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    無名@本物

    CPPは在ります

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    無名@本物

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    タコピー読んだ後に書いたせいで脳内が東くんママ

    #CPP

    錠前がプリキュアになる前のお話「なしなちゃん、どうしてお母さんの言う通りにしてくれないの?」

    それは母の口癖だった。母は私が"失敗"する度にそう言って私を叱った。父は仕事で忙しく、ほとんど家に帰ってこなかった。小さな"お城"の中で母と2人っきりだった私は『母の言う通りする事が正しいのだ』と信じるしか無かった。


    「なしなちゃんお母さんとお人形さんで遊びましょう?」
    お母さんに隠れて見たアニメ。可愛いお洋服を来た女の子達が愛と平和の為に恐ろしい敵と闘う、キラキラしてカッコよくて可愛くて私の憧れだった。
    「なしなちゃん、どうしてお母さんの言う通りにしてくれないの?」
    私もプリキュアみたいになりたくて、友達と公園で泥んこになるまでプリキュアごっこをした。家に帰ったら酷く母に叱られた。

    「なしなちゃんは女の子なんだからピアノくらい弾けないと」
    母に言われて通い始めたピアノ教室。間違える度に顔を真っ赤にして怒る先生が苦手だった。ピアノよりも友達とやるバスケの方が楽しかった。
    「なしなちゃん、どうしてお母さんの言う通りにしてくれないの?」
    コンクールの直前に指を怪我した。コンクールを控えてるのにそんな危険な遊びに誘う友達とは仲良くするのは辞めなさい、そう言われてその子達とは遊ばなくなった。

    「お母さん、この問題分からへん」
    パシン、と頬を叩かれた。
    「何度言ったら分かるの!その喋り方は辞めなさい!」
    小さい頃から何回も何回も注意されてるのに、また失敗した。

    「なしなちゃん、ここの大学を受験しなさい」
    お母さんが選んだ大学は県内トップの進学校でも合格率が低い難関大学だった。無理かもしれない。それでも頑張った。高校3年間を全て勉強に費やした。今度こそお母さんの期待に答えたくて。頑張って頑張って頑張って、途中で気づいた。ああ、私はもう"お母さんの理想の娘"は演じられないんだと。
    「なしなちゃん、どうしてお母さんの言う通りにしてくれないの?」
    勉強するのを辞めた
    「なしなちゃん、どうして?!お母さんの言う通りにしなさい!!」
    受験は散々な結果だった。
    「親の言うことを聞けない子供なんて私の子供じゃない、出ていきなさい」
    母にそう言われた。
    やっと開放された。
    そう思った。


    滑り込みで受験した東京の短大になんとか合格し、私は家を出た。誰も私の事を知らない場所。私が何をしてどう過ごそうと誰にも文句は言われない。
    やっと自分らしく生きれる。
    そう、思った。
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