朝、君を思えば「……ん」
深海から海面へと浮き上がるように意識が浮上する。薄く目を開ければカーテンの隙間から朝日が白く差し込んでいた。
目に日差しが入らないように体の向きを変えれば、眼前にすぅすぅと寝息を立てる恋人がいる。
(まつ毛なが…)
肌が白いから、まつ毛の一本一本がよく見える。
(クマできてる。疲れてんのかな)
最近仕事が忙しかったみたいだし、今日はゆっくりさせてやろう。飯は俺が全部作ってーーー昼はどこか行ってもいいし、デリバリーで済ませるのもアリーーー折角だからマッサージもしてやろう、普段甘やかしてもらってる分お返ししないとな。
年上の男を捕まえて甘やかす計画をあれこれ立てていると、クリプトのまぶたがピクリと動いてまつ毛が震える。
「……、ぉく……」
まぶたに隠れていた黒曜石がぼんやり俺を捉える。吐息混じりに掠れた声で呼ばれたかと思えばシーツの中から出てきた手が俺の頬を撫でる。指先に嵌められたパーツは冷たくて、本来の肌の部分は温かい。
温度のコントラストに身を委ねながらうっとりしていると、額にキスをされた。
「まだ朝の4時だ…」
早起きが過ぎるぞと言われ、額にくっついたままの唇が擽ったい。
「ん、あんたもな……」
クリプトに擦り寄って二人の隙間を減らせば、伝わる体温が心地よくてふわふわしてくる。
「おやすみ、オクタビオ」
片腕をクリプトの腹に回して、ぴたりとくっついて。とくん、とくん、となる心音に安心する。
クリプトが寝息を立てるのを確認してから、俺もまぶたと閉じて波のようにゆらゆらと近づいてくる睡魔に身を委ねた。
「おやすみ、テジュン」
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ベッターお試し用にn番煎じしてみた。
2022−05−28 一生休日
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2022-08-31 一生休日