願い事の話🥽と🧸
「今日は 七夕だね」
子供用のマグカップをテーブルへことりと下ろして、目の前の『彼』がふいにそんなことを口にする。
子供くらいの背丈。クマ耳に掛けられた小さなシルクハット。感情の読めない表情を更に大きく隠すGUDのカード。こぐま座、α星。
「……存じております。先日基地にも装飾用の笹が届きました」
「うん ぼくが送ったね」
「子供達が喜んでおりました。ありがとうございます」
「それは よかった」
独特な間で紡がれる言葉は、何処と無く心地が良くて、気味が悪い。
「きみは なにか 願い事をしたかい?」
「……貴方に教えるようなものでは無いので。」
「そう ざんねん」
言葉とは裏腹に、その声は寧ろ嬉しそうに聞こえた。
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