリスマスケーキが沢山並んでいた。その中から1ピースずつ選び、店頭に置いてあったシャンメリーも買い寮へ戻った。
    厨房からお皿とフォーク、グラスを借りて部屋に着くとスマホで検索したクリスマスジャズをかけてみたりする。
    「じゃあ乾杯」
    「乾杯」
    グラスに注いだ甘いシャンメリーを飲む。爽やかな炭酸とマスカットの味が鼻を抜けていった。
    「クリスマスというのは華やかなものなんだな」
    と、ケーキにフォークを差しながらフィンが言った。そういえばフィンの故郷であるアイルランドではマーケットがあったり家族で集まったりするらしいけど、神話の時代にはこういうのは無かったろうな。
    「日本は特にイベント好きだから…フィン、あのさ」
    フォークを置くと、指定鞄の中に隠してあったプレゼントを取り出した。折角恋人となったフィンと過ごす初めてのクリスマスだから何か思い出になるようなものを贈りたかった。
    「俺に?」
    その問い掛けに頷き答えると、少し申し訳なさそうな顔でそれを受け取ってくれた。丁寧に包み紙を解くと、小さな箱を開ける。どういう反応を返してくれるだろう…ドキドキする。
    「これは…フィブラ?」
    「うん。身に着けられる物がいいかなって思って」
    フィンは箱からフィブラを取り出してじっくりと眺めている。彼は騎士だから指輪とかのアクセサリーは邪魔になるだろうと考え、鮮やかなマントを留めているフィブラなら使ってくれそうだと思い付いた。フィンが愛用してるのはトリスケルだから、それとは違う生命の樹がデザインされてあるものだ。
    「ありがとう…嬉しいよ、お前さん」
    早速マントを手繰り寄せると着けているフィブラを外し、俺がプレゼントしたばかりのフィブラに変えてくれる。銅色のそれは違和感無く馴染んでいた。
    「良く似合ってるよ」
    少し心配だったけど選んで良かった。フィンは大切そうにそれを指で撫でると俺に向き直る。
    「しかし俺はお前さんへの贈り物を用意してないんだ」
    「ああ、気にしなくていいよ。こうして過ごせてるだけで十分幸せだから」
    そもそも当たり前だけどフィンはクリスマスがそういうイベントだって知らなかったのだから無理もない。このプレゼントだって俺がやりたくてやっているだけなのだから、彼が貰ってくれて喜んでくれたというだけで価値がある。
    しかしフィンの気は収まらないようで、フィブラを撫でながら暫く考え込んでしまっていた。それから何かを思い付いたのか、俺の肩を抱き寄せると顎を優しく捕らえられる。
    「お前さん」
    そこから、温かい吐息が触れた。目の前に煌めく宝石のような瞳があって、長い睫毛がゆったりと揺れる。唇に触れる柔らかい感触とフィンの匂いが心地良くて目を閉じた。何度か啄むと、角度を付けて深く交じり合わせる。プレゼントのお返しにとても優しいキスを贈ってくれた。
    「…すまない、今あげられるものはこれしか思い浮かばなくて」
    そっと唇を離すと静かに言われた。そんな事、本当に気にしなくてもいいのに律儀だな。けれどまだ申し訳なさそうにしているフィンに俺はある提案をした。
    「それなら…今夜一晩フィンの時間を俺に頂戴?」
    キスも嬉しいけど、どうせなら聖夜を恋人と共に甘い時間で迎えたい…彼の腕の中で迎えるクリスマスの日なんてドラマみたいで最高じゃないか。そんな事を思うくらい俺はフィンに夢中なんだ。
    俺の提案に、フィンは微笑み答えてくれる。
    「それがお前さんの望みなら…俺の全ては、愛しいお前さんの為に」
    甘い台詞と共に学生服に手を伸ばされる…その手を喜びながら受け入れ、甘い甘い聖夜を二人きりで過ごした。
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