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    yurikoARASHIANS

    @yurikoARASHIANS

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    yurikoARASHIANS

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    相変わらずのidaoちゃんSSです。結末決めてない序盤の序盤の話。私自身もこれがどうなるか分からないままに脳から垂れ流しで書いております😂

    #イダアオ
    #いだあお
    father-in-law
    #idao
    #keki

    底無しに好きになって、ありがとうは積もりに積もる~①~ また俺の、駿が言うには「ほっとけない病」が発症してしまったらしい。
    2軒隣という、俺にとってはなかなか大ショックだった問題がやっと今年の春から解消したものの、俺も青木も学業はもちろんのこと、お互いバイトはあるし俺はバレーのサークルにも入っているしで、なかなか思ったように時間を合わせられない。

    『せっかく同じ屋根の下に住んでいるのに…。』
    物件探しに内見を続けていた時はもう心が花で埋め尽くされそうなくらいに多幸感で満杯だったのに、実際に同棲を始めたらこの落差…。
    同棲前よりも俄然、フラストレーションが溜まりやすくなってしまった気もする。

    今日のサークル活動でも気が散ってしまっていたのか、ボールをまともに顔面にくらってしまった。
    「どうしたん?疲れてはるんか?」
    「大丈夫です。奥でちょっと冷やしてきます。」
    「ムリすんなや。」
    「はい。あの、…今日は早退しても大丈夫ですか?」
    「かまへんよ、お大事になー。」
    またミスで迷惑をかけるのも悪いと思って、サークル仲間の言葉に甘えて予定よりだいぶ早めにいつもの帰り道をとぼとぼと帰っていた。
    その、途中の事だった。
    「いだーーー!!」
    今日この時間、青木はバイトだ。とうとう幻聴まで聞こえるようになってしまったのか…。
    「いーーーーだ!!」
    まず青木の声と違うことに、ここで気付いたのもなかなか重症だと自覚する。というか、かなり低い場所から声がするのだが…?
    「いだぁぁぁぁぁ!!」
    これだけ呼ばれて気にならないワケが無い。声の主を耳を傾けつつ探していると
    「お前…だったのか?」
    声の主にやっと辿り着いた。
    物陰にひっそりと置かれた、そこそこ大きい段ボールに入った【猫】が居た。
    てっきり名前を呼ばれていたのかと思いきや、この猫の鳴き声がそう聞こえていたらしい。
    「どうしたお前?野良か?捨てられたのか?」
    懐っこくて初対面なのに撫でた手をペロペロ舐めてくる。ザリザリとした感触が、不思議と気持ち良くて、くすぐったい。

    「見たところ、怪我はしてなさそうだな。」
    野良にしては空気の通りが良さそうなふわふわした毛並み、全身薄茶色で、ブルーの透き通るようなキレイな目をしている。
    「なんかお前、青木っぽいな…」
    気付けば何の迷いも無くサークル活動で汗を拭くために持ってきていたタオルで猫を包み、俺は動物病院へと向かっていた。
    「初診ですか?こちらに猫ちゃんのお名前と体重と…」
    「あ、この子、拾ったばっかりで…」
    「でしたらご自身のお名前で構いませんよ。掛けてお待ちください。」
    つい先ほど出会ったばかりだというのに、膝の上で甘えてゴロゴロ言っている。
    暫くして、俺の名前が呼ばれた。
    「迷子猫登録で似た子は見当たらんから、きっと元々野良か捨てられてしまった子やね。とりあえず今日は健康診断だけするけど、お兄さん、この子飼うん?」
    「同居人も居ますし…話次第になるとは思います。でも元の所へとは考えてません。いろいろ掛け合ってみるつもりです。」
    「そうか、早めにこの子の家、見付かるとええね。」
    「はい。」
    もう一度待合室の椅子で待っていると、再び名前が呼ばれた。
    「ご料金、こちらになります。」
    「………」
    「もしかして、持ち合わせありませんか?では後日にでも…」
    「あ、あります。大丈夫です。」
    相変わらず動物は人間と違って掛かる額が違う
    なと、実家での事を思い出して少ししんみりしてしまった。
    そういえば大福のときも豆太郎のときも、父も母も責任持って世話をする事を約束させたくらいで、お金の話なんて一切せずに受け入れてくれた。急に犬を拾ってくるなんて、餌代、ワクチン代、その他諸々で度外視出来る出費では決してないはずなのに…。
    俺が構いすぎて大福に脱毛の症状が出てしまった時も
    「年齢より性格が大人びてるからって、浩介をずっと一人にさせてた私たちも悪いのよね、でもね、これからはちゃんと、相手の気持ちも考えること。ぬいぐるみじゃなくて、福ちゃんは生きてるんだから、気持ちは浩介と一緒じゃない時もあるの。」
    父が大福を病院に連れていってる間、母は俺を責めはせずに諭してくれた。物凄く反省して、接する時は相手の表情をよく見る事と約束した指切りの感触は今でも忘れる事は無い。大福に薬を塗る係はどんなに眠たかろうが俺がやった。でも、暫く経ってすっかり毛並みが揃った頃にはもう内臓にはガタが来てたみたいで…
    「ごめんな、大福。」
    犬の平均寿命までは生きられたのだから内臓機能については年のせいだと散々宥められたけれど、未だに後悔は消えない。
    「今は寝床、これで勘弁な。」
    引っ越しの時に使った段ボールを組み立てて中に布を敷きながら、目の奥がツンとして涙腺から多めの水分が送られてくる俺を、
    「いにゃあ??」
    と不思議そうに猫は見上げた。
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