Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    めいや

    @meiya_gsonly

    めいやです。吸死ロナドラ小説を書いてます。
    無配のパス限SSや、ツイッターに上げた短めのものを上げていく予定です。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 10

    めいや

    ☆quiet follow

    吸死 新横に住むごく平凡な主婦のお話。
    (カプなしですが、ロナドラと同じ製造元で書かれています)

    #吸死
    Kyuushi

    スペシャル☆ラッキー☆グッドサムデイ! それは、いつかの。

    「ねえねえ、聞いて白さん! 桃ちゃんね、もう学校でお友達ができたんですって! とっても嬉しそうに話してくれたのよ」

    「そうね……桃ちゃんももう高校生だもんね。過保護かもって思うんだけど、つい心配になっちゃって。うん……うん。私と貴方の自慢の息子ですものね。絶対大丈夫! きっと楽しい高校生活を送ってくれるわ」

    「どうしたの、桃ちゃん。ご飯あんまり食べてないけど……えっ? 帰り道にドーナツ食べたの? いつも話してるお友達、カメ谷君と……木下君だっけ? その子達と寄り道したんだあ。ふぅん……あっ、イイのイイの! 桃ちゃんにもお付き合いがあるもんね! ただね、先に言ってくれたらご飯も少なめにするから。ねっ?」

    「あの真面目な桃ちゃんが買い食いなんて、よっぽど仲がよくなったのねえ。……うん、あの、よく話してくれる二人。木下君は中学生の妹さんがいるから、あんまり寄り道できないけど、妹さんが部活の時はちょっと遅くても大丈夫なんですって。ご両親はいないけど、お兄さんが二人を育ててくださってるって……立派よねえ。いつか、いつか時間がある時にでも遊びに来てくれないかしら。張り切っておもてなしするのに! ……そんなこと言って。白さんだって見たいでしょ? 桃ちゃんのお友達、きっと二人とも、とっても良い子だわ!」

    「桃ちゃん 停学って………………
     どういうこと」

    「……最近、お友達の話を聞かないけど、何かあった? ううん、話したくないならイイの……え? 退治人に弟子入り? もう? 卒業してからだったんじゃ……そう。だから忙しくなっちゃったんだ。木下君もカメ谷君も、夢に向かって行動してるんだね。そうね、桃ちゃんも頑張らなきゃだね。でも、毎日図書館で遅くまで勉強してるじゃない。桃ちゃんが頑張ってること、お母さんは知ってるからね! ……もっと頑張る? うん、お母さんも、もっともっと応援するね!」

    『遅くなっちゃった……近道したけど、やっぱりやめとけばよかったかな』

    「……キャッ」

    「…………あ、ありがとうございました! はい、大丈夫です。ええ……気をつけます。すいません……いえいえ! はい。じゃあ、ここからは大丈夫です!」

    『ずいぶん若いハンターさんだったなあ。桃ちゃんと同じくらいかしら』

    「桃ちゃん! この本知ってる 新横のハンターさんが書いてるんだけど、すっっっごく 面白いの しかも主役のロナルド様が、とってもとっても格好よくて、お母さん、すっかりファンになっちゃった! ……桃ちゃん? どうしたの? えっ? 桃ちゃんも持ってたの『ロナルド・ウォー戦記』 なぁんだ、やっぱり親子って趣味が似るのね……それでね、今度雑誌の企画で『ロナルド様とデートができる』ってのがあるんだけど、応募してみようかなって……桃ちゃん? なんで泣いてるの桃ちゃん」

    『ロナルド様へ
     いつも応援しています! ロナルド・ウォー戦記の第三巻も、とっっっても面白かったです! 特に吸血クリオネを銃で倒すシーンが、すごくすごく格好よかったです ……実は、もう何年も前になりますが、多分見習い時代の貴方に助けられたことがあって、その時も吸血クリオネだったのですが…………』

    「……ダメダメ、これじゃあ古参のファンですって言ってるみたいじゃない! 私なんかまだまだヒヨッコなんだから。桃ちゃんみたいに、オリジナルグッズを作るほどのファンじゃないんだもの。書き直し書き直し」

    「おかえりなさい! 見て見て、これ、懸賞で当たったの! 等身大ロナルド様パネル! 素敵でしょ! あ、白さんおかえりなさい。今日は早かったのね。……そうなの、当たったの! これ、ここに置いていいかしら? これでいつでもロナルド様と一緒……うふふ♡ 桃ちゃん? どうしたの、血の涙なんか流して どこか痛いの? 桃ちゃん」

    「あら、こんにちは、ヌーくん。また家出? うふふ、冗談冗談。今日はおつかい? えらいね! うん……うん。今日はヌーくんち、ハンバーグなんだあ。いいな。うちもそうしようかしら……そうよ。おばちゃんの作るハンバーグも、とっても美味しいんだから! 隠し味はね、セロリのみじん切りを入れるの。ももちゃ、息子がね、セロリ大好きなんだ。……それにしても、荷物が多くない? 牛乳に卵に、お菓子もいっぱい! 持って帰れる? 重かったら送ってあげる……ああ、お迎えが来てくれるのね。それなら安心だね。……はーい、ヌーくんも気をつけて帰るのよ。バイバーイ」

    「明日お出かけ? 夕ご飯もいらない? ……最近お出かけが多いけど、職場の人と一緒なの? 仕事にもずいぶん慣れたみたいで、お母さん安心……え? 違う? お友達……えっ カメ谷君と木下君って……高校の時の? あの? でも……ずっと会ってなかったでしょう? 最近また会うようになったの? 明日はスイーツ食べ放題行くの いいな〜! お母さんも行きたい! ロナ戦のお友達の誰か、誘って行こうかな……」

    「……そうなの。懐かしい名前よねえ。最近、お仕事で会うようになったんですって。二人とも、ずっと新横にいたんだけど、就職して忙しくなっちゃって、自然と会わなくなっちゃったらしいんだけど……それなのに、またこんなに頻繁に遊ぶようになるだなんて……男の子ってそういうものなのかしら? なんだか不思議。あの頃は結局うちには来てくれなかったけど。今度は遊びに来てくれるといいなあ」

    「ねえ桃ちゃん、今度ね、お友達をお家に招いたらどうかしら? そうそう、カメ谷君と木下君。昔からのお友達なんだし、いつかご挨拶したいと思ってたの。卒業式も結局会えなかったし……そっかあ。二人とも忙しいんだ。そう言えば、桃ちゃんも土日お休みってわけじゃないものね。主婦と違って、みんな忙しいもんね……うん。ありがとう桃ちゃん。お母さんはお母さんで忙しいってこと、分かってくれて。桃ちゃんは本当に良い子ね。お母さん、桃ちゃんが息子で本当によかった」

    『ロナルド様へ
     いつも応援しています! ロナルド・ウォー戦記の第五巻、とってもとっても面白かったです 特に、星の重力すら操る強大な力を持った吸血鬼との壮絶なバトルシーンは、手に汗を握りました。それと、新横の街で生き方に悩む吸血鬼の相談に乗り、時には導き、時には厳しく突き放し、吸血鬼との絆を深めていくところが、とても感動しました。私も新横で暮らす平凡な吸血鬼ですが、ロナルド様みたいな方がハンターでいてくれて、いつも守ってくれて。とても心強く思っています。吸血鬼対策課の皆さんと共に、ハンターの方々に、いつもいつも感謝しています。その中でも、ロナルド様が一番好きです! これからも頑張ってください」

    「あら、どうしたの、これ? またセロリ入りクッキーの試作品? 違う? お土産? 手作りっぽいけど、誰からもらったの? ああ、いつも一緒にセロリ料理を作ってる方ね! 食べていいの? ……美味しい! これは……オートミールかしら? お料理も上手だって聞いてるけど、お菓子作りもお上手なのねえ。そう言えば、こないだ桃ちゃんが作ってくれたセロリ入りのケークサレも美味しかったよね。やっぱりセロリは塩味の方が……あ、うん。今度はトリュフに入れるの……セロリの果汁? が中から溢れるようにしたい? うーん……ペーストじゃダメなのね? それならこうしたらどう……」

    『あっ、ロナルド様! パトロール中かしら……今日は見られてラッキーだわ! ……いけないいけない、顔が笑っちゃう。ロナルド様はハンターとして、毎日一生懸命この街を守ってくれてるんだから。ファンとして、節度を守らなきゃ。絶対邪魔しちゃダメなんだから…………今日もドラルクさんと一緒なのね。もうパトロールも終わりかしら。あ、スーパーに入っていった。ドラルクさん、お料理お上手って噂よねえ。ロナ戦にも書いてあるし。週バンにも、よく特集組まれてるし……私もパソコン苦手とか言ってないで、そろそろ配信とか見た方がいいのかなあ。ロナ戦仲間の、誰か詳しい人に聞こうかなあ』

    「あっ、桃ちゃん、いま帰り? 荷物持ってくれるの? ありがとう! ……そうそう、さっきロナルド様を見かけたの。ドラルクさんと、ヌーくんと一緒に。ロナルド様、いっぱい荷物持ってあげてて、優しいのよ。もちろん、うちの桃ちゃんもとーっても! 優しいけど! ふふっ……なんで笑ってるのかって? うーん、上手く言えないんだけど……ロナルド様とドラルクさんとヌーくん、あの二人と一匹が一緒に、並んで歩いてるのを見ると、とっても幸せな気持ちになるの。おかしいかな? ……人間も、吸血鬼も、マジロも、みんなみんな一緒に笑えてよかったなあって、なんだかしみじみしちゃった。今ね、桃ちゃんが隣にいてくれて。余計にね。……吸血鬼の私が、この街で暮らせて、素敵な旦那様と結婚できて、世界で一番自慢の息子が生まれてくれて、本当によかった。私は世界一の幸せ者だわ…………推しもいるしね」

    「白さん、おかえりなさい! 三人同時に帰るなんて、偶然ね。今日ね、私、とっても良いことがあったの。あのね…………桃ちゃん、ほら、うちに入りましょ」



    「いらっしゃい! 今日は無理言ってお招きしちゃって。カメ谷くんと、きのした、く……………………ロナルド……さまああああああ?????? えっ 桃ちゃん これ、どーゆーことおおお」

     これは新横に暮らす、ごくごく普通の主婦の、超ラッキーでスペシャルな毎日と。
     いつかの──あったらいいな! のお話です。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭💖🙏👏👏👏👏👏💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    fuki_yagen

    DONE読み切り世界のドちゃんと本編世界のロくんが入れ替わっちゃったよというはなし。ロナドラです。
    コウモリピンの帽子「おい、『俺』。先に突っ込んで統率乱してこい」
    「あんたが斬り込んだ方がよくね?」
    「斧あるだろ」
     預けられている刃に銀を被せた手斧を片手に、ロナルドは鼻を鳴らして軽く素振りをした。ぶん、と程良い重さの掛かる音がする。
    「んーじゃ、いってくるわ」
    「親玉は任せろ」
    「頼むぜ」
     伏せていた身を起こすと同時にとんとコンクリートの縁を蹴り、暗渠へと飛び降りがてら群れていた巨大化した吸血ヒルを何体か踏み潰し目の前にばしゃりと頭を上げた一体を斧で絶つ。やすやすと塵にはなるが、なにせ数が多い。まるでみみず玉かボラの群だ。
     集合体ダメなひととか竦むだろうな、あいつは怖がって死にそうだ、と今ここにはいない同居人のことを考えてちょっと笑い、ロナルドは次々と浅い水の中を蠢いているヒルを塵にした。頭上から差し込む光は限られているが、上で戦況を見ているもう一人の自分が的確にライトで次に攻撃態勢を取ろうとする個体のほうを照らしてくれる。器用なもんだな、と考えながら、ロナルドは斧を振りつつ片手を差し出した。過たず掌に当たったライトを受け取り、前歯で噛んで咥える。
    8457