擬イライサがモブおじさんをダシに急接近する話部屋になにかがいる。
玄関のドアを開け、半身を住処に入れていたイサミは開けたソレを閉じる事も出来ず立ち往生した。
広くもない住処だ。玄関から廊下が伸びて、左右にそれぞれトイレと風呂場のドア、真っ直ぐ進むと居間に通じるドアがある。二つのドアは閉じているが、真ん中のドアが開いている。
朝、全てのドアを閉めて住処を出るのがイサミのルーティンだ。
開いたドアの向こう側の明かりは付いておらず、既に日が沈みかけている外界の暗さも拍車をかけて、居間は暗闇を抱いている。
明かりがついていない住処に上がるのは常である筈なのに、ドアが一つ開いているだけで違和感が容赦無く背筋を冷やす。暗闇の中で何かが蠢いている気すらして来る。
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