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    社会人武ヒナに誕生日お祝いされる武ヒナオタクの夢小説。

    #武ヒナ
    japanesePampasGrass

    誕プレはスペシャルセレクションで 皆さんは推しCPってありますか?推しはいても推しCPはいないという方も多いのではないでしょうか。
     かくいう私には推しCPがいます。大学生になって趣味のために使うお金欲しさに始めたレンタルビデオ屋のバイト、そこの店長と彼のお嫁さんがとんでもなく尊いのだ。
     店長は結構抜けてて、チーフ曰く「使えない」んだけど、いざという時、例えばおっかないオジサンにクレームつけられた時とかは心強い。そんな彼のお嫁さんは小学校の先生らしく、毎週金曜日、店長が遅番じゃない日は店長の仕事が終わるまで待っていて一緒に帰っていく。
     彼女を始めて見た日、彼女はただ料理本を眺めていたのだが、私にはまるで宗教画の一枚を目にしたような感覚に陥った。それほどまでに綺麗な人で、周りの男の人たちも水着を着た表紙の女の子よりも彼女に視線が釘付けにされていた。彼女がパッと顔を上げて笑顔を見せた瞬間、世界中の花々が咲いたような気がした。

    「ヒナ、おつかれ」
    「タケミチくんもお疲れ様」

     そこに現れた店長。指定のエプロンを外したせいでダサいシャツのロゴがはっきり見えている。え、「Danger」?ダッサ。店長のダサさに周りがドン引きしながら、あんなに綺麗な彼女の一体何なんだと考えた。
     後日、聞いてみると

    「ヒナ?俺のヨメだよ」
    「嫁!?」

    と、当たり前のように言われたため衝撃を隠せず、1日引きずった。
     立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花の擬人化のような女性の旦那がこの店長?けれど、興味本位で聞いた休憩中の惚気や毎週金曜のやりとりを見ていればもう……推しCPになりますよ。お似合いですよ。もう誰もその間に入ることは許されない。
     推しCPを守るためなら、いつもなら絶対話しかけることすらできないチャラいお兄さんを睨みつけることだってできちゃうし、花金の夜にシフト入れちゃうもん。
     けれど、さすがに今日はダメ。だって今日は私、誕生日だから。時間が合わなくて夜からになっちゃったけど、友達がカラオケでお祝いしてくれる予定になってるので店長と同じ時間に退勤。
     あぁでも、店長は少しだけ事務処理をするからシフト通り退勤するバイトの私よりも遅く退勤する。
    てことは今日はヒナさんが見られないってことだ。
    残念で仕方ない。誕生日に推しCPが拝められればどれだけ幸せだったか。小さくため息をこぼして店を出ると、ちょうど友達から電話がかかってくる。

    「もしもし?」
    『あ、バイト終わった?』
    「うん終わった〜今店の入り口いるけどどこで合流する?」
    『ウチらもそろそろ着くからそこで待機よろ』
    「了解、待ってんね」

     タイミングバッチリ、愛してるわ。
     スマホを耳から離してSNSをチェックしようとしたとき、声をかけられる。ナンパならお呼びじゃないと顔を上げると、そこには店長のお嫁さん。

    「いつも金曜日の夜にいる子だよね?」

     やばい推しに認知されてる。彼女はこんなこと言われると気持ち悪いかなと慌てて口を手で押さえるが、全然全くそんなことはない。むしろ名前を呼んでほしいくらいです、とは言えず、ただ大丈夫だと返す。
     彼女は安心したようにホッと胸を撫で下ろし、店に入るでもなく私のとなりに立った。

    「さっきの電話、お友達?」
    「あ、はい、今日私誕生日で、みんなでカラオケ行こーって話になってて」

     私の誕生日なんて興味ないでしょ、なに余計なこと言っちゃってんの!脳内で頭を抱える私だが、ヒナさんは目を見開いている。どうしたのだろうか。

    「え、お誕生日!?うそ、おめでとう!うわぁ今何か持ってたかなぁ……」

     鞄の中を漁り始めるヒナさん。

    「いや、大丈夫ですよ!全然!」

     知り合いでもないのにプレゼントを貰うなんてできない。

    「うーんでもタケミチくんがいつもお世話になってるし……あ、アイス食べる?」

     店の前にあるアイスの自販機を指差すヒナさん。大丈夫です、遠慮しないでの攻防戦を繰り返していると、後ろから声がかかる。

    「何やってんの?」

     店長!ヒナさんを止めてください!私の心は希望で満ち溢れた。が、その希望は打ち砕かれた。

    「今日誕生日なんだって、アイス奢ってあげるって言ってるのに遠慮ばっかりで」
    「もらえませんよ!」

     推しCPが目の前にいる、推しCPと会話してる、私は今日死ぬのか。

    「え、誕生日なの!?アイスどれがいい?全部買っとく?」

     店長が慌てて財布を取り出すが、全部は流石に多い!しかし何かしら受け取らなければこの2人は引いてくれないらしい。そっくりだな。

    「じゃあ……これで」

     店長にはワガママを言えるので1番高いプレミアムのやつを頼んだ。2人揃って自販機からアイスを取り出してニコニコ笑ってる。

    「「お誕生日おめでとう」」
    「あ、ありがとうございます」

     店長夫婦は頭を下げる私に手を振って帰っていったけど、少し離れたところで店長がヒナさんの荷物を代わりに持って手を繋いだのが見えた。
     私は拝んだ。ありがとう推しCPに感謝。

    「お待たせ〜!」
    「待った?」
    「待ってない幸せだったありがとう」

     両手を合わせて目を閉じる私を見て、友達はいつもの調子だと私を両方から挟んで肩を抱いて歩き出した。
     私もう誕プレいらないよ。このアイスに巻かれてる紙でいいよ。嘘、やっぱ祝って。ありがと愛した。
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