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    MondLicht_725

    こちらはじゅじゅの夏五のみです

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    夏五版ワンドロワンライ第109回お題「怪談話」お借りしました。

    任務に行く呪専夏五
    2期のに引きずられました

    #夏五
    GeGo

    夏五版ワンドロワンライ第109回お題「怪談話」 ぴくりと、フロントシートの向こう側で肩が強張る。高専を出てから約30分。これで5回目だ。
     原因は、わかっている。
    「せっかくの休みだったのに」
     隣でふんぞり返って、何度も何度もしつこく文句を吐き出し続けている同級生――五条悟のせいである。もし五条が発する不満が呪霊となれば、特級レベルにまで成長しているに違いない。
     御三家の一角、五条家の跡取り。ン百年ぶりに生まれた奇跡の存在。赤ん坊のときから億の賞金首。
     直接会わなくても委縮してしまいそうな肩書ばかりだというのに、さらにプラスしてこの性格である。だから五条につく補助監督は大体対応に慣れているベテランか、一切気にしない強心臓の持ち主が充てられる。
     しかし、今日は違った。
     今回の任務は急遽舞い込んできた、突発的なものだった。万年人手不足の呪術界、それはなにも呪術師だけの話ではなくサポート役も同じで、急遽対応できる補助監督が彼だけだった。
     そして本当は夏油だけに与えられたはずの任務に、珍しく休日が重なった五条が付いてきてしまったのだ。
     10以上も年上だが、どちらかといえば気の小さい男だと夏油は知っている。だから、仕事前からこうなることは目に見えていた。
    「だから、私ひとりでいいって言ったのに」
    「今日は1日一緒にいるって約束だろ」
     お決まりの、正論ウゼェ、の文句から、拗ねたように唇を尖らせた。まったく、どこで憶えてきたんだい、その上目遣い。
     表向きは呆れていますというスタンスを崩していないが、こらえきれない感情がきっと口の端に出てしまっているに違いない。
    「じゃあ、さっさと終わらせて約束通りケーキ食べに行こう」
     顔を寄せ、五条にだけ聞こえるように囁くと、あっという間に機嫌は直る。単純で、けれどそんなところが可愛いのだと、今度ははっきりと相好を崩した。

     気を取り直して、任務である。
     場所は、都内某所の小学校。比較的近場だったのは不幸中の幸いである。ここで、とある怪談話を元にした呪霊が発生し、児童が3人行方不明になったという。行方不明になったのは昨日の夕方、バレーボールの部活動でのことだった。
     そして今日は土曜日。学校は休みで、児童はいない。つまり、絶好の調査日和というわけだ。
     土日祝日がきっちり休みなことが珍しいブラック業界、それが久しぶりに揃ってなにもない土曜日。一緒に気になっていたケーキが美味いと話題のカフェに行こうと一週間前から約束していたのだ。そこに水を差されたのだから、五条が怒るのも仕方がないのである。
     ――脱線した。
    「怪談、ねぇ」
     五条は私が持っていた資料を抓みあげたが、結局見ることもなく座席に放った。
    「学校に怪談はつきものだ。ここの場合は、”女子更衣室の赤ズボンの少女”」
     車内から、静まり返った鉄筋コンクリートを見上げる。今日は誰も登校しないように、高専から通知が届いているはずなので、帳さえ降ろしてしまえば比較的自由に動ける。
     最初に夏油が下りると、反対側から五条も下りてくる。
    「体育館にある女子更衣室――ってのは名ばかりで、今は用具室として使われてたらしい」
     補助監督が降ろした帳の中、静まり返った廊下を並んで歩く。五条の呪力にビビっているのか、たくさん潜んでいるはずの低級呪霊は隠れていて出てこない。
    「怪談話の内容は、こうだ」
     女子更衣室に入ると、見知らぬ女の子が座って泣いている。どうしたのと尋ねると、ひとりで淋しいのだと言う。それなら一緒に遊ぼうよと手を差し出すと、握り返してにやりと笑って立ち上がる。少女は赤いズボンを履いていた。というよりなぜかそれしか見えない。
     嬉しい、嬉しい、一緒にあそぼ。あそぼ。あそぼ。
     握りしめられる力は徐々に強くなって、どんどん奥の方へ引っ張られていく。
     ぽつり、ぽつり、なにかが床に滴り落ちる。
     よくよく見れば、ズボンだと思った赤は―――。
    「とまあ、よくある展開なんだけど。なんだってそんな話が出回ったのか、大元はわかってないらしい。ただ、そういう噂話が長い間広まってて呪いになったってわけ」
     到着した体育館の一角、足を止めた前には立ち入り禁止と書かれたテープが張り巡らされていた。その向こう側に、渦巻く気配を感じる。
     任務の内容は、行方不明になった児童の救出、または回収。そして原因となった呪霊の祓除。
     3人が生きていることを祈りつつ。
    「さっさと終わらせよう」
    「そんんで、ケーキな!」
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