文化祭の莇九SS「泉田〜かわいい彼女がご来店だぞ〜」
クラスメイトのからかうような声に振り返れば、教室の入口に大きく手を振る九門の姿があった。
もういちいちツッコむのも面倒で、周りの奴らが九門のことを彼女と呼ぶのをそのまま受け入れてしまっているが、少なくともお前は女じゃないことくらい主張したらどうだと考えてしまう。まあ、なんだかんだ嬉しそうに笑う九門がかわいい、と思っているのだが。
「えへへっ莇びっくりした?」
「もうすぐ来る頃だなって思ってたから別に驚いてねぇよ」
「え! 莇オレが来るタイミングわかってたの!? エスパーじゃん!!」
「なんとなくだよ、なんとなく。恥ずかしいから大声で騒ぐんじゃねぇよ」
そういうと慌てて両手で口を押さえながら周りをキョロキョロ確認している九門。
782