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    wakame__d

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    CPP1期 7話

    CPP1期 第7話7話 「私の居場所」

    私の名前は岩波セレナーデ!地球のプリキュアの子達と友達になってもう数週間が経ちました!そんな私は今日、ポコとコンビニに来ています!


    「セレナーデ!見るポコこれが納豆巻きなんだポコ!」
    地球へ来て慣れ親しんだコンビニの特有の音楽が店内に流れる。
    「納豆を…お米とノリで包んでるの?それ天才かも!」
    そんな事があっていいのか。いや良いのだ!これを試さない選択肢はない。
    るんるんと足を動かし商品をカゴへ入れる。

    「納豆巻きってこんなに美味しいんだ!!私地球大好き!!!」

    ーーーーーーーーーー
    「でねっ!!ポコに納豆巻きって食べ物を教えてもらったんだけどほんとに美味しくて〜〜!」
    セレナーデが上機嫌に納豆巻きの美味しさをなしな達に語る。
    「セレナーデ巻物の美味しさに気づいたのね。ワタシも好き!」
    「私ネギトロ巻きがいい。ネギないやつ。」

    「ねぎ?のないねぎとろまきなんだフガ……?」
    ぽかんっと口を開けわかめだの言葉に疑問符を浮かべるフガが横に座る。

    「共ポジはみんなのとこに行かないポコ?!」
    「我は戦いに来てるネ。遊びに来たわけじゃないアル。」
    「共ポジ〜。」
    話しかけるポコを突き放すように顔を外へ向ける。
    「共ポ〜〜〜!こっちおいでよ!」
    なしなも大きな声で共ポジを呼ぶが共ポジはそれに答えない。

    「共ポってなんか猫みたいだよね。」
    新たな仲間の加入に威嚇をするかのように端へ立つ共ポジにわかめだが感想を述べる。
    「くるっぽーちゃ〜〜ん!」
    それを気にする様子もなく飛び込むのはセレナーデ。
    「くんなアル!」

    なしなちゃんはいつも明るくて元気いっぱい。わかめちゃんは大人っぽくてかっこいい。くるっぽーちゃんは時々なんだか怖い顔をするけど前より私とお話してくれるようになったの!
    それに宇宙の企業秘密パワーを使った大学生活。美味しいご飯。毎日楽しくて私幸せ!こんな時間がずっと続けばいいな。

    ーーーーーーーーー

    「いたた。」
    「セレナーデ…?」
    心配そうに顔を覗き込むポコとフガにセレナーデが笑顔を返す。
    「大丈夫だよ〜!元気元気!」

    「わねだかさっきの戦い方はなにアルか。防御魔法が発動するまでに前に出すぎネ。」
    「なしな!オマエはまず集中するアル。体を動かす前に敵をよく見ろ。」
    クレソンと錠前が共ポジに叱責を受ける。
    「次は気をつける。」
    「うぅ〜ごめんなさい。」

    ここ最近の見慣れた光景。厳しい言葉だが共ポジのアドバイスは的確なものばかりで経験も積み、錠前もクレソンも少しずつだかプリキュアとして力を付けてきている。

    「くるっぽーちゃん私にはー!!」
    「戦う気も無いヤツに我が言うことは何もないアル。」


    「共ポ!」
    錠前が共ポジに注意の言葉を投げる。
    「……っ、本当の事アル!」
    一瞬視線を泳がせるが、話は終わりだと言わんばかりに共ポジが変身を解く。

    ーーーーーーーーーーーー
    電気もつけずただ月明かりだけの微かな光が部屋を照らすベッドの上、膝を抱え座るセレナーデ。
    先日共ポジに言われた言葉を思い出す。
    「私プリキュアなのにな。」
    コンコンっと
    セレナーデの部屋の窓を叩く来客はポコとフガ。
    「ポコ、フガ?」
    「セレナーデお話があるんだポコ。」
    「セレナーデは…ううん。ポコリーヌ星第3王女セレナーデ様。貴方はポコリーヌ星へ帰るべきフガ。」

    改まった言い回し。その真っ直ぐな3つの瞳にセレナーデの瞳が揺れる。

    「えっ。」
    「セレナーデ気づいてないポコ?セレナーデはプリキュアになってからいつもキズだらけなんだポコ。」
    だからフガと決めたんだポコ。セレナーデをポコリーヌ星へ帰すって。トモダチとして姫様を守るポコリーヌ星の民として。

    「そんな!私全然大丈夫なんだから!ほらキズなんてすぐ治っちゃうし〜!」

    「セレナーデ!!」
    「ポコリーヌ星へは3日後迎えを呼ぶんだフガ。だからセレナーデ…それまでにみんなとお別れをするんだフガ。」

    「ポコはセレナーデが本当に優しいのを知ってるんだポコ。だから…もうキミは戦わなくていいんだポコ。」
    泣き虫のポコがその大きな瞳いっぱいに涙をためている。


    「ポコとフガに辛い事を決めさせて……私ほんと何しに地球に来たのかな。」

    夜の公園で揺らしもせずただブランコに1人腰掛ける。
    「こんな夜に可愛い女の子が一人でいたら誘拐されちゃうよ?」
    「わかめちゃん!」
    ヒヤリと後ろからよく冷えた缶ジュースを頬に押し当てられ、振り返る先にはわかめだが。

    「なんでここに?」
    「それはこっちのセリフなんだけど。フガがセレナーデの所行くって言ってたからさ。ちょっと心配で着いてきたんだ。」
    そしたらこんなとこで泣きそうな顔してるし。
    わかめだが苦笑と共にセレナーデの1つ隣のブランコへと腰掛け顔をこちらに向ける。

    (私泣きそうな顔してた?心配かけちゃう!笑顔にならなくちゃ!)
    「特別サービス。今ならわかめだ相談所空けてます。」
    「え?」
    「そんな顔して何かあったんでしょ。聞いてあげるって言ってんの。」

    わかめだの言葉にセレナーデがその重い口を開く。
    「……あの、えっと、わたし。ポコリーヌ星に帰るの3日後。」
    「!まぁいつかは帰るよね。故郷だもん。でもセレナーデは帰りたいの?今。」
    わかめだは1度驚きの表情を浮かべるがすぐにセレナーデへ質問を返す。
    「わかん、ない。でも帰らないといけないの。」
    ブランコの下の地面をこするようにセレナーデの足が揺れる。
    ぽつりぽつりと言葉をこぼし口を結び再度開く、いつも通りの笑顔を浮かべて。

    「えへへ、地球は大好きなんだけどやっぱり私の居場所じゃなかったみたい!」

    「急にごめんね、でもわかめちゃんもなしなちゃんも…くるっぽーちゃんもプリキュアは大、大、大合格だから大丈夫だよ!監査役セレナーデが認めます!」

    「はぁ〜〜〜ほんともう!」

    大きなわかめだのため息に体をビクッ震わせる。
    「セレナーデ本当に思ってもない事言うのやめな。ほんとはいたいくせに。」
    「で、でも、私全然戦えないし。弱いし。」
    「私もなしなも弱いよ。」
    「やる気ないって怒られちゃうし。」
    「やる気なんてなくても守った結果があれば良くない?」
    「それでいいの?」
    「いいんだよ。」
    「私いてもいいの?」
    「当たり前でしょ。セレナーデが帰ったらただでさえ少ない私の友達が減っちゃうよ。」

    わかめだが笑い。セレナーデが泣く。


    ーーーーーーーーーー

    「共ポ。セレナーデが気になるならさっさと謝ってきなさいよ〜!」
    ブランコに座り泣いて笑って忙しなく表情を変化させるセレナーデと隣のわかめだを影から見守るのはなしなと共ポジ。

    「我は間違ったことは言ってないアル。」
    「ばか!」
    そうなしなが共ポジの肩をパシンっと叩く。
    「っ!どんな体してんのよあんた!!」
    ただダメージを受けたのは叩かれた共ポジではなく、なしなの手。
    手をおさえつつなしかが言葉を続ける。
    「でもあの時言い過ぎた。セレナーデを傷つけたことわかってるんでしょ?」
    「……それは。」


    「仲直りの仕方がわからないならワタシが教えてあげる。ヒドいこと言っちゃったならごめん、なんだから!」

    「わかめだー!セレナーデ〜!」
    「なしなちゃん?くるっぽーちゃんも」
    なしなが2人の前に飛び出し。その背に隠れるように共ポが立つ。明るいオレンジの太陽のような三つ編みは横から見えているが。

    「ほら共ポ。」
    なしなが共ポジに促すがそれよりも先にセレナーデが前に出る。
    「くるっぽーちゃんごめんなさい!私プリキュアなのにテキトーだし弱いし。でも私やっぱりここでみんなと一緒にいたいの!」

    「だから私と……お友達になってくれる?」
    そうセレナーデが共ポジへ手を差し出す。
    「セレナーデ、我も…ごめん。」
    その手に共ポジも手を重ねる。


    「わかめだたまにはやるじゃん。」
    「なしなもね。」
    そう2人も互いに小さく握った拳を合わせる。



    「ポコ!フガ!私絶対帰んない☆」
    笑顔で高らかに宣言しよう。
    もしかしたら怒るかも、もっと心配をかけちゃうかも、でも2人が私の事をたくさん考えてくれたことちゃんとわかってる。
    でも私今はここにいたいの!!


    ーーーーーーーーーー
    「待ってセレナーデ王女様だったの?」
    「そうだよ〜〜!☆」
    「だから王冠ついてるんだ。」
    「いつでもピカピカなの!」
    「オマエが王女とか執事さんが大変そうアル。」
    「「わかる。」」

    「えっ!?」

    くしゅん。くしゅん。
    可愛い小さなくしゃみが2つ聞こえたような気がした。

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