セレナーデ 後日談(砂浜に並んで座るセレナーデとポコ)
目の前に広がる広大な海、いつだったかフガと行こうと約束していた場所。
「海でっかいね」
セレナーデが膝の上で眠るフガを撫でながらそう呟く。フガは魔法にかけられてからよく眠るようになった。
ポコはセレナーデの顔を見る。セレナーデは海ではしゃぐ錠前達を見て嬉しそうに目を細めている。
ポコは気づいていた。
フガが記憶を無くしたと分かった時誰にも見られないところで1人セレナーデが泣いていたこと。忘れようとして、それでもずっと誰にも言えずに苦しんでいたこと。
でもポコにはどうすればセレナーデが苦しまずに済むのか、分からなかった。
「ポコは、ポコもフガもセレナーデの事大好きポコ。ずっと守ってくれてありがとうポコ」
セレナーデはポコを見、フガを撫でていた手を止める
「私も2人のこと大好きだよ」
そういって笑顔を見せポコを撫でる。
その笑顔はポコの大好きな優しい笑顔だった。
みんなを安心させるための笑顔じゃない、異星に行く前の、明るくて天真爛漫なセレナーデの笑顔。
「私も遊んでくるからフガの事見ててあげて!」
そう言って錠前達の元に走っていく。
大丈夫、ポコもセレナーデも、もう1人で戦わなくていいんだ。
いつか、フガが全てを思い出すその時まで、この騒がしい仲間たちと頑張っていこう。