Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    無名@本物

    CPPは在ります

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 19

    無名@本物

    ☆quiet follow

    長ーーーーーいので時間のある時にどうぞ。色々すっ飛ばして最終決戦後の話書きました。(一応確認したけど、長いので見落としとかあるかもしれません。誤字酷くても許してください。)

    #CPP

    明るい未来(ウヅゥ視点)
    遂に魔王を倒した。300メートルはあろうかという巨体がサラサラと虹色の粉になって消えていく。
    どのプリキュアも傷だらけだったがその顔には皆笑顔を浮かべ、勝利を喜んでいた。
    (やっと、終わったのね)
    ふぅ、と息を吐き、壁にもたれかかる。
    「お姉ちゃん!」
    そう呼ばれ、パッと顔を上げると、安堵したような、けれどどこか不安げな表情をしたぱりんと目が合う。
    目の前に立つ少女が自分の妹だということを一体いつから忘れてしまっていたのか、あまりにも長い時間生きたせいでそんなことすら分からなくなってしまった。
    目を瞑る。
    ゆっくりと、でも確かに、自らの鼓動が弱まっていくのを感じる。
    ふわり、と甘いリンゴの香りが鼻をかすめ目を開けると目の前に立っていたはずのぱりんが地面に座り込んでいた。
    「おねえ、ちゃん」
    ぱりんは少し詰まったような声でもう一度私を呼ぶ。
    覚悟はしていた。
    目眩に襲われウヅゥもその場に座り込む。
    最期が近づいてきているというのにほんの少しの違和感を感じるだけで不思議と痛みも苦しみもない。
    「ぱりん」
    妹の頭に手を伸ばし艶やかな黒髪を優しく撫でる。
    「ぱりん、大丈夫、お姉ちゃんがずっとあなたのそばに居るから、怖くない、大丈夫よ」
    不安げな顔をしていたぱりんはウヅゥの言葉を聞き、一瞬驚いたような表情をした後ふっと可愛らしい笑顔を浮かべた。
    ああ、思い出した。私はこの子のコロコロ変わる表情が大好きだったんだ。
    「お姉ちゃん、ありがとう」
    笑ったぱりんの瞳からポロポロと涙がこぼれ、それを指でそっと拭う。
    「頼りないお姉ちゃんでごめんね、大好きよ」
    ぱりんをギュッと抱き締める。
    「ぱりんちゃんも、お姉ちゃんの事だーいすき!」
    ぱりんもギュッと私の体を抱き締め、そのまま深い眠りについた。
    ふぅ、ともう一度息を吐き壁に寄りかかる。
    眠気に襲われ目を閉じる。
    今は少しだけ、眠りたい。

    (錠前視点)
    「ウヅゥ!ぱりんちゃん!」
    目を閉じたまま動かない2人の元に駆け寄る。
    『ウヅゥもぱりんちゃんももうずっとずっと昔にいたプリキュアなはずポコ、もしかしたら2人も宇宙の敵の魔法をかけられてるかもしれないポコ』
    ポコの言葉を思い出し、ギュッと拳を握る。
    「コイツらまだ息があるネ!まだ生きてるアル!」
    2人の様子を看ていた共ポが声を上げた。
    まだ生きてる。
    ならば私の魔法でどうにか出来るかもしれない。
    「共ポそこどいて!」
    半ば強引に共ポを押し退け、仰向けに寝かされたウヅゥの傍に座り、ウヅゥの胸に手を当てる。確かに弱々しいがそれでもまだ心臓は動いている。
    生きているなら、私の魔法は使える。
    魔法の鍵を取り出し、必殺技を出す時のポーズを構える。
    「なしなあんた何するつもり?!」
    わかめだが私の腕をグッと掴む。
    「ウヅゥとぱりんちゃんにかけられた魔法を解く方法がないか直接ウヅゥに聞いてくる」
    人の心に入り込み対話することが出来る錠前の魔法であればそれは可能だった。だが、相手の心に深く干渉する錠前の魔法は膨大な魔力が必要であり、戦闘後の錠前がこの魔法を使用することは非常に危険な事であった。
    「もしそれであんたまで戻って来れなくなったらどうするつもり?!」
    「リスクが高すぎるネ」
    「なしなさん!他に何か方法がないか考えましょう一緒に考えましょう?」

    「危ないってことは分かってる!」

    錠前の言葉に他のプリキュア達は口を噤んだ。
    「それでも、1%でもこの2人を助けられる可能性があるなら、ワタシは諦めたくない」
    「強くて優しい、どんな絶望の淵に立たされても絶対に諦めない、それがワタシの目指すプリキュアなの」

    「渚ちゃん、ひとつ約束して」

    セレナーデと目が合う。覚悟の決まった真っ直ぐとした瞳。
    「絶対に帰ってきて」
    ずっと守られてばかりだった自分が、やっと一人前のプリキュアとして認められたような気がして、こんな時だというのに嬉しくて涙がこぼれそうになる。
    わかめだ、共ポ、ユーロ、ポコ、フガをぐるりと見、もう一度セレナーデと目を合わせる。
    「うん、約束する」
    ウヅゥに向き直り、ポーズを構える。

    【解錠!(アンロック)】

    錠前がそう叫ぶと握っていた魔法の鍵が七色の光を放出し、その光は瞬く間に錠前を覆った。

    (ウヅゥ視点)
    「ん...」
    眩しい光を感じて目を覚ました。
    先程まで冷たい大理石の床に座っていたはずなのにどこまでも続く広大な草原に座っていた。空を見上げると青空に雲がゆったりと流る。頬を撫でる優しい風と暖かな日差しが心地いい。
    ふと隣を見るとぱりんが気持ち良さそうに寝息を立て眠っていた。
    (懐かしい)
    そうだ。ここは私の、私とぱりんの故郷だ。カキン星の中で1番大好きだった場所。
    「カキン〜〜」
    どこからか、atmの声が聞こえ辺りを見渡すと、少し離れた所でクルクルと飛び回るatmの姿が見えた
    「atm!」
    「カキンカキン〜〜」
    atmはウヅゥの方を見ながらクルクルとその場で飛び回る。まるで着いてこいと言っているようだ。
    「ぱりん」
    ぱりんの体を揺するが起きる様子はない。
    立ち上がり大きく伸びをし、眠るぱりんをおぶってatmの方へと歩き出す。
    「カキン〜」
    ウヅゥが歩き出すとatmは案内するかのように前に進み出した。

    どれくらい歩いたのだろう。
    気づけば色とりどりの花が一面に咲き乱れる花畑に来ていた。
    こんな場所、カキン星にあっただろうか?カキン星に帰ってきたのがあまりにも久しぶりすぎて上手く思い出せない。
    「カキンカキン〜」
    atmが進むのをやめ、一際大きく鳴いた。
    目の前には虹色の川が流れている。その向こう側は霧がかかって良く見えない。
    「カキン〜」
    atmが寂しそうに鳴きウヅゥの周りを飛び回った。
    「この川を渡ったらいいの?」
    「カキン〜」
    atmが悪魔のような羽をバタバタと忙しなく動かし、今にも泣き出しそうな目でウヅゥを見てくる。
    おぶっていたぱりんを下ろしもう一度身体を揺すると、ぱりんは眠たそうに目を開け大きく欠伸をした。
    「お別れ、なのね」
    atmを抱き締める。ずっとひとりぼっちだった私に出来たたった1人の大切な友達。
    「ありがとう、atm」
    その時。
    背後からガチャッと何かが開かれる音が聞こえた。

    (錠前視点)
    眩しい光に包まれた次の瞬間、視界が暗転する。深い深い穴に落ちていくような感覚。
    相手が意識を失っているからだろうか、いつもよりもその感覚が長く感じる。
    突然ふわりと何かに包まれるような感覚に襲われ、地面に足が着く。
    額から汗が流れる。かなり深い所まで潜ったらしい。
    何も見えない暗闇のずっと遠くから微かに光が漏れていた。
    (急がないと)
    錠前はその光に向かって全力で走り出した。


    長い長いトンネルのような暗闇を走り続け、やっと光の漏れていた場所まで辿り着いた。
    走ったせいだとは思えないほど、異常な量の汗が流れる。
    グイッと汗を拭い大きく深呼吸をする。
    光は扉の隙間から漏れていた。
    (ここにウヅゥはいる)
    この扉を開けば相手の心に入り込み、心の奥深くに眠る「本当の自分」と対話することが出来る。
    扉の外見は相手の心の内を表す。今まで戦ってきた敵の扉は全て禍々しい見た目をしていた。
    しかし、ウヅゥの扉はこれまで見てきた恐ろしい見た目の扉とは違い、暖かみを感じる木材で出来た素朴な、小さな扉だった。
    ドアノブに手をかけゆっくりと扉を開ける。
    柔らかな風が頬を撫で、優しい花の香りに包まれる。
    満天の星空、色とりどりの花が一面に咲、その花畑の中央には虹色の川が流れる。
    見たことも無いような幻想的な景色に思わず見とれてしまう。
    「どう、して...?」
    川のほとりに立っていたウヅゥとぱりんが驚いたようにこちらを見ていた。

    (セレナーデ視点)
    眩い光に一瞬包まれた後、錠前は鍵を握り締めたままぐったりとその場に倒れ込んだ。
    魔法を発動させてから随分と時間が経っている。いつもならとっくに戻って来ている時間だ。錠前は固く目を瞑ったまま苦しそうに肩で息をし、額から滝のような汗を流していた。
    「渚ちゃん...」
    錠前の体にそっと手を添える
    「錠前何してるアルか!とっとと戻ってくるアル!」
    共ポが涙を流しながらそう叫ぶ
    「戻るって約束したからにはちゃんと守ってよね!破ったら絶対に許さないんだから!」
    「なしなさん!私、なしなさんがグレープフルーツ克服できるようなお菓子完成させたんです!早く戻ってきて食べてください!」
    クレソンもユーロも涙目で錠前に声をかける。
    「ポコ!ポコ!フガ思い出したフガ!あの時!フガが記憶をなくしちゃったあの時!ウヅゥがフガを助けてくれたフガ!フガとポコ、2人であの時のウヅゥみたいになしなを助けるフガ!力を貸してフガ!」
    プリキュアに変身していたフガが変身を解き、妖精の状態に戻って錠前の手に自らの小さな手を当てる。
    「分かったポコ!」
    ポコも同じように変身を解きフガと同じように錠前の手に自分の手を添えた。
    (お願い、渚ちゃんを、ウヅゥちゃんをぱりんちゃんを助けて...!)
    セレナーデはギュッと目を瞑り強く願った。


    (錠前視点)
    1歩、花畑に足を踏み入れる。瞬間、ぐわり、と視界が歪み、息が詰まる。これ以上は踏み込めない、そう直感する。
    「ウヅゥ!ぱりんちゃん!教えて!どうすればあなた達を助けられる?!」
    大声で叫ぶ。耳がこもり自分の声の大きさがよく分からない。この声は届いているのだろうか。
    ウヅゥとぱりんちゃんは暫く目を合わせ、手を繋ぐとこちらを見てフルフルと左右に首を動かす。
    「ねえ!お願い教えて!ワタシはあなた達を助けたいの!」
    もう一歩、足を進める。手に持った鍵がひときわ強く光り輝く。1歩、1歩、錠前が前に進む度に鍵の光は強くなり、辺りを照らす。
    手を伸ばせばウヅゥ達に届きそうなくらいの距離まで来たところで限界を迎える。
    最後の力を振り絞って手を伸ばした。

    (ウヅゥ視点)
    突如出現した扉から何故か錠前が現れた。きっとこれが彼女の魔法だろう。
    私達を助けたい、その言葉にぱりんと目を合わせる。言葉は交わさなくとも目を見ればお互いの考えていることは分かった。私達はあまりにも長く生きすぎてしまった。
    錠前がこちらに近づく度に錠前の手に握られた鍵が輝きを増していく。肩で息をし、酷く苦しそうなのに錠前はそれでも歩みをとめない。
    いつも仲間の足を引っ張り、守られてばかりいる弱いプリキュア、そう思っていた。
    今はそんな面影など感じられないほどに強く、そして優しいプリキュアが目の前に立っていた。
    錠前が手を伸ばす。
    「お願い、早く掴んでよ」
    この手を掴めばまた、笑って暮らせる日々が来るのだろうか。
    私の手を繋ぐぱりんが強く力を込める。
    「アンタはまだこっちに来ちゃダメだよ」
    ぱりんが小さく呟いた

    (錠前視点)
    耳鳴りが酷い。視界がぼやける。上手く息を出来ない。
    お願い、早く掴んでよ
    声に出せているのかも分からない。
    ぱりんの口が動く。何を言っているのか聞こえない。
    強い風が巻き起こり、舞う花びらで視界が覆われる。その花びらの隙間から突然悪魔と天使を掛け合わせたような紫色の妖精が飛んできて、ドンッと思い切り体当たりをされる。
    立っているのがやっとだった錠前はその衝撃で簡単にバランスを崩し後ろに倒れていく。
    ゆっくりと視界が暗転していく。
    最後に見えたのは笑顔のウヅゥとぱりん。

    「ありがとう」

    そう聞こえた気がした。

    (セレナーデ視点)
    フガとポコが錠前の手に触れると、握られた魔法の鍵が強く光出し、しばらくして鍵は光を失い、それと同時に錠前は目を覚ました。
    「なしな!!」
    「錠前!!!!」
    「なしなさん!!!」
    「渚ちゃん!!!」
    体を起こそうとして体勢を崩した錠前の体を全員で支える。
    魔法を使用しすぎたのだろう、錠前の変身は解け元の人間の姿になっていた。
    「行っちゃった」
    「ありがとうって、言ってる気がしたの、だからワタシ2人のこと引き留められなかった」
    クレソンも共ポもユーロもポコもフガも、そしてセレナーデも何も言わずに錠前を抱き締める。
    プリキュア達の小さな泣き声だけが広い部屋に響き渡っていた。


    (数ヶ月後)
    「なしな今日途中でサボってたでしょ」
    クレソンが目を細めて錠前を睨む
    「はぁ〜〜〜?!サボってな「サボってたアル。」
    「フガも見てたフガよ!なしなが攻撃受けてフリして途中で休憩してたとこ!」
    「ポコ?!なしな悪い子だポコ!そんな悪い子はブラックホールに放り投げちゃうポコ!もちろんスペースジョークポコ!」
    全員に責め立てられた錠前は半泣きでユーロにしがみつく。
    「ねぇ〜〜ユーロさ〜ん、みんなが虐める〜〜!」
    「まあまあ、みなさん落ち着いて。あ〜、、、でも私も見ちゃったんですよね、なしなさんがサボってるところ」
    ユーロが困ったようにえへへ、と笑う
    「ユーロさんまでー〜!!!」
    「渚ちゃん、次サボる時はもっと上手くサボらなくちゃ」
    そういってセレナーデは錠前の背中をポンと叩く。
    「そういう問題じゃないアル。錠前帰ったら腹筋100回ネ。」
    「共ポ、走り込みも追加で」
    錠前はありえない、という顔でクレソンと共ポの顔を見、そしてニヤリと笑う
    「私がウヅゥとぱりんちゃんのこと助けに行った時わんわん泣いてたのどこの誰だっけ〜?今から腹筋100回に走り込み、そんなことしたら次こそ私死んじゃうかも〜」
    「黙れバカなしな」
    「腕立て伏せ100回も追加ネ」
    バシ、バシとクレソンと共ポが1発ずつ錠前の頭を叩く。
    「痛゛い〜〜〜〜!!!暴力反対〜〜〜〜〜!!!」
    いつもと変わらずガヤガヤと騒ぎながら歩く錠前達の隣を甘いリンゴの香りと共に青い、美しい蝶がヒラヒラと通り過ぎていく。賑やかに話していた錠前達は全員話すのをやめ、驚いたように後ろを振り返る。
    「お姉ちゃん、私歩くのもうヤダー!」
    「あともうちょっとでお家だから、ほら頑張って」
    手を繋ぎ歩く小さな女の子達。1人は鮮やかな水色の髪、もう1人は艶やかな黒髪、2人とも高い位置で2つ結びをしている。水色の髪の女の子が手にもつ、悪魔と天使を掛け合わせたような紫色のぬいぐるみがユラユラと楽しそうに揺れる。
    「次こそは幸せになってね」
    錠前がポツリと呟く。
    2人の少女の小さな背中が見えなくなるまで、プリキュア達は願い続けた。
    いつまでも、いつまでも、あの2人が一緒に居られますように、と。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works