「おや、おはようマスター。随分と早いではないか。」
そう声をかけたのはブリーフィングルームの先客だった。
のんびりとマグを啜るその寛ぎ具合から察するに随分早くからそこにいたらしい英霊に、呼びかけられた青年はそっちこそ、と会話を続ける。
「清々しい目覚めだったものだからね、少し早かったが朝食も済ませてしまったんだ。賑やかなのもいいが、静かな朝食というのもたまには悪くない。」
この日は朝から素材収集が予定されていた。そしてブリーフィングルームを独占して食後のコーヒーブレイクに勤しんでいた英霊は、そのメンバーのうちの一人だった。
なんだかんだと備えの良いフィンの話に相槌を打ちながら、マスターは普段彼の隣にあるはずの影がないことに気がついた。
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