ふたりであるから「俺は少しでも……アオガミの支えになれてるかな?」
先ほどまでの激戦の名残もなく、静かな丘の上。
唯一残ったナホビノが――知恵の少年は、青色の髪を揺蕩わせながらぽつりと呟いた。荒野を抜ける風の音にかき消されそうな小さな声。傍らに立っている相手が居ても届かないだろう程に微かな声。
故に、半身たるアオガミは気づくことが出来た。彼らは今、一つなのだから。
『少年、何を』
「俺よりもアオガミに相応しい知恵がいるじゃないかなって」
堰を切ったようにあふれ出すか細い声。己の口から吐き出される言葉にアオガミ以上に驚いているのはナホビノ自身であった。こんな事を言いたかったわけではないのにと。
(でも)
それでも、と。
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