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    greensleevs00

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    greensleevs00

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    空ベドの身長差(僅差)キスの話。ブーツ履いてたらベドの方が高いのに、脱いだら空の方が高いの、めちゃくちゃ可愛い。

     ふと、恋仲になってから気が付いたことがある。空よりも、アルベドの方がほんの少しだけ背が高い。自分の視線がアルベドのそれよりも僅かに低いことを、空は立ったまま口づけようとして発見した。アルベドがせっせと実験に勤しむ傍らで自分が発見したことと言えば、こんなことなのかと内心自分に呆れたが、気になってしまったものは仕方がない。
    「アルベドって俺より身長高かったの?」
    「どうやらそのようだね」
     意外な発見を前に、唇を寸止めしてしまった空を見遣りながら、アルベドはいつも通りの冷静な口調でそう言った。それに気づいてしまうと、心持ち顔を上向きにしてしまう。そんな大した差じゃないだろう、と笑いながら、アルベドはほんの少し小首を傾げて、唇を触れ合わせてきた。本当は俺がアルベドにこうしたかったのに、と唇を尖らせると、膝を屈めてあげようかと更にアルベドが笑う。身長を伸ばすから、そんな気遣いは要らない、と突っぱねた。
     だが、空は数日後、それが重大な勘違いであったことを発見する。二人でゆっくり過ごしたいから泊まりに来ないか、と誘われ、空はパイモンを騎士団の客間に独り残し、アルベドの居室を訪れた。空を迎えたアルベドは既に風呂を済ませ、ワンピース型の白い寝間着を着ていた。足元は当然、いつものロングブーツではなく、平たいスリッパだった。
     夜に二人で過ごしたい、という誘いの含意は明らかだった。アルベドがそういう欲望を持ち始めたのはごく最近のことで、彼はもともと性的な関心は薄かったのだ。けれども、空の要求に応えるうち、気持ちよくて楽しくて幸せなこと、として学習したのか、今ではこうしてアルベドから誘ってくれることも珍しくなかった。勧められるままに風呂に入り、アルベドと似たような姿になった。
     たまたま、アルベドの隣に立った時だった。視界にほんの少し、違和感が生じる。
    「アルベド、俺の正面に立って」
    「……? 何だい、急に」
     怪訝そうにしながらも、アルベドは言われた通りにした。やっぱり、アルベドの視線の位置が、いつもより低い。
    「アルベド、膝を屈めたりしてないよね?」
    「なぜ、ここでそんなことをする必要があるんだい?」
    「いや、必要はないけど……もしかして、アルベドって実は俺より身長低くない?」
     美しいターコイズグリーンの瞳が数度瞬く。そして、空をじっと見据えたあと、納得したように「うん、そのようだね」と言った。
     アルベドの方が背が高い、ということの正体は、結局はブーツのヒールが空のよりも高い、ということだったらしい。
    「アルベド、このままキスしていい?」
    「さて、膝を屈める必要はあるかな?」
    「要らないってば」
     くすくす笑い合いながら、空はアルベドの頬に触れる。いつ触れても滑らかな肌だったが、今日は風呂上りだからか、いつにも増して、ふんわりと柔らかい。逆転した身長差を埋めるように、アルベドがほんの少し顔を上げ、空はいつかブーツを履いていた彼がそうしたように小首を傾げて、唇に触れた。
    「……空、キミはこれで満足かな」
    「大満足」
    「本当にキミは面白いね」
     アルベドの瞳に、知的好奇心の光が宿る。このままあれこれ実験を始められては、空は気持ちを持て余してしまう。もう心は、アルベドの体に触れている。そっとベッドへ向かって空がアルベドの手を曳くと、静かに指を絡めながら握り返された。
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    greensleevs00

    DONE #タル鍾ワンドロワンライ  
    お題「花言葉」
    *タルが何気なくあげた花についての花言葉でぐるぐる考えてしまう先生と、そんな先生が何を考えているのか分からなくてもやもやするタルの話。

    タル鍾ワンドロワンライさんがクローズされるということで、2021年11月に投稿したものを記念に再アップ。タル鍾初書きかつ、初めての原神二次創作だった。
    花言葉 夕間暮れ、太陽が寂々と山の端に入りかかる頃、朱の格子から滲むように漏れ出す橙の灯りを、タルタリヤは薄ぼんやりと眺めていた。見慣れ、通い慣れた往生堂の玄関口である。普段ならば悠々とその扉を抜け、奥へ進み、此処の客卿と名乗る男に会いに行く。だが、今夜はどうにも扉へ手をかけるところから躊躇われた。ここ幾日か、鍾離の態度がどうにも奇妙なのである。
     発端と思しき出来事は数日前のことであった。
    「先生、これあげる」
     まるで野良猫が都合の良い投宿先を見つけたかのように往生堂に居つくタルタリヤは、ある日、蝋梅を鍾離の眼前へと差し出した。蝋梅は、古来より璃月で愛でられたきた梅花の一種であり、その名の通り蝋の如き花弁を持つ花であった。寂とした黄金こがね色であり、その長閑な輝きは月の風格に似る。鍾離と異なり、文人墨客的な美学を持たないタルタリヤでも、その璃月の文化的風土の一縷をその身に湛えたような花は、素直に美しいと感じた。
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