キスをする頬にしなやかな手が添えられる。
王が身を乗り出して、俺の左目の下にある紋様に唇を落とす。次に鼻筋を柔い唇で噛み、鼻先に触れて態と音を立てて離れていく。まるで戯れる様なキスに焦れながら、頬をその悪戯な唇が掠めていく。顔の輪郭を細い指先が辿って、首に両腕が回される。
「フィン」
目の前に美しい王の顔がある。既に金色の瞳にうっすらと官能の涙を湛え、甘く惚けた声色で俺を呼ぶ。鼻先を触れ合わせ、高鳴る鼓動と熱を治めるために息を一つ吐いて色香を放ち艶めき立つ唇を奪う。
餌を啄む小鳥のように触れ合わせるだけのキスを送り、ふっくらとした下唇を俺の唇で柔く噛んでやれば王は鼻にかかる上擦った声を上げた。離してやり唇を舐めればそれだけで細い肩が震えている。右手を伸ばし小さな顎を捕らえると頭を少し傾け、角度をつけて唇を開いた。俺と同じように開く王の従順な唇に深く噛みつき、熱い口内に舌を差し込むと上顎を舌先で舐め、内頬を突いて、綺麗に並んだ歯列の裏側を辿り、舌の下へ差し込んで王の舌を絡め取る。
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