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    時和わかな

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    時和わかな

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    暁K。付き合ってる。みんな生きてる。
    最近個人的に色々あって思いついた産物。勢いで書きました。

    #暁K

    愛するということKKの機嫌が悪い。
    理由は大体分かっている。
    最近急な仕事が舞い込む。それだけなら特に問題はない。と、いうか…仕事の依頼があることはとても良いことだ。
    問題は…
    「はぁ、またかよ」
    ガリガリと頭を掻くKK。苛立ちが隠しきれていない。
    「仕事があるのはいいが、こうも予定を潰されちまうとな…」
    「うーん…そうだね」
    今は通常の依頼をこなしてアジトへ戻り、報告書の作成をしているところだ。明日と明後日は久々の休み!KKと一緒に過ごす…ハズだった…


    『2人とも、お疲れさま。実はいい知らせと悪い知らせがあるんだけど…聞くかい?』
    アジトへ戻って早々、エドからの話なんて悪い予感しかしない…KKもイヤな顔ををしている。
    『黙っているという事は聞くということだな、よし』
    何も良くはない…が、聞かないという選択肢はない。
    『まず、良い知らせから。また仕事の依頼が入った。しかも報酬はいつもの倍だ』
    『そして悪い知らせは…緊急の案件だ。2人には申し訳ないが、明日からここへ向かってもらう』
    はあーとデカいため息が隣から聞こえてきた。正直僕も同じ気持ちだ…
    ここ最近はずっと忙しく、なんとか2人の予定をいれてもそこに緊急の仕事が入る。つまり、ご無沙汰なのである。
    『依頼内容はあとで凛子から説明がある。今日の分の報告書はまた後日でも構わないが、早めだと助かる』
    「分かりました。報告書はすぐ作成できそうなので、今日中にやっちゃいます」
    『ありがとう。じゃあ、後はよろしく』


    エドは別の用事があるらしく、デイルと一緒にアジトを出て行った。そのあと凛子さんから依頼内容を伝えられたが、結構ハードな感じだ…
    今日はもうムリはできないな。
    「報告書、後は僕がやっておくよ」
    「あぁ…悪い、シャワー浴びてくる」
    「ん。いってらっしゃい」
    凛子さんも今日は絵梨花ちゃんと麻里と女子会だそうだ。いいなぁ…

    「コレで終わりっと。ふぅ…」
    「終わったか?」
    「んぇ?あ、KK!もう出たの??」
    「もうって…30分以上経ってるぞ」
    そんなに経ってたのか。すぐ終わるハズだったのに…思ってたよりまとめるのに時間がかかっちゃったんだな。
    「ごめんね、待っててくれたのに気がつかなくて」
    「いや…」
    ん…?KKのこの感じ、あんまり良くないやつかも…
    「身体冷えちゃうね、何かあったかいもの飲む?」
    「いや……」
    「大丈夫…?もしかしてどこか具合でも悪い?」
    「いや…大丈夫だ」
    「本当に?無理しちゃダメだよ。なんなら今からでもエドに連絡して…」
    「いや、いい。大丈夫だ。悪いが俺はもう寝る」
    「え?!待って、KK!」
    咄嗟にKKの腕を掴んだ。
    「どうしたの…?」
    できるだけ、優しく問いかける。
    「いや…」
    「ねぇ、KK?僕KKとちょっとお喋りしたいな…ちょっとならいいでしょ?」
    「…わかった」
    「よかった!じゃあ、冷えちゃうと良くないからあったかいもの入れるね」
    「あぁ」

    「はい、どうぞ」
    「ホットミルクか…」
    「うん。これからカフェイン取ると寝つきが悪くなっちゃうからね」
    「ん…?これは、生姜か?」
    「うん、そう!あったまるし、ただ甘いよりこの方がKKの口に合うかなと思ってね」
    「ありがとう…うまい」
    「ふふっ、よかった」
    ニコっと笑うと、KKも少し口角を上げてくれた。
    「KK、どうしたのか聞いてもいい?」
    KKの顔が少し曇ったが、さっきほどの拒否はなさそうだ。
    「それは…」
    急かすのは良くない。ここはゆっくり待とう。
    「…てた」
    「ん?ごめん、聞き取れなかった」
    「すねてた…」
    「拗ね、てた…?」
    これはちょっと予想外の答えだ。
    「だー!もう!そうだ。拗ねてた」
    KKの耳が赤い。これはホットミルクのせい…ではなさそうだね。
    「そっか…でも体調に問題なくてよかった」
    「笑わねぇのか?」
    「なんで?僕だって拗ねる時あるでしょ??」
    「まぁ…確かにそうだが」
    別に笑いはしない、けど…可愛いと思ったことは内緒にしておこう。うん。
    「ごめんね。不満溜まってたの気づかなくて」
    「いや、違う。お前が悪いんじゃないんだ…というか、誰も悪くはない。悪くはないんだがな…」
    「うん」
    「やっぱり、俺たちの予定がことごとく潰されるとな…ついイライラした」
    「うん。分かるよ」
    「でも、どうすることもできねぇだろ?仕事もハードだと、絵梨花や麻里だけに任せるわけにはいかねぇし、学校もある」
    「そうだね」
    「俺かお前がやるしか…でも、やっぱり納得できなくなる。俺たちも食事ぐらいはゆっくり楽しむ時間があってもいいんじゃないか?」
    「うん。僕もそう思ったよ」
    「でも、どうしようもねぇ。こんなこと言ったってなんも解決しないしな…」
    「そうだね…」
    「こういうのは言い出したらキリがねぇ…暁人だって同じ気持ちだろうによ。だからこういう時はもう1人で寝ちまった方が良いとも思ったんだが…」
    「うん?」
    KKが顔を逸らした。なんだか言いづらそうだ…
    「その、なんだ…ちょっと、甘えたく…なった」
    顔を逸らしても、耳や手が見る間に赤くなっていく…隠しきれていないところもとても可愛い。
    「おい。ニヤけるな」
    しまった。つい顔に出てしまった。
    「ごめん。可愛すぎてつい…」
    「可愛いって言うのもやめろ」
    「あー…善処します」
    「おい」
    「ふふっ、ごめんね。だからあんな風に拗ねたってワケね」
    ムッとした顔で頷いた。それも可愛いけど、言わないでおこう。
    「そうだよ。構え!と思って言ったよ」
    観念したのか、吹っ切れたのか全部言ってくれた。
    「もし気づかなかったから余計拗ねてたな!」
    フンッと鼻息を鳴らすKKは猫みたいで可愛い。
    「僕は相棒であり、恋人だからね。だいぶKKのことは分かってきたよ」
    フフンと胸を張った。
    「ほぅ。でも、なんで拗ねたかまでは分かんなかったろ?」
    「そこまで分かってたら苦労しないよぉ」
    「…それもそうか」
    と、お互い顔を見て笑いあった。
    「よかった。笑ってくれて」
    「お前のおかげだよ。ありがとな暁人」
    「ぼくぅ、お礼はぁ焼肉がいいなぁ」
    「おい」
    「冗談だよぉ、どういたしまして」
    「まぁ、焼肉弁当なら買ってやるよ。明日は新幹線に乗るからな」
    「え!奢ってくれるの!?やったぁ!!」
    「いや、経費で落とす。そんぐらいはいいだろ?日ごろ身体張ってんのは俺たちなんだからよ」
    どうやらまだ恨みは残っていたようだ…でもこのくらいで済むなら軽いものだろう。
    「確かに…ねぇ、どうせなら一番高いやつ買わない?」
    「お?良い提案だなぁ」
    悪い顔をしながらニヤリと笑うKKに釣られて僕も笑った。
    「なんだか明日が楽しみになってきた!」
    「あぁ、そうだな」
    「ね!もしさ、仕事が早く片付いたら観光とかしてもいいよね!ね!」
    「そうだな。凛子からは終わったら早く戻ってこいって指示はなかったしな」
    「よっし!やる気出てきた!!」
    正直言うと、お預けをくらい続けてしんどいから早くKKを抱きたい。けど、デートもろくにしてないから、恋人との旅行気分も味わいたい。
    「頑張るのはいいが、お前はまずシャワーを浴びてこい」
    「あ、そうだった」
    「明日の準備は俺がやっとく」
    「ありがとう!」
    「さっき報告書任せちまったからな」
    「うん。でも無理はしなくていいからね」
    「おう。ありがとう」
    「じゃ、いってくる!」
    「はいよ。いってらっしゃい」

    それにしても、甘えたいから拗ねるなんて可愛いにもほどがある。
    でも、甘え下手な彼からの精一杯のSOSだ。馬鹿にはできない。
    最近は色々と相談してくれるようにはなったけど…それでも自分でなんとかしようと無理をする癖は中々抜けていない。
    だからせめて僕は彼の隣にいたい。
    いつでも甘えられるように、いつでも愚痴や弱音を吐けるように…今度は僕がいつでもKKを助けてあげられるように…
    恩返し、という意味もある。でもそれ以上に僕は彼のことを愛しているんだろう。

    「ふぅ…そろそろ出よう」
    シャワーを浴びてると色々考える。けど、明日もあるからこの辺にしないとね。

    お風呂から上がると、KKは明日の準備を終えたようでベッドに横たわっていた。
    もしかして、まだ起きてるかな?と近づいたら静かに寝息を立てている。
    布団を掛けてないから待たせたかもしれないな…
    「ん…あきと、か?」
    静かに布団を掛けようとしたら起きてしまった。
    「あ、ごめん。起こしちゃったね」
    「いや…さっき終わったとこだったんだ、じゅんび…」
    「うん。ありがとう」
    「まってようと思った、が…寝ちまった…すまん」
    「ううん、いいんだよ」
    「もう、ムリは…できねぇな…」
    「ふふっ。それでいいんだよ」
    「そう、か…そうだな…今はおまえが…いる、から…」
    僕の存在を確認して安心したのか、また静かな寝息を立て始めた。改めて布団を掛け直し、優しく頭を撫でる。
    できれば少しでも長く、KKの隣にいられますように…と、おまじないのようなキスを額に落とした。

    「おやすみ、KK。また明日」



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