好きな妖怪「…一松兄さん」
「なに」
「一松兄さんが一番好きな妖怪って何?」
「…随分藪から棒に…まあいいか」
「強いて言うなら猫又」
「にゃんこ!兄さん妖怪化する前から猫好きだもんね」
「まあね」
「…十四松は?」
「ぼくはね…酒呑童子と青行燈と大天狗と九尾の狐と犬神と化け狸」
「多いな」
「てか、おれらじゃん…?」
「うん」
「でも、ぼくら以外にも沢山いたんだよ」
「そのうちのひとつ…一番初めに視えた強いのは」
「…もう、視えなくなっちゃったけど」
「そっか」
「ぼく以外にも見てた存在は沢山いてね…
みんな、ちゃんと覚えてて…大切にするって」
「みんなもすごく好きだったんだなって分かって嬉しくて」
「でも…すごく、かなしくて」
「…十四松」
「一松兄さん…ぼくらは、みんなは消えたりしないよね?」
「さあ…それはわからない」
「妖怪なんて、よく分からないあやふやなもんだし…此岸にいるけど彼岸の存在、みたいな」
「でも、そもそもさ…お前のいうそいつらは
“みえなくなった”だけで、消えた訳じゃないんじゃないの?」
「わかんない…そうなのかな?」
「そうだね…確かめる術は無いだろうから…
…それでもさ」
「おれらが誰かからみえなくなることはあっても、それで消えるわけじゃないだろうし」
「…それに、別に消えてたって
六人一緒ならいいんじゃないの」
「…おれらも、そいつらも」
「なんか、そんな気がする」
「…そっか!」
「あはっ!なんとなく元気出てきたよ一松兄さん!ちょっと統治区角十四周してくる!!」
「そう、良かった」
「いってらっしゃい、十四松」
「いってきまっする!!!!」