小さな葉っぱ
REHABILIワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
少しでも癒せたら夜遅く。今日もボロボロになるまでトレーニングをしていた彼。秘密の特訓場で大の字になり、地面の上で意識を手放している。
その頭をそっと両手でもたげて太ももの上に乗せ、地へ座る。
ゆっくりゆっくりと頭部を撫でながら、回復の魔法を掛けて行く。天使の羽根でくすぐるような手付き。
無理は出来るだけして欲しくはない。けれど――。
「貴方のそういうところが好きです」
聞こえて欲しいような、欲しくないような。そんな声量の囁きの後、上半身を折り、口吻による一瞬だけの口付けを交わす。
土まみれの中からでも、彼のバラの香水が標のように鼻を通り抜けて行った。
(おわり)
278その頭をそっと両手でもたげて太ももの上に乗せ、地へ座る。
ゆっくりゆっくりと頭部を撫でながら、回復の魔法を掛けて行く。天使の羽根でくすぐるような手付き。
無理は出来るだけして欲しくはない。けれど――。
「貴方のそういうところが好きです」
聞こえて欲しいような、欲しくないような。そんな声量の囁きの後、上半身を折り、口吻による一瞬だけの口付けを交わす。
土まみれの中からでも、彼のバラの香水が標のように鼻を通り抜けて行った。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。クリスマスSSです。
ツイッターに投稿した画像小説と同じものです。
地上の銀河無数の小粒の電球で煌めく夜の街。
この横断歩道を渡ればクリスマスデートの始まり。
彼女の手の甲が自分の手の甲に触れる。
お互い同時に顔を見ると、彼女は地上の銀河の中で美しく微笑んだ。直後に自分も同じ顔をすると、その拍子に口から出た二人のもやりとした白い息が、空中で一つになる。
ゼロ距離にある彼女の手を捕まえて、彼らは聖夜に彩られた光の街へ進んで行った。
(おわり)
185この横断歩道を渡ればクリスマスデートの始まり。
彼女の手の甲が自分の手の甲に触れる。
お互い同時に顔を見ると、彼女は地上の銀河の中で美しく微笑んだ。直後に自分も同じ顔をすると、その拍子に口から出た二人のもやりとした白い息が、空中で一つになる。
ゼロ距離にある彼女の手を捕まえて、彼らは聖夜に彩られた光の街へ進んで行った。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
星座占い『今週はさそり座の方と相性が良いでしょう』
巻末の星座占いにそう書かれた無料の情報誌をゴミ箱へ放る。
しかし、ゴミ箱から生えたそのフリーペーパーを複雑そうに見つめた後、拾い上げて開いた。
あの人の星座は――。
確かめようとして結局やめた。第三者が決めた星の運命なんて信じたりしない。
信じたり、しない……。
(おわり)
161巻末の星座占いにそう書かれた無料の情報誌をゴミ箱へ放る。
しかし、ゴミ箱から生えたそのフリーペーパーを複雑そうに見つめた後、拾い上げて開いた。
あの人の星座は――。
確かめようとして結局やめた。第三者が決めた星の運命なんて信じたりしない。
信じたり、しない……。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
地上の綺羅星クリスマスがまもなくの街中。星の光が間近にあるようなイルミネーションが、彼女越しに映る。
この時季にしか見られない一般的な厚着の彼女。レザーの手袋ごと手を引いて長い腕の中に閉じ込める。
その僅かな衝撃で吐き出されたお互いの白い息が、夜にくっきり映えて宙を渡って行く。
この光の中、攫っても良い? 心の中でそんなキザったらしい事を問い掛けていた。
(おわり)
180この時季にしか見られない一般的な厚着の彼女。レザーの手袋ごと手を引いて長い腕の中に閉じ込める。
その僅かな衝撃で吐き出されたお互いの白い息が、夜にくっきり映えて宙を渡って行く。
この光の中、攫っても良い? 心の中でそんなキザったらしい事を問い掛けていた。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。診断メーカーでお題を頂きました。
【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
【140文字SSのお題】
貴方はワルロゼで『グラスにうつった真実』をお題にして140文字SSを書いてください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/587150
勝手に十日間チャレンジ:六日目(ワルロゼ)もう何杯目かも分からないワインをあおる。
昼間っから飲んでいないと、気づいてしまったこの気持ちを振り払えない。いや、飲んでいても退けられてはいないが。
愛してしまったのは高嶺の花ならぬ高嶺の星。
自分のものになる訳がない。その事実が痛過ぎてワインを流す喉に染みる。
どんなにこの想いを遠ざけようとしても、グラスには彼女を欲しがる瞳がはっきりと写し出されていた。
(おわり)
188昼間っから飲んでいないと、気づいてしまったこの気持ちを振り払えない。いや、飲んでいても退けられてはいないが。
愛してしまったのは高嶺の花ならぬ高嶺の星。
自分のものになる訳がない。その事実が痛過ぎてワインを流す喉に染みる。
どんなにこの想いを遠ざけようとしても、グラスには彼女を欲しがる瞳がはっきりと写し出されていた。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
↓頂いたお題
【140文字でお題ったー】
ワルロゼへのお題は『全力疾走』です。140文字SSを書いてみましょう。
#140文字でお題ったー #shindanmaker
https://shindanmaker.com/1017946
勝手に十日間チャレンジ:五日目(ワルロゼ)普段は魔法で浮いて移動している。しかし彼に会いに行く時は自分の足で走って行きたい。
ドレスを少したくし上げて疾走し、彼の元まで辿り着く。
「あぶな!」
胸に飛び込むすんでのところでヒールを吐いた足がバランスを崩す。細くも自分をしっかりと受け止めてくれる腕。
心配そうに眉を吊り下げた顔が自分を覗き込む。
それが可愛らしいと思え、走って来た勢いのまま愛しい唇に食らい付いた。
(おわり)
194ドレスを少したくし上げて疾走し、彼の元まで辿り着く。
「あぶな!」
胸に飛び込むすんでのところでヒールを吐いた足がバランスを崩す。細くも自分をしっかりと受け止めてくれる腕。
心配そうに眉を吊り下げた顔が自分を覗き込む。
それが可愛らしいと思え、走って来た勢いのまま愛しい唇に食らい付いた。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
勝手に十日間チャレンジ:二日目(ワルロゼ)この時季の母親の手は荒れやすいから。そんな理由で購入した赤切れや手荒れにも効くハンドクリーム。
彼女と出会った事で趣味となった星見の途中で、そのケースを握り締める。
明日はカートのツアーで顔を合わせる事になっていた。
こんなちっぽけなプレゼント、喜ばれるかは分からないが。
誰かの役に立ちたいなんて、これまで抱いた事のない感情だった。彼女は経験した事のないさまざまな思いを呼び起こしてくれる。
寒い夜。彼の小さく温かい欲望を乗せて、今日も星は巡る。
(おわり)
232彼女と出会った事で趣味となった星見の途中で、そのケースを握り締める。
明日はカートのツアーで顔を合わせる事になっていた。
こんなちっぽけなプレゼント、喜ばれるかは分からないが。
誰かの役に立ちたいなんて、これまで抱いた事のない感情だった。彼女は経験した事のないさまざまな思いを呼び起こしてくれる。
寒い夜。彼の小さく温かい欲望を乗せて、今日も星は巡る。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。【勝手に十日間チャレンジ:勝手に十日間作品を投稿する試み】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
勝手に十日間チャレンジ:一日目(ワルロゼ)ある日のカートツアーで顔を合わせた彼女はいつもと違う容姿だった。サンタガールを彷彿とさせる真紅のドレスを身にまとい、髪はポニーテール。
レース前に『良い走りをしましょう』と、にこやかに声を掛けられる。
髪をアップにしている事で、デコルテがいつもよりくっきり目に映えていた。肩出しのドレスはその美しさを容赦なく見せつけて来る。視線が吸い寄せられてしまう。
「ま、まあよろしくな」
クールな態度を装いながら、早急に彼女の横を通って立ち去った。あのまま見惚れていたらうっかり触れてしまいそうだ。絶対通報される。
彼女のこの姿はご褒美でありながら心臓に悪い。
(おわり)
283レース前に『良い走りをしましょう』と、にこやかに声を掛けられる。
髪をアップにしている事で、デコルテがいつもよりくっきり目に映えていた。肩出しのドレスはその美しさを容赦なく見せつけて来る。視線が吸い寄せられてしまう。
「ま、まあよろしくな」
クールな態度を装いながら、早急に彼女の横を通って立ち去った。あのまま見惚れていたらうっかり触れてしまいそうだ。絶対通報される。
彼女のこの姿はご褒美でありながら心臓に悪い。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。お題を頂きました。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものになります。
頂いたお題:素敵ね、と君は笑った
お題配布元:夢見月*
バラ柄のハンカチ「こちら、落としていらっしゃいましたよ」
カート大会の自分の選手控え室を彼女が訪れた。
綺麗に指が揃えられた手で、ラベンダーカラーの生地にバラ柄のハンカチが差し出される。
「ピーチさんに落とし主に心当たりがおありかと尋ねたら、こちらだとおうかがいしたので」
こんな粗野な男がクラシック感のあるバラ柄のハンカチを持っているなんて、裏で嗤われるかもな。そんな捻くれた思考に至る。
「素敵ですね」
受け取ったままなにも言えないでいると、彼女が和やかに笑った。
きっと褒めた対象はこのハンカチの柄だ。何処かでそう言い訳を零す。
しかし別の何処かではおかしな期待をしながら、穏やかに弧を描く唇と三日月のように細くなる目に見惚れていた。
320カート大会の自分の選手控え室を彼女が訪れた。
綺麗に指が揃えられた手で、ラベンダーカラーの生地にバラ柄のハンカチが差し出される。
「ピーチさんに落とし主に心当たりがおありかと尋ねたら、こちらだとおうかがいしたので」
こんな粗野な男がクラシック感のあるバラ柄のハンカチを持っているなんて、裏で嗤われるかもな。そんな捻くれた思考に至る。
「素敵ですね」
受け取ったままなにも言えないでいると、彼女が和やかに笑った。
きっと褒めた対象はこのハンカチの柄だ。何処かでそう言い訳を零す。
しかし別の何処かではおかしな期待をしながら、穏やかに弧を描く唇と三日月のように細くなる目に見惚れていた。
小さな葉っぱ
1111ワルロゼ作品。ポッキー&プリッツの日作品。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
ポッキー&プリッツの日連日続いているカート大会。
今日の第一レースが行われるサーキットの控え室は、何室かの大部屋へ分かれる形だった。
相棒のワリオと運悪く離れてしまった彼は、パイプ椅子に長い足を組んで行儀悪く座りながら、持参した棒状のチョコ菓子を食べている。
タメ口をきける仲といえど、王族も居る控え室でタバコを吸う訳にも行かない。口寂しさを紛らわせるにはちょうど良かった。
その時、ふと気配を感じて横を見る。少し離れた場所から、こちらの手元を物欲しそうに眺める星型の幼子が一人。確かチコとかいったか。
その保護者である碧色の星姫は、現在席を外しているようだ。
――このまま凝視されるのも癪だ。
そう思った彼は、菓子を一本抜き出し、星の子に手を伸ばす。
783今日の第一レースが行われるサーキットの控え室は、何室かの大部屋へ分かれる形だった。
相棒のワリオと運悪く離れてしまった彼は、パイプ椅子に長い足を組んで行儀悪く座りながら、持参した棒状のチョコ菓子を食べている。
タメ口をきける仲といえど、王族も居る控え室でタバコを吸う訳にも行かない。口寂しさを紛らわせるにはちょうど良かった。
その時、ふと気配を感じて横を見る。少し離れた場所から、こちらの手元を物欲しそうに眺める星型の幼子が一人。確かチコとかいったか。
その保護者である碧色の星姫は、現在席を外しているようだ。
――このまま凝視されるのも癪だ。
そう思った彼は、菓子を一本抜き出し、星の子に手を伸ばす。
小さな葉っぱ
DONEワルロゼ作品より、小説ハイライト。元作品はpixivとソナーズにあります。
背景画像はpexelsよりお借りしました。
https://www.pexels.com/ja-jp/photo/4922083/
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。お題を頂きました。
ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
頂いたお題:身分とか血筋とか、そんなのがどうでもよくなっちゃうくらい、私は貴方に夢中なの
お題配布元:夢見月*
最後の距離彼女たちの関係は、告白をしていないだけで恋人のように近しい。
しかし結局“恋人のよう”は“恋人のよう”な間柄でしかない。
手も繋がない、抱き締め合わない、キスだってしない。
彼は、自分たちの隙間に存在する身分や立場を、とても大きなものとして捉えている。
彼女とて、多くの子供たちを蔑ろには出来ない身なのは確かだ。しかし彼と恋仲となる上で、それを気にした事はない。
彼の庭に作られたベンチへ二人で座り、星月夜を見上げる。
『私の事、好きですか?』
あえて軽い調子で訊いてみる。今日もはぐらかせてしまった。
だが今日は諦めない。痩せこけた顔を玉肌の両手で挟み、ぐっとこちらを向かせる。
「身分と私、どちらが大切なのです?」
もう逃れられないこの質問で、最後の距離を埋めて欲しかった。
348しかし結局“恋人のよう”は“恋人のよう”な間柄でしかない。
手も繋がない、抱き締め合わない、キスだってしない。
彼は、自分たちの隙間に存在する身分や立場を、とても大きなものとして捉えている。
彼女とて、多くの子供たちを蔑ろには出来ない身なのは確かだ。しかし彼と恋仲となる上で、それを気にした事はない。
彼の庭に作られたベンチへ二人で座り、星月夜を見上げる。
『私の事、好きですか?』
あえて軽い調子で訊いてみる。今日もはぐらかせてしまった。
だが今日は諦めない。痩せこけた顔を玉肌の両手で挟み、ぐっとこちらを向かせる。
「身分と私、どちらが大切なのです?」
もう逃れられないこの質問で、最後の距離を埋めて欲しかった。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ハロウィン小ネタです。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
紅い雫を啜って(ハロウィン)魔女の口端へ紅い雫が筋を作って垂れる。頬張った柔らかい一口チョコの中身が、たっぷりのイチゴソースだったからだ。
とっさに受け皿を作ろうと動かされた魔女の手を、手首を掴んで抑える吸血鬼。
疑問に思われて睨まれるより早く、その紅い雫へ唇を寄せてチュッと啜った。
そのまま口の位置を移動させ、接吻を交わす。
このキスは血より濃く、イチゴより甘い。
(おわり)
178とっさに受け皿を作ろうと動かされた魔女の手を、手首を掴んで抑える吸血鬼。
疑問に思われて睨まれるより早く、その紅い雫へ唇を寄せてチュッと啜った。
そのまま口の位置を移動させ、接吻を交わす。
このキスは血より濃く、イチゴより甘い。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
頂いたお題:純愛チョコレート
お題配布元:夢見月*
純愛チョコレート『甘いキスとはどんなものかしら?』
そう言った私へ、彼はグラスに盛られた一口チョコを摘むとキスと共に口移しで押し込んで来た。
チョコはどんどんとろけて、彼の舌は容赦なく絡み続ける。
褐色の甘味が完全に溶け消えた後に唇を離して『これでも純愛だ』と笑う彼は、やっぱりイジワルだわ。
(おわり)
144そう言った私へ、彼はグラスに盛られた一口チョコを摘むとキスと共に口移しで押し込んで来た。
チョコはどんどんとろけて、彼の舌は容赦なく絡み続ける。
褐色の甘味が完全に溶け消えた後に唇を離して『これでも純愛だ』と笑う彼は、やっぱりイジワルだわ。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。恋人ではない二人。
お題を頂きました。
ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
頂いたお題:星屑を散らばした瞳
お題配布元:夢見月*
波打ち際の宇宙テニス大会でやって来た南の島。
滞在ホテルの近くに存在する砂浜へとワルイージはやって来ていた。今は静かな夜で、波音と砂を踏みしめる足音しか聞こえない。
ここへはなんとなく夜の散歩へ出た。太陽燦々の昼間より、月が柔らかく光を放つこの時間の方が落ち着いて好きだ。
オーバーオールのポケットに手を突っ込み、猫背気味に歩んでいると、波打ち際に立つ誰かの姿が前方に見えて来る。
さくさくと白い砂に足跡を付けながらしばらく進む。その人影がはっきり輪郭と色を伴って目に飛び込んで来た。
波打ち際に佇み、静まった水平線を眺める姿はやはり美しい。爽やかな色の流れるようなドレスも、宝石の嵌った銀の王冠も、金糸の髪も、月の明かりに照らされてぽうっと仄かな聖なる光を放っているように見える。
1237滞在ホテルの近くに存在する砂浜へとワルイージはやって来ていた。今は静かな夜で、波音と砂を踏みしめる足音しか聞こえない。
ここへはなんとなく夜の散歩へ出た。太陽燦々の昼間より、月が柔らかく光を放つこの時間の方が落ち着いて好きだ。
オーバーオールのポケットに手を突っ込み、猫背気味に歩んでいると、波打ち際に立つ誰かの姿が前方に見えて来る。
さくさくと白い砂に足跡を付けながらしばらく進む。その人影がはっきり輪郭と色を伴って目に飛び込んで来た。
波打ち際に佇み、静まった水平線を眺める姿はやはり美しい。爽やかな色の流れるようなドレスも、宝石の嵌った銀の王冠も、金糸の髪も、月の明かりに照らされてぽうっと仄かな聖なる光を放っているように見える。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。お題を頂きました。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
頂いたお題:お嬢さん、恋はいかが?
お題配布元:確かに恋だった @utislove
その花の名前は恋「お嬢さん、恋はいかが?」
紫の帽子を軽く上げて挨拶し、キザな事をいきなり言って来る彼。きょとんとしていると、彼の手が自分の鼻先で空気を掴むように動く。
次の呼吸よりも早い刹那に彼の手中へ現れたのは、真紅のバラ。
少し驚いてパチンと大きな瞬きをした彼女は、すぐに和んだ短い声と一緒に笑みが湧き上がった。
「あらあら、可愛い恋ですね」
「なーんだ、もっと驚いてくれると思ったのによお」
「驚きましたよ、でもそれ以上に嬉しかったので」
――喜ばせる為に一生懸命練習してくれた、彼の気持ちが。
バラを持った彼の手をそっと胸に引き寄せる。『お返しです』と彼の尖った赤鼻へ、リップでつやつやと光る柔らかい唇を寄せた。
(おわり)
311紫の帽子を軽く上げて挨拶し、キザな事をいきなり言って来る彼。きょとんとしていると、彼の手が自分の鼻先で空気を掴むように動く。
次の呼吸よりも早い刹那に彼の手中へ現れたのは、真紅のバラ。
少し驚いてパチンと大きな瞬きをした彼女は、すぐに和んだ短い声と一緒に笑みが湧き上がった。
「あらあら、可愛い恋ですね」
「なーんだ、もっと驚いてくれると思ったのによお」
「驚きましたよ、でもそれ以上に嬉しかったので」
――喜ばせる為に一生懸命練習してくれた、彼の気持ちが。
バラを持った彼の手をそっと胸に引き寄せる。『お返しです』と彼の尖った赤鼻へ、リップでつやつやと光る柔らかい唇を寄せた。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターに投稿した画像小説と同じものです。
診断メーカーでお題を頂きました。
↓頂いたお題
【お題ひねり出してみた】
ワルロゼへのお題は『嘘吐きの心臓』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
嘘吐きの心臓『恋になんて興味はない』
なにか期待をもって恋愛に関して質問をして来た美しい綺羅星に、なるべく冷たく返す。
「恋愛が全てではないですものね」
口ではそう言っても、エメラルドグリーンの瞳には気後れした落胆が浮かんでいる。
興味がないなんて、本当は嘘だ。髪に触れて顔全体を見てみたいし、白い玉肌の手や頬はどんな感触だろうと想像した事もある。
話しをする度にこの嘘吐きの心臓は、口から出るものとは逆さまの恋慕という血潮を送り出していた。
(おわり)
223なにか期待をもって恋愛に関して質問をして来た美しい綺羅星に、なるべく冷たく返す。
「恋愛が全てではないですものね」
口ではそう言っても、エメラルドグリーンの瞳には気後れした落胆が浮かんでいる。
興味がないなんて、本当は嘘だ。髪に触れて顔全体を見てみたいし、白い玉肌の手や頬はどんな感触だろうと想像した事もある。
話しをする度にこの嘘吐きの心臓は、口から出るものとは逆さまの恋慕という血潮を送り出していた。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。診断メーカーでお題を頂きました。
ツイッターで画像小説として投稿したものと同じです。
↓頂いたお題
【推しCPキャッチコピー決めてみたったー】
ワルロゼのキャッチコピーは
「愛しい君は、桜に溶けて消えそうだった」です
#私の推しcpキャッチコピー #shindanmaker
https://shindanmaker.com/1119805
花吹雪の中で桜並木の道。目と心を奪う景色に興奮気味の彼女が少し前を歩く。
突如吹き荒ぶ風。大量に舞い落ちて来る花弁に隔てられたような気がして、差し込む木漏れ日も淡い桃色に光ったようにも見えた。
消えてしまう。そんな焦燥が胸に擦り傷を作りながらよぎって、思わず手首を掴んでしまった。
振り返った彼女になんと言って良いが分からず視線を泳がせる。
彼女は掌で花弁を受け止めると指を折って閉じ込め、その手を彼の胸へと充てた。
此処に居る――彼女の手が優しく語っている気がした。
228突如吹き荒ぶ風。大量に舞い落ちて来る花弁に隔てられたような気がして、差し込む木漏れ日も淡い桃色に光ったようにも見えた。
消えてしまう。そんな焦燥が胸に擦り傷を作りながらよぎって、思わず手首を掴んでしまった。
振り返った彼女になんと言って良いが分からず視線を泳がせる。
彼女は掌で花弁を受け止めると指を折って閉じ込め、その手を彼の胸へと充てた。
此処に居る――彼女の手が優しく語っている気がした。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
お題を頂きました。
頂いたお題:見ているだけで良かったのに。欲張りになる。きみが欲しくなる。
お題配布元:確かに恋だった(@utislove)
すれ違う度にカート中に追い抜き、追い抜かれる時。パーティー中に同じマスに偶然止まった時。アプリコットの香水の香りが、より艶麗に彼女を魅せつけて来る。鼻を抜けて脳にまで惑乱がじわりと広がる。
その度に手に入れたくなって、何処か遠い場所へ攫ってしまいたい。戦闘力の差は歴然なのでそれは叶わない事なのだが。
冷静さも、母親としての顔も、意外と世間知らずなところも、無邪気なところも、彼女にまつわる事総てが魅力的。
“見ているだけで良かった”――その感情は、今では遠い世界に消えた言い訳。
(おわり)
242その度に手に入れたくなって、何処か遠い場所へ攫ってしまいたい。戦闘力の差は歴然なのでそれは叶わない事なのだが。
冷静さも、母親としての顔も、意外と世間知らずなところも、無邪気なところも、彼女にまつわる事総てが魅力的。
“見ているだけで良かった”――その感情は、今では遠い世界に消えた言い訳。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものになります。
【お題ひねりだしてみた】
小さな葉っぱへのお題は『境界線なんていらない』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
境界線なんていらない(ワルロゼ)「なにかお悩みですか?」
――あんたを愛しそうなのが怖い。
ずっと独りで構わないと生きて来た筈なのに。その感情を揺るがす綺羅星と出会ってしまった。
身分の違い、寿命の違い、そんな境界線なんてない方が良いんだ。越えるべき線などなく、ずっとパーティー仲間という壁に阻まれていた方が、きっと彼女の為になる。
そう思っている、のに――。
心配そうな様子で手を包み込む彼女の両手に、境界線を越える明日を何処かで望む自分が居た。
(おわり)
216――あんたを愛しそうなのが怖い。
ずっと独りで構わないと生きて来た筈なのに。その感情を揺るがす綺羅星と出会ってしまった。
身分の違い、寿命の違い、そんな境界線なんてない方が良いんだ。越えるべき線などなく、ずっとパーティー仲間という壁に阻まれていた方が、きっと彼女の為になる。
そう思っている、のに――。
心配そうな様子で手を包み込む彼女の両手に、境界線を越える明日を何処かで望む自分が居た。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
泥んこ紳士にキスをして「ワルイージさーん!」
草原の奥まった場所にある秘密の特訓場に彼女が現れる。
大きな鍔の広がった日除け帽に、オフショルダーのキャミソール式のロングサマーワンピース。どちらも眩いほどの白で、彼女のきめ細かい麗美な肌と相まって光って見える。
もう九月に入ったが、数日前の先月と相違ない暑さで、その格好は全くの見当違いではない。
華奢な肩に小型のクーラーボックスを提げてこちらに手を振って近づいて来る。
タイヤ引きによる体力作りをしていた彼はその足を止め、手を振り返した。腰とタイヤを繋げたロープを解き始める。彼女の元に行きたいという焦りから少し手間取ってしまった。
ロープから解放され、野に放たれた動物の如く彼女に走り寄った。
882草原の奥まった場所にある秘密の特訓場に彼女が現れる。
大きな鍔の広がった日除け帽に、オフショルダーのキャミソール式のロングサマーワンピース。どちらも眩いほどの白で、彼女のきめ細かい麗美な肌と相まって光って見える。
もう九月に入ったが、数日前の先月と相違ない暑さで、その格好は全くの見当違いではない。
華奢な肩に小型のクーラーボックスを提げてこちらに手を振って近づいて来る。
タイヤ引きによる体力作りをしていた彼はその足を止め、手を振り返した。腰とタイヤを繋げたロープを解き始める。彼女の元に行きたいという焦りから少し手間取ってしまった。
ロープから解放され、野に放たれた動物の如く彼女に走り寄った。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものになります。
流行りのお茶菓子「本日のお茶菓子は、私なりに流行り物を調べて取り寄せてみたんです」
指を揃えた丁寧な所作で、白いティーポットから彼女お気に入りのアプリコットティーがカップへ注がれる。
とっさに触れたくなるくらい綺麗な指を眺めながら『そいつは楽しみだ』と返す。
ティーを淹れた後、元気っ子のデイジーならジャーン! と自ら効果音を発しそうな場面で、ロゼッタはケーキ屋の白い箱を開けた。
中に入っていたのは、ぷっくり太ったようなスイーツ。
「へー、マリトッツォか。女子の食べ物って感じでオレも初めて食べるな」
「なんだか、サイズ感が星の子たちのように見えまして」
彼女は大切な子供たちを思い浮かべたようだ。一方で彼はたぬきスーツ姿の彼女を想起していた。
369指を揃えた丁寧な所作で、白いティーポットから彼女お気に入りのアプリコットティーがカップへ注がれる。
とっさに触れたくなるくらい綺麗な指を眺めながら『そいつは楽しみだ』と返す。
ティーを淹れた後、元気っ子のデイジーならジャーン! と自ら効果音を発しそうな場面で、ロゼッタはケーキ屋の白い箱を開けた。
中に入っていたのは、ぷっくり太ったようなスイーツ。
「へー、マリトッツォか。女子の食べ物って感じでオレも初めて食べるな」
「なんだか、サイズ感が星の子たちのように見えまして」
彼女は大切な子供たちを思い浮かべたようだ。一方で彼はたぬきスーツ姿の彼女を想起していた。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。Twitterで投稿した画像小説と同じものです。
膝の上のノラネコ先程までイタズラの如く彼女の頬や髪を撫でては愛でていた彼は今、膝の上に頭を乗せて眠っている。
油断しきり、安気に包まれた寝顔は、警戒心の強い普段の彼から考えると何処にでも居る平凡な青年だった。
猫のよう。と思いながら濃い褐色の髪を、玉肌の指先を揃えてさらりと撫でる。
彼の場合は馴れ合い嫌いのノラネコだろうけど。
今はゆっくり休んで。
溢れ出す思慕と母性が見目好い唇を薄く微笑ませた。
(おわり)
200油断しきり、安気に包まれた寝顔は、警戒心の強い普段の彼から考えると何処にでも居る平凡な青年だった。
猫のよう。と思いながら濃い褐色の髪を、玉肌の指先を揃えてさらりと撫でる。
彼の場合は馴れ合い嫌いのノラネコだろうけど。
今はゆっくり休んで。
溢れ出す思慕と母性が見目好い唇を薄く微笑ませた。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。Twitterで投稿した画像小説と同じものです。
お付き合いしてない二人が足湯デートに行く話。
足湯カート大会トーキョーツアーの中休み。
彼女から“アシユ”という文化を体験出来る場所へ誘われた。その名の通り、足だけを浸からせる温泉らしい。
ヒールを脱ぎ、湯に入れる寸前の白い素足が、人の身を得た人魚姫の脚のように美しかった。
変態かと己にツッコミを入れ面を上げれば、真隣に座ったこれまた美しい顔が湯けむりの魔力を得て色っぽく目に入る。
見つめられて小首を傾げる彼女から逃げるように、じりっと真横へ体を少しずらした。
(おわり)
215彼女から“アシユ”という文化を体験出来る場所へ誘われた。その名の通り、足だけを浸からせる温泉らしい。
ヒールを脱ぎ、湯に入れる寸前の白い素足が、人の身を得た人魚姫の脚のように美しかった。
変態かと己にツッコミを入れ面を上げれば、真隣に座ったこれまた美しい顔が湯けむりの魔力を得て色っぽく目に入る。
見つめられて小首を傾げる彼女から逃げるように、じりっと真横へ体を少しずらした。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。お題を貰ってワンライしました。
ヤマもオチもありません。
↓頂いたお題
【60分で綴る物語】
あなたは名を記すワルロゼの物語を60分で書いてください。
#60分で綴る物語 #shindanmaker
https://shindanmaker.com/822585
名を記す(ワンライ)ダークネイビーが広がる空に、点々と白銀の星が浮かぶ時間。
自宅の敷地から少し離れた草原。そこに仰向けとなり、夜の天体スクリーンを見上げる。
ロゼッタと出会ってから、彼の中で晴れの夜空を眺める事が一つの習慣のようになっていた。趣味、なんて大層なものではないが。
こうしていると、気軽に会える距離ではない彼女と少しでも寄り添っていられる気がした。
一方的な片思い。ただのパーティー仲間。悪党と姫。ある意味、銀河より果てしない距離。埋め方を知らないその間柄に、いつか決着は付くのだろうか。
片手を上げて人差し指を伸ばす。その細い指をなぞるように動かし、星と星を結んで彼女の名前を記した。
“ロゼッタ”という呼び慣れた呼称ではない。
880自宅の敷地から少し離れた草原。そこに仰向けとなり、夜の天体スクリーンを見上げる。
ロゼッタと出会ってから、彼の中で晴れの夜空を眺める事が一つの習慣のようになっていた。趣味、なんて大層なものではないが。
こうしていると、気軽に会える距離ではない彼女と少しでも寄り添っていられる気がした。
一方的な片思い。ただのパーティー仲間。悪党と姫。ある意味、銀河より果てしない距離。埋め方を知らないその間柄に、いつか決着は付くのだろうか。
片手を上げて人差し指を伸ばす。その細い指をなぞるように動かし、星と星を結んで彼女の名前を記した。
“ロゼッタ”という呼び慣れた呼称ではない。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。中世ヨーロッパのお姫様パロ。
Twitterに画像小説として投稿したものと同じです。
中世ヨーロッパパロ懇意にしている諸侯が開いた晩餐会の帰り道。馬車を賊に襲われてしまった。
応戦する護衛たち。
護衛によって木々に隠されていた彼女の姿を発見した鋼の刃が迫る。
駄目だと思い目を閉ざして顔を背ける。
その時、目の前で迸る硬質な音。
恐る恐る目を開けると誰かが自分を庇うように立ち、剣で剣を受け止めていた。
マント付きの貴族服に目元に銀の仮面を装着した誰か。
月明かりの元、長身の背中で翻るマントからは教会が栽培を禁じているバラの香りがした。
(おわり)
225応戦する護衛たち。
護衛によって木々に隠されていた彼女の姿を発見した鋼の刃が迫る。
駄目だと思い目を閉ざして顔を背ける。
その時、目の前で迸る硬質な音。
恐る恐る目を開けると誰かが自分を庇うように立ち、剣で剣を受け止めていた。
マント付きの貴族服に目元に銀の仮面を装着した誰か。
月明かりの元、長身の背中で翻るマントからは教会が栽培を禁じているバラの香りがした。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。真夜中のワンライ(十分オーバー)。診断メーカーでお題を頂きました。
学パロでサボり魔生徒×保健室の先生。
↓頂いたお題
【お題ひねり出してみた】
ワルロゼへのお題は『もう忘れ物しちゃ駄目だよ?』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
忘れ物(ワンライ)最近鳴き始めた夏の蝉時雨がそこら中に降り注ぐ。生徒たちが通う通学路の道路には朝から陽炎が見える事もある。
暑い中通う生徒たちには期末テストが近づいている。
一昔前とは違って教室にクーラーか付いているのが当たり前の現代。それは彼女が主を務める保健室も同様だった。
デスクに向かって書き物をしていると、ガラガラと保健室の戸が開く。
“いつも”の痩せ身の彼が来る合図。
碧色のブラウスと黒いパンツの上に白衣をまとった彼女が、半袖カッターシャツの夏制服の生徒を迎える。
「あらあら、また来たの?」
「今日も休ませてくれるか?」
「お休みではなくおサボりでしょ?」
やんわり指摘すると、彼はばつの悪そうな顔をして『けっ』と短く言葉を吐き出した。
1862暑い中通う生徒たちには期末テストが近づいている。
一昔前とは違って教室にクーラーか付いているのが当たり前の現代。それは彼女が主を務める保健室も同様だった。
デスクに向かって書き物をしていると、ガラガラと保健室の戸が開く。
“いつも”の痩せ身の彼が来る合図。
碧色のブラウスと黒いパンツの上に白衣をまとった彼女が、半袖カッターシャツの夏制服の生徒を迎える。
「あらあら、また来たの?」
「今日も休ませてくれるか?」
「お休みではなくおサボりでしょ?」
やんわり指摘すると、彼はばつの悪そうな顔をして『けっ』と短く言葉を吐き出した。
小さな葉っぱ
SPOILERBOOTH限定通頒のワルロゼ本『星空に揺れる恋のバラ』の一作一作の詳しいあとがきです。ネタバレになってしまうのでパスワードを付けさせて貰います。本を読んだ方なら分かるものにしておきます。
【パスワードヒント】
『プリンセス・シネマ・パラダイス』でロゼさんがワルさんに貸した折り畳み傘の色は何ピンク?(英語で英小文字四文字)。 1671
小さな葉っぱ
DONEワルロゼ作品。Twitterに新書ページメーカーで投稿したものと同じです。
エモエモなものを書きたかったのですが、エモエモになったかは不明。
うたたねむりひめ二人だけの秘密の場所、星見のテラス。
この自然豊かな丘の上で、彼女は自分の肩を枕に眠ってしまった。
綺麗に生え揃ったまつ毛、リップの塗られた艶やかで柔らかく膨らんだ唇。絶妙な近距離で誘惑して来るそれらへ、奪うように口付けてしまいたいけれど。意識を手放した無防備な顔は何処までもあどけない少女そのもの。いくら自分が悪党でも起こすのは可哀想だ。
右手の手袋を外す。左手は腕ごと彼女に寄りかかられているので、手袋を噛んで引っ張った。
外気に晒されて涼しくなった右手で、キスの出来ない頬にひた、と触れる。白く繊細で柔和な肌触りを受け、異様に自分の顔が熱くなった。心音が一気に早く鳴り響く。
愛しさが心の中で溢れ出し、理性を決壊させる。
616この自然豊かな丘の上で、彼女は自分の肩を枕に眠ってしまった。
綺麗に生え揃ったまつ毛、リップの塗られた艶やかで柔らかく膨らんだ唇。絶妙な近距離で誘惑して来るそれらへ、奪うように口付けてしまいたいけれど。意識を手放した無防備な顔は何処までもあどけない少女そのもの。いくら自分が悪党でも起こすのは可哀想だ。
右手の手袋を外す。左手は腕ごと彼女に寄りかかられているので、手袋を噛んで引っ張った。
外気に晒されて涼しくなった右手で、キスの出来ない頬にひた、と触れる。白く繊細で柔和な肌触りを受け、異様に自分の顔が熱くなった。心音が一気に早く鳴り響く。
愛しさが心の中で溢れ出し、理性を決壊させる。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。Twitterに新書ページメーカーで投稿したものと同じです。
※天文台のロフトに関して独自解釈あり。
秘密の庭園に赤いバラをほうき星の天文台のロフトと呼ばれる場所。チコたちは“ママの秘密の部屋”と称する。
中は青空と白い雲が広がる広大な自然豊かなところ。
此処は彼女が“あの頃の”――、“母が生きていた頃の”星見のテラスを魔法で再現した場所だ。
彼に此処を見せたら、いつまでも過去を引きずる女と軽蔑されるだろうか。それを想像すると、手に汗をかいてドレスのスカートをぎゅっと握ってしまう。
駄目な自分だ、今日は前向きな気持ちになろうと此処へ来たのに。
実はこの場所へ小さなバラの植え込みを作ろうと思っている。その為に本を読んだり、ピーチ城へ出入りしている庭師から話を聞く機会を設けて貰ったりと、植え込み作りの見聞を重ねて来た。一朝一夕で完成しない事は分かっている。だからこそ愛しいというものである。
485中は青空と白い雲が広がる広大な自然豊かなところ。
此処は彼女が“あの頃の”――、“母が生きていた頃の”星見のテラスを魔法で再現した場所だ。
彼に此処を見せたら、いつまでも過去を引きずる女と軽蔑されるだろうか。それを想像すると、手に汗をかいてドレスのスカートをぎゅっと握ってしまう。
駄目な自分だ、今日は前向きな気持ちになろうと此処へ来たのに。
実はこの場所へ小さなバラの植え込みを作ろうと思っている。その為に本を読んだり、ピーチ城へ出入りしている庭師から話を聞く機会を設けて貰ったりと、植え込み作りの見聞を重ねて来た。一朝一夕で完成しない事は分かっている。だからこそ愛しいというものである。
小さな葉っぱ
TRAINING800字練習。今日はワルロゼ。
今日はほぼ描写を放棄しちゃってる。
800字小説練習(ワルロゼ) 憎たらしいほどの快晴の空の下、サーキットに詰め掛けた観客たちの喧騒が聞こえる。
彼らはカート大会の始まりを今か今かと待ち望む。とはいえ今日のところはサーキットのコース上を会場としたセレモニーが行われるだけだ。本番前からこの大騒ぎという事は、本格的にレースが開始されれば相当な盛り上がりを見せる事は間違いない。
個々に用意された選手控え室。その中でロゼッタは今日何度目かの重たい溜め息を吐いた。
「ママー、きんちょーしてるの?」
連れて来ている一人のチコが無垢に、そして少し心配そうに尋ねる。
その子の浮かんでる方を見て、ロゼッタは少々無理に口角を引き上げた。
「ええ、実はそうなの」
ロゼッタは今回のカート大会で初出場するドライバーだ。その為、壇上に立って挨拶をする時間がセレモニーに設けられている。
1432彼らはカート大会の始まりを今か今かと待ち望む。とはいえ今日のところはサーキットのコース上を会場としたセレモニーが行われるだけだ。本番前からこの大騒ぎという事は、本格的にレースが開始されれば相当な盛り上がりを見せる事は間違いない。
個々に用意された選手控え室。その中でロゼッタは今日何度目かの重たい溜め息を吐いた。
「ママー、きんちょーしてるの?」
連れて来ている一人のチコが無垢に、そして少し心配そうに尋ねる。
その子の浮かんでる方を見て、ロゼッタは少々無理に口角を引き上げた。
「ええ、実はそうなの」
ロゼッタは今回のカート大会で初出場するドライバーだ。その為、壇上に立って挨拶をする時間がセレモニーに設けられている。