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    parvus_yuu

    @parvus_yuu

    ウォロシマに沼ったオタク。
    ここでは、ウォロシマ現パロの短編練習をしたものをアップしています。

    基本的にイチャラブしてるバカップルな話しかないです。
    思いつくままに書いているため、時系列はめちゃくちゃです。
    一つ一つ、独立した話としてお考え下さい。

    無断転載は固くお断り致します。
    ネタ被りはぜひとも拝見したいです(自分の話、定番ネタが多いから被ると思うので…ネタ被っても書き手さんで個性出るし、ウォロシマたくさん見たい…)

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    parvus_yuu

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    また待ち合わせネタ(書きやすいんだもの)

    モブ女に迫られたウォロさんと、その現場を目撃したボシさんの、現パロなウォロシマのお話。

    #ウォロシマ
    wolosima
    #現パロ
    parodyingTheReality

    悋気トトト……
    仕事が終わり、シマボシの職場最寄り駅で彼女を待っていたウォロは、自分に近づいてくる気配を察知し顔を上げる。
    「ウォロさん、こんばんは」
    しかしそこにいたのは、待ち人ではなかった。
    「……こんばんは」
    ウォロは、なんでアナタがと言う言葉を必死に飲み込み、営業用の薄っぺらい笑みを顔に貼り付けて答える。
    声をかけてきたのは、先日職場に来た派遣の女性だった。
    部署が違うので接点は無く、彼女の挨拶周りの時に顔を合わせた程度の間柄である。
    ウォロがいたのはこの近辺で一番栄えているターミナル駅だから、職場の人間が買い物等でいても不自然ではないのだが。
    「何してるんですか?」
    一昔前のアニメヒロインのような甲高い声で、彼女は尋ねる。
    「待ち合わせです」
    「えー、彼女サンとかぁ?」
    甘ったるい話し方は若い男性社員には好感触だが、ウォロへは逆効果だ。
    気を引こうと媚びてくる女性に飽き飽きしている彼としては、飾り気のない実直な言葉の方が遥かに響く。
    「そうですけど」
    ウォロが即答すると、女性は一瞬だけ鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。
    しかしすぐに気持ちを立て直したらしく、値踏みするような表情を浮かべながらウォロに質問をする。
    「……どんな人なんですか? ウォロさんの彼女って、すごく美人なイメージですけど」
    ──でも、私の方が格上だけどね。
    とでもアピールするかのような自信に満ちた態度と表情に、ウォロはげんなりした。その図太さは賞賛しても良いが、美しさなど主観的なものである。
    確かに彼女の外見は、一般的な基準でいけば『それなり』だと思われた。
    サラサラストレートのロングヘアは少し明るめのブラウンに染められ、メイクはタレ目を活かした万人受けしやすい柔らかい雰囲気に仕上げている。身長は平均的で、全体的に華奢な肢体を、可愛い系を全面に出したオフィスカジュアルコーデでスタイリング。
    職場では男性社員の話に『えー、すごーい!』『さすがぁ!』とオーバーリアクションするので、一部からは人気だった。
    エシモ曰く『合コンに一人はいるタイプですよねぇ。男に媚びて好かれ、女には嫌われるタイプ』である。
    もちろん、ウォロの好みとは真逆だ。
    「美しい人ですよ」
    「……へぇ」
    照れもせずに言い切ったウォロに、彼女の声に苛立ちが見え隠れする。
    「……ぜひ見てみたいなぁ、ウォロさんの彼女」
    「それは……」
    職場の事を考えてやんわりと対応していたが、彼女の図々しさに拍車をかけるだけだったようである。さすがにすっぱりと断ろうとした瞬間、視界の端に水色の髪が見えた。
    「!」
    無表情のシマボシは、ウォロと目が合うとなぜか一礼するとくるりと後ろを向いて歩いていってしまう。
    「え? まさか、あの人ですかぁ? なんか、男みた……」
    言いながらウォロの腕にすり寄る香水臭い身体を、彼はぱしりと払い除ける。
    「彼女の価値なんて、ワタクシだけが理解していればいいんですよ」
    暗に、お前は対象にすらならないと冷たく言い放った男は恋人に向かって駆け出した。


    「シマボシさん!」
    やっと彼女に追いついたウォロは、その名前を呼ぶ。
    「あ、す、すまない…邪魔をして」
    気まずそうな表情で俯いたシマボシを、ウォロはぎゅっと抱き締めた。
    「シマボシさんは何も悪い事してないんだから、謝る必要ありません!」
    その大きな声に、行き交う人がチラチラと横目で見ながら通り過ぎていく。
    「……」
    シマボシは腕をだらりと下げたままだった。
    突っぱねられて拒絶されなかっただけマシだが、先程見られた場面から誤解されて破局したらと考えると、全身から血の気が引く。
    こういう時は、変に誤魔化したり茶化したりせずに誠心誠意謝罪するしかない。
    「……誤解なんてされたくないから、今から説明します。あの人は同じ職場の別の部署で働く派遣の人です」
    「……うむ」
    「あの人が最初に会社に来た日に挨拶したきり、話した事はありません」
    「……うむ」
    「今日、シマボシさんを待ってたら勝手に話しかけてきて。彼女と待ち合わせなんだって言っても引かなくて」
    「……うむ」
    「そしたらシマボシさんが来て、こっち見て、無表情で踵を返すから……浮気を疑われたらどうしようって心臓が止まるかと思いました」
    ウォロの心臓は、バクバクとすごい速さで脈打っていた。全身が熱く、喉の奥がぎゅうっと苦しくなるのを感じる。
    「……もし」
    シマボシはしばらくじっとしていたが、やがてポツリと呟いた。
    「もし…キミが浮気をしたとしたら、それは私がいたらないという事だから。その時は、静かに姿を消すつもりだ」
    その言葉を聞いた途端、ウォロの頭は鈍器で殴られたような衝撃が走る。
    シマボシのその言葉に、嘘や冗談といった雰囲気は無かった。
    ──本気、だ。
    「嫌ですよ! シマボシさんがいなくなったら、ジブンはどうやって生きていけばいいんですか!」
    ウォロは反射的に激しく彼女の身体を抱き締める。
    「うぉ、ウォロ⁉」
    「やだやだ! シマボシさんがいなくなるなんて…絶対にやだ!」
    ウォロは駄々っ子のように喚き、シマボシが逃げないようにぎゅうぎゅうと腕に力を込めた。
    「お、落ち着け」
    「これが落ち着けますか!」
    シマボシは、完全に取り乱しているウォロの頭を落ち着かせるように優しく撫でる。
    「もしも、本当にそうならであって。……キミは、浮気してないんだろう?」
    「してません! なんならパスワード教えますから、スマホ全っっ部確認してもらっていいですよ! あ、会社の人に聞いてもらってもいいです!」
    涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で真正面から見つめられ、シマボシは不覚にも笑いそうになってしまった。
    なんとか堪え、コホンと一つ咳払いをする。
    「……そこまではいい。キミが浮気をしてないのだから、私がキミの前からいなくなる理由は無い」
    ぽかんとした顔で動きを止めてしまったウォロにそう言うと、彼は口をぱくぱくさせた。
    「……」
    「落ち着いたか?」
    「……はい」
    「それならいい」
    シマボシは鞄からティッシュを取り出すと、ウォロに渡す。受け取った男は盛大に鼻をかみ、涙をゴシゴシと拭き、平穏を取り戻していった。
    「もう大丈夫そうだな」
    「なんというか、色々と…ありがとうございました…」
    「気にしなくていい。……しかし、キミが別の女性と親しげに」
    「してません。職場の人じゃなければ遠慮せず突っぱねてました」
    即座に否定したウォロの顔は、渋いバンジのみを食べたかのように歪んでいる。
    「……私から見て、だ。自分の恋人が他の女性と親しそうに見えると、胸の辺りがモヤモヤするものだな」
    「……モヤモヤ?」
    ウォロが聞き返すと、シマボシはコクリとうなずいて自分の胸にそっと手を当てた。
    「うむ。こう、なんとなく不快な…」
    「そうですか!」
    満面の笑みを浮かべたウォロに対し、シマボシは訝しげな表情をする。
    「なんで嬉しそうなんだ?」
    「気のせいです」
    ウォロは再び彼女をぎゅっと抱き締めた。今度はシマボシの腕が背中にそっと回され、ウォロは安堵する。
    「あのね、シマボシさん。そういうモヤモヤするような事が起きなくなる方法があるんですけど」
    「どうすればいいんだ?」
    ウォロはシマボシの手をぎゅっと握ると、駅ビルの方を指さした。
    「ちょっとだけ、寄り道しましょう。それから美味しいご飯を食べて、お家に帰りましょ?」



    翌日。
    「何なのよ、昨日のあの態度! ちょっと見た目がいいからって……」
    「おはようございます」
    派遣の女性がぶちぶちと文句を言いながら社内の廊下を歩いていると、後ろからふいに声をかけられる。
    「え、あ…⁉」
    男の左手薬指を無意識にチェックしてしまう彼女は、ウォロの指に銀色のリングがはめられている事に気づいた。
    ウォロはニヤリと意地悪く微笑むと、ご機嫌な声で彼女に話しかける。
    「アナタのおかげで、彼女が付けるの恥ずかしがって買えなかったペアリングを購入できましたよ」
    「な…っ」
    派遣の女性が言いかけたその時、後ろからツイリとエシモが出社してきた。
    「おはよー」
    「おはよー、ウォロさん……えぇっ、指輪じゃない⁉ 彼女とおそろ?」
    「そうなんですぅ〜。やっと彼女から許可してもらえて!」
    「やったじゃん! 見せて見せて‼」
    「んふふふ! 良いですとも!」
    「何、どうしたの」
    きゃっきゃと楽しそうにはしゃぐ三人の後ろから、ギンナンが顔を出した。
    「……良かったね」
    「はいっ!」
    「……」
    一人蚊帳の外、完全に置いてけぼり状態の派遣の女性に気づいたウォロは、そっと微笑む。
    しかしその瞳には、強い牽制の意が籠められていた。
    「本当に、感謝していますよ」
    ──逆上して、ワタクシ達に何かしようと思わないで下さいね? 次は徹底的に潰しますよ。
    「…!」
    背筋にゾクリと冷たいものが走った女性は、逃げるようにその場を立ち去るのだった。
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